「わらじ」って漢字で書ける?


 “秩父三十四ヶ所観音霊場”、まぁ普通は“秩父三十四札所”のほうが耳馴染みがあるかな。札所とされている34の寺院をすべて巡るとなると、その総距離は100Km程あるらしい。これらの寺は室町時代にはすでに札所として認定(?)されていたんだそうな。

 このとき訪れた『金昌寺』は、第四番の札所。札所の中でも一番人気のある寺だとか。ここには“マリア観音”とも呼ばれる“子育観音”という有名な観音像がある。そして、境内には1300余体もの石仏がひしめきあっているのだ。
 まず、山門。朱塗りの壮麗な門なのだが、その両脇には何故か巨大な草鞋(わらじ)が括り付けてある。「草鞋…何でまた?」と不思議に思っていると、その山門の2階部分には石仏がビッシリと安置されているのに気づく。う〜む…なんだか“濃口系”なお寺っぽい匂いが…
 境内に入ると、見渡す限りに石仏。所狭しと石仏。石仏のオンパレード。石仏のグランドレビュー。ってな勢いで、夥しい数の石仏が置かれまくっている。かなりしっかりと造られたやや大型の石仏から、ほとんど原型を留めていないような石仏まで、菩薩も如来も明王も羅漢も天部も、各種取り揃えて御座います!な状態。山門から本堂に向かう参道沿いにズラリと並んだ(と言っても配置はわりと散漫)石仏に圧倒される。しかし、さすがに人気の高い札所だけあって、境内には大勢の参拝客が居た。繁々と石仏を鑑賞する人、石仏にカメラを向ける人、ハイキングを兼ねて訪れている感じの人など、様々な人が様々な楽しみ方をしている。石仏群の放つ圧倒感を程好く中和するワサワサ感。これでもし人影が無かったら、ちょっと怖いかも…
 本堂に移動する。これまた朱塗りで妙な飾り気のある建築物で、周囲には千社札がベタベタと貼られ、さらに地元の有力者か何かの法要の様子の写真が展示してあったりと、お世辞にも名刹の佇まいがあるとは言えない雑然とした雰囲気。そんな本堂の回楼の片隅に、“子育観音”が安置されていた。この観音像ってのが思いのほか無防備な形で置かれていて、参拝客の皆さんも気軽に触りまくっている。良く見ると、どうも像の胸の辺りの汚れ方が激しい。…何だか邪(よこし)まな気持ちで触っている輩(やから)が多いのでは?と疑いたくなるような汚れ具合なんですけど…
 その本堂の奥には“奥の院”というエリアがあって、そこにも小さなお堂が2つ、そしてその周辺にも石仏がどっさり。さらには“弘法大師が篭った岩屋”なるものまであった。この辺りは周囲に生い茂った木々のせいで昼なお薄暗く、おまけにその石仏のほとんどがどういうわけが首無し、というわけで、うっかりするとミステリースポットになりそうな趣き。実際、たまたま居合わせた女性二人組は「…何だかちょっと不気味な感じだね…」などと囁いていた。
 でもね、石仏そのものは僕は大好きなんですよ。なので、このお寺も個人的にはかなり楽しめました。
 

『金昌寺』の山門。
秩父札所の第四番のお寺です。
ちなみに秩父札所は34箇所あります。

  

山門の入り口の両脇には巨大草鞋(わらじ)。
昭和50年頃に奉納されたみたいです。
…なんで草鞋?

  


その山門の2階部分には石仏がズラリ。
それにしても、この山門に貼られた千社札の数は…
うるさいぐらいにベタベタと貼られまくり状態。

  

山門に配された仁王像。
派手めな色使いが目を引きます。
…ちょっと眼が怖い。

  

とにかくこのお寺は石仏がどっさり!
その数、約1300体。
所狭しと石仏が犇(ひしめ)いております。

  

中にはこんな方まで…
これは羅漢ですね。
人間臭さがそれはそれで魅力的ではあります。

   

本堂の下にあるお堂。
なかなかシックな趣きの建物ですが…
あまり古くはなさそうです。

  

そのお堂の中には約2mぐらいの菩薩像が。
その蓮座の周囲にはミニ地蔵がゴチャゴチャと。
参拝者が勝手に置いてったんだろうけど。

  

ほらね、石仏がわんさかと置かれてる。
わりとこじんまりとした境内に1300以上の石仏。
石仏密度が非常に高いお寺ですね。

  


こちらが本堂。
本堂にも千社札がもの凄い大量に貼られてる。
何だかとても汚い賑やかな感じ。

  

カラフルな本堂ですよね。
で、結構俗っぽい印象もある。
…個人的にはあまり好みじゃないかも。

  

各札所にはきっとこのお坊さんが居るんだろう。
う〜む、絵心があるんだか無いんだか…
“札所坊主”と勝手に命名してみました。

  

本堂の向かって右側に居る“子育観音”。
これって秩父札所ではかなり有名な観音像らしい。
柔和な表情で赤ちゃんに授乳してます。

  

マリア観音とも呼ばれているんだとか。
ということは、隠れキリシタンとの関係も…?
でも確かにこのフォルムはかなり西洋的。

  

本堂に掲げられた荒木丹下の絵。
観音様が娘に変身し、大悪人・丹下を改心させた。
…ということらしいです、要約すると。

  


“奥の院”と呼ばれるエリアにある浅い洞窟。
ここで弘法大師が篭ったんだとか。
奥には大師様の石像もあります。

  

石仏の多くは無残にも首がもげた状態に…
仏教弾圧説、博徒のげん担ぎ説など
諸説あるらしいけど、本当の原因が知りたいなぁ。

  

これは地蔵菩薩ですね。
個人的にかなり惹かれた石仏でした。
素朴な石仏も好きなんですけどね。

  

おまけ。埼玉県名栗村。
これは『旧名栗郵便局』。
昭和4年に開局。今や歴史的建造物。

  
  

壁や軒下に施された装飾の味わい。
右から左に読む局名の浮き出しも素敵です。
埼玉エリアって、結構面白いかも。

  

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