らせん
 
 
 『東京湾観音』は、房総半島(千葉県)の富津の山の頂に立つ、全長50mを超える巨大観音像だ。
 とにかく巨大なので、東京湾を挟んだ対岸にある三浦半島からも、その姿を確認できる。僕は子供の頃からこの『東京湾観音』のことが、少し気になっていた。
 …なんだって、あんなにデカい観音様が立ってるんだろう?どんな観音様なのか見てみたいなぁ、と。
 そう思いはじめてからかれこれ20年。この日、思うところあって、永年の懸念だった『東京湾観音』に、ついに行ってみることにしたわけである。

 首都高〜東京湾アクアラインを経由して、約2時間ちょっとで『東京湾観音』に到着。お盆中なので、東京近郊の道路はガラガラに空きまくり。実に快適!こういうときって、「里帰りしてる人たち〜、東京に戻って来なくていいからなぁ〜!」と心底思うよねぇ。(いつもながら勝手な言い分)
 この観音像は、海に面した小高い山の上にニョッキリと立ち尽くしている。間近で見ると、想像してたよりは小さく見えるような気もするけど、それは僕の想像に問題があるんだろう。いずれにせよ、ドド〜ンとそそり立つ56mの白い巨像は、やはりものすごい強烈なインパクトを与えている。
 僕はしばらく観音像を見上げていたが、視線を像の足元周辺に落としてみる。
 観音像の足元の辺り―― つまり、僕が今立ってる場所には、いろいろな記念碑や銅像などがゴチャゴチャと並んでいた。
 “世界平和”という文字が彫られた石版、この観音像の建立者・宇佐美氏とその奥さんの像、“浦島太郎とカメ”の像、何故か水子供養のお地蔵様…脈絡のあるものないもの、渾然一体となっている。すでに、かなりキッカイな雰囲気が…
   

表参道!
…とか言ってるけど、ただの山道。
しかもかなり距離が長い。歩いて行くのは大変。

  

途中にあるトンネル。
実は有名な心霊スポット。
観音像から飛び降りた人の霊が出るとか…

  

『東京湾観音』のお出まし〜!
手前にあるのは“茂み”じゃないよ。
ちゃんとした“木”。

   

昭和36年に開眼。
4年の歳月を掛けて建立されたらしい。
こんなデカいものを、ねぇ。

  

観音像の下に広がる(?)空間。
一見、庭園風ではありますけど、
実は何でもアリな状況。

  

建立者・宇佐美政衛ご夫妻。
ちょうど像を見上げるように立ってます。
私財を投げ打って建立したらしい。

  

そのすぐ横にある小さな池。
亀はともかく、浦島太郎は…
最後におじいさんになっちゃうし…

  


え?これが浦島太郎?
なんか、想像してたのと違うよなぁ。
ずいぶんショボくないか?この浦島太郎。

  

さらにその横には水子供養の地蔵。
供養に宗派やジャンルの壁は無い、ってこと?
ついでにここには“縁結び成就”までも…

   

仏様と七福神って、案外仲良しなのか。
一緒に安置してる所って、結構あるもんね。
わりと括りが緩いのかも、仏教。

    

 さて、ではさっそく観音像の“胎内巡り”にしゅっぱ〜つ!
 観音像の胎内への入り口は、像の背後の足の辺り。入り口のそばでは、“小振りな観音様”と“狛犬”がお出迎え。…こういう取り合わせも、珍しいような気がしないでもない。
 ところで、この『東京湾観音』って、“全世界の戦死・戦災者の供養”のために建立されたのだそうだ。ちょうど翌日に終戦記念日を迎えようとしているこの日に訪れるなんて、実に奇遇な感じがする。
 
 胎内に入ると(ちなみに入場料は500円です)、いきなり戦没者を供養する空間が現れる。僕よりも一歩先に胎内に入っていた夫婦が、半鐘を鳴らしてお線香を焚いていた。僕もそれに釣られてお線香(一束50円です)をあげた。少しばかり敬虔な気持ちになってしまった。
 と、僕が心静かに手を合わせていると、いきなり真横で無神経に鐘を鳴らす婦人。クワ〜ン、クワ〜ン…
 「ナニやってるんだよ、おまえ…」と注意する旦那。「だって、気持ちいいんだもん、この鐘」と無邪気に喜ぶ婦人。それを聞いて確かめるように旦那も鐘を鳴らしはじめる。クワ〜ン、クワ〜ン。…あんたら、バチが当たるぞ!
 
 鐘にうつつを抜かす夫婦を尻目に、僕はさっそく本格的に胎内巡りを開始する。
 この観音像の体長が56mだ、ということはさっき書いたけど、この50m強の巨像の中身は、体の中央部を円筒の柱が貫いていて、その柱に沿って螺旋階段が巡らされている、という構造になっている。まぁ言ってみれば、灯台とか展望台なんかでよく見られる構造ってわけだね。
 で、その螺旋階段にはところどころに踊り場のような場所が設けられている。「ずっと階段を上りっぱなし」という地獄のような状況ではないので、そこのところは安心な設計である。
 こういった踊り場が20箇所、つまり、この観音像は“20階建て”ということになる。…のかなぁ。
 しかも!ただダラダラと階段がグルグルとぐろを巻いているだけじゃない。階段を上っていると、円筒状の柱の中にぽっかりと穴が開けてあって、その穴の中には“七福神”や“仏像”が安置されているのだ。おまけに、柱と反対側の壁には、いちいち有り難〜いご教訓を書いた張り紙が、ベタベタとしつこいぐらいに貼り付けてある。
 これらのひとつひとつに目を配っていれば、きっとこの観音像を出る頃には、ムチャクチャ浄化されていること間違いナシ!ってな勢い。
 僕も最初は、こんな像やら教訓やらを丁寧に鑑賞していたのだが、だんだんメンド臭くなってきたので適当にやり過ごすことにした。
 
 …う〜ん、こんなもんか。入る前まではちょっとウキウキしてたんだけどなぁ…きっと何か強烈な観音像に違いない、という予感があったんだけどねぇ…
 そんなふうに少々ダレぎみで階段を上っていたのだが、ちょうど10階辺りから、だんだん胎内の様子に変化が現れはじめた。
 

改めて真下から見上げてみる。
かなりキレイな像ですね。
修繕したばかり?

    

背面には小窓がたくさん。
見ようによってはドット柄の衣装のような。
振袖の部分がかなりシャープ!

   

胎内入り口は右端のほうにある。
中央に狛犬に挟まれた観音像が。
ライオンと松島ト○コを思わせる構図。

  

戦没者を慰霊するところ。
入っていきなりなので、一瞬たじろいだりして。
これがこの胎内のメインなのかも。

  

…でも、やっぱりちょっと違和感が…
仏像や観音像がたくさん安置されてて…
ちょっと節操無いような気がする…

  

こんなところにも!
しかも『東京湾観音』のちっこいヤツ。
「凝ってる」って言っていいのかなぁ?

  


螺旋階段を上って行こう!
と、柱のところにこんな“穴”が。
中を覗いてみると…

  

こんな感じで仏像&七福神像が。
これは“寿老人”みたいです。
この“穴”が等間隔で開いてます。

  

で、こんな“ご教訓”も。
これまたしつこく貼ってある。
達筆すぎて読めないものもあったりする。

  

螺旋階段って、ちょっと妙な雰囲気があるよね。
しかも、ここは全体的に薄暗いし。
靴音が反響するのも、さらに…

  


Movie
 
胎内の様子の動画です。
ちょっと薄気味悪い感じですけど。
ファイルサイズは800kbちょっと。
時間がある人、よい環境が整ってる人は、見てみてね♪




ここからは柱だけじゃなく、壁側にも仏像が。
“同行観音”という小さな観音像もたくさん!
…それを持って胎内を巡るのか?

  


ご覧の通り、腰の部分らしい。
“腰元”と言われて連想するのは…
『バカ殿』に於ける“いしのようこ”の役回り。

  

御腰元からの眺め。
木更津あたりの様子が見える。
天気がイイから眺望はバッチリ!

  
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