Buddha in Tokyo
 

 僕が東京で暮らすようになってから、今年の3月で丸9年が経つ。
 9年も住んでいれば、もういい加減「東京のことだったらまかしとけ!隅から隅まで知り尽くしてるゼ!」ぐらいの発言が出来ても良さそうなものだが、日々の行動範囲がメチャクチャ狭い僕は、ハッキリ言って東京のことをあまり知らないままだ。
 
 “東京に大仏がある”―― この事実を知ったのは、2〜3年前のことだった。
 それも、仕事でほとんど毎日のように車を走らせている“板橋区”にあるなんて、かなり意外だった。「いつか仕事の途中で立ち寄ってみよう」と思いながら、結局一度も足を運べずにいた。そもそも、仕事中にそんなところに寄っていられるような時間的余裕なんかこれっぽっちもないし、僕の心のどこかで「東京の大仏ねぇ…ど〜せ大したことないんじゃないの〜」という気持ちもあって、どうもなかなか行く気になれなかったのだ。

 だがしかし!この『東京大仏』は、あの全国的に有名な『奈良の大仏』、そして『鎌倉の大仏』に次いで、日本で3番目に大きい大仏らしい。それを知った途端に、僕の中で『東京大仏』のグレードはいきなり急上昇!なんたってアナタ、“日本で第3位”ですよ!銅メダルですよ!日本全国に果たしてどれだけの大仏があるのか知らないけど、そんな数ある(?)大仏の中で、奈良・鎌倉に肩を並べるレベルに見事ランク・インを成し遂げているとは…侮っていた自分が恥ずかしいじゃないか。
 …でも…そんなに立派な大仏のわりに、どうも知名度が低いような気がするんだけど…
 それとも、生粋の東京者はみんな常識として『東京大仏』の存在を知っているのだろうか?少なくとも僕の周りに居る人の話題に『東京大仏』が登場したことはないと思うんだけど…
 どうしてもっと話題にならないの?『東京大仏』って…
 
 ぜひこの目で確かめたい!と言うわけで、僕は今にも雪が降り出しそうな天気の中、ちょっとばかりワクワクしながら『東京大仏』に向かった。
 東京都板橋区赤塚。そこに『東京大仏』を有する『赤塚山・乘蓮寺』はある。この周辺には『板橋区立赤塚植物園』や『板橋区立郷土資料館』、『板橋区立美術館』など、“区立”の文化施設が密集している。なんとなくアカデミックな匂いがしないでもない。
 ついでにこれらの“区立シリーズ”を覗いてもいいのだろうが、あいにく僕は植物園にも美術館にもあまり興味がないので、当然素通り。目指すのはだたひとつ、大仏のみ!
   

間違いない、ここが『東京大仏』!
分かりやすい看板、どうもありがとう♪
でも、幹線道路からはちょっと分かりにくいかな…?

   

住宅地の中にド〜ンと現れる『乘蓮寺』。
想像以上に格式高い感じです。
こんなお寺があったとはねぇ〜。

  

お寺の脇(って言うか、下)にある建物。
“閻魔堂”だって。
お寺に閻魔堂って…いいの?宗教的に…

  

で、こちらが中に居る閻魔様。
まさに“いかにも”なルックスです。
地獄って、行きたくないよね〜。

  

これ、すごく立派な山門。
仁王像2体と他の像2体の、計4体が安置。
ちょっとした威圧感が漲っております。

  

こちらは本殿と境内。
池や売店などがあります。
向かって右側をふと見てみると…

   

出たぁ〜!これが『東京大仏』だぁ〜!
写真で見るより実物は結構インパクトあり。
黒光りしちゃってて、ちょっと圧倒される。

  

本殿のすぐ脇にある池。
弁天様が安置された金色のお堂があります。
…あのぉ、ここ、お寺ですよねぇ…

  

大黒さまや恵比須様も居ます。
って言うか、このお寺には七福神が勢揃い。
仏教&七福神。…宗教的に大丈夫なのだろうか…

  

おまけに“三途の川の奪衣婆”なる石像が…
そう言えば寺の下には閻魔様も居たし…
なんだか『大霊界』チック。丹波〜!!

    

“行者の元祖 役の小角(おずね)”さんです。
…行者と言われてもピンと来ませんが。
きっと相当偉い方なんでしょうけれども。

  


“何でも耐える がまんの鬼”。
確かに何やら苦悶しながら耐えているご様子。
拗ねた目線が哀感をそそります…か?

   


“知恵をさずける 文珠菩薩”です。
でも、ここから先は檀家さん以外は簡単に入れません。
入り口から望遠で盗撮!(べつにそこまでしなくても…)

    

再び『東京大仏』に接近。
台座を含めると高さ13m。意外とデカイ。
さすが!日本第3位!

  

ブラックを基調にしたシックな大仏様。青銅製。
間近で見るとかなり迫力あり。
昭和52年建立だから、比較的新しい大仏です。

  

その脇には“天保の大飢饉”の供養塔も…
石仏などもかなり多くある。
地元のおじいさんがお線香あげてました。

  


大仏のある所から一段下がったところ。
またまた七福神が。しかも皆さんお揃いで。
ラックラク七福神巡り!

  

北村西望氏・作“福壽観音”が安置されているお堂。
この人、確か長崎の“平和の像”を造った人だよねぇ?
…違ってたらゴメン!

  

お寺に付き物、釣鐘。
僕は一度も突いたことないないです、釣鐘。
「ゴ〜ン…」って。…カルロス・ゴーン(日産の人)。

  


人の背丈ぐらいあるでっかい布袋様。エクボがキュート。
しかし、この福耳、人間離れしてるよねぇ。
…あ、神様だったんだっけ。

    

 ひと通り境内を見終わって、何気なく覗いた売店に立ち寄った。
 売店ではお守りやお札、おみくじといった定番アイテムが販売中だったが、その中でも個人的に目に留まったのが“お願い地蔵さん”という、てのひらサイズの地蔵レプリカ(?)。販売台の上に等間隔でズラ〜ッと並べられたミニ地蔵がなかなかイイ味出してるじゃないか。
 僕がしげしげと“お願い地蔵さん”を見ていると、中からおばさんが出て来たので、僕はこのお地蔵さんを買うことにした。
 「どのお地蔵さんがよろしいですか?」
 「…え?どれも同じじゃないんですか?」
 「ええ、石の粒と言うか、シミのようなものがあるでしょ?それによって微妙に印象が違うみたいですよ」
 ふ〜ん。そう言われてよく見ると、なるほど素材の石(御影石ふう。でもたぶんイミテーション)に小さな粒がいっぱいあって、それによって確かにお地蔵さんの雰囲気が微妙に変わってるような気がする。…でもまぁ「言われてみれば」という程度の差ではあるが。
 そうとなるとちょっと迷う。どれにしようかなぁ…この中でどのお地蔵さんが一番「俺を買ってくれ〜」オーラを発しているだろうか…
 お地蔵さんの隊列を凝視すること数秒。で、結局ど真ん中にあったお地蔵さんを選出。
 「じゃあ、これにします」
 「は〜い、これですね。…ちょっと似てますよ、お客さんに」
 そう言って、おばさんは笑った。…ほっといてくれ!どうせ俺は小坊主顔だよ!大概の地蔵&坊主の置物は俺によく似てるんだよ!あ〜そうさ、悪かったな!
 …などと思いつつ、ニッコリ笑顔でおばさんに「ありがとう」なんて言える自分の二面性が怖い。
 僕のこの小坊主顔は、どうやらおじさんおばさんにとって、“いじりキャラ”的な印象を与えてしまうらしい。それで得をすることもあるし、損をすることもある。―― 人生五分五分、と言ったところだろうか。
 
 僕は我が手中に納まっている“お願い地蔵さん”をジッと見つめる。…こんな顔なのね、俺って…
 お地蔵さん、お願いを聞いてくれますか?僕のお願いってぇのは、あなたと同じような自分の顔を、もうちょっと閻魔様ふうな威厳ある顔立ちにしてもらいたいんですけど。いかがでしょう?聞き届けてもらえますでしょうか?
 すました顔の地蔵さんは、たぶん「じゃあ整形でもすりゃいいだろう」と冷たく言い放つに違いない。
 

“お願い地蔵さん”。1体\500也。
ちゃんと石(?)で出来てます。
とりあえず、金運Upでもお願いしてみることにします。