選手団入場


 午後6時頃、石垣島に到着。石垣空港に降り立って、まずは宿の手配をしようと、空港内に在るレストラン『ゆうな』にてアイスコーヒーなんぞを飲みつつ、Kさん持参の『やえやまガイドブック』の宿情報ページを捲る。
 「この際だから、今まで泊まったことのないところにしよう」というKの主旨の下、僕らは『ホテル南西』に泊まることにした。
 『ホテル南西』…ご存知の方も多かろうと思うが、美崎町の歓楽街のちょっと外れに在って、一階が『シネマ石垣』という映画館になっているホテルだ。長いことその存在が気にはなっていたものの、今までまったく接点を持つことが無かった建物である。
 そうと決まれば即電話だ。問い合わせてみると、難無く2泊の予約を入れることが出来た。
 タクシーに乗ってホテルまで移動し、3階のフロントへ向かう。…う〜む、これはかなり微妙な雰囲気。一抹の不安に苛(さいな)まれながらルームキーを受け取り、部屋に入ると…う〜む、やはり微妙な…全体的にチープなテイストが漂う「一昔前のビジネスホテル」チックな趣き。心なしか黴臭いような…
 まぁイイや。どうせホテルなんて、寝るときぐらいしか使わないんだし。とりあえず、テレビでも点けてみるかね、ポチッとな。
 「…映りが悪いなぁ、このテレビ。ザーザーいっちゃってるよ…」
 あちこちチャンネルを変えてみても、画質はどれも一緒。電波状態のせいなのか、それともこのテレビ自体の調子が悪いのか…いずれにせよ、観辛い。しかも、点けっ放しにしていると、だんだん画像の乱れが激しくなってきて、終いには白黒になってしまった。白黒で砂状ノイズ…画面で確認できるのは、被写体の大まかな輪郭のみ。これ、やっぱりテレビ本体の問題なんじゃないの?
 「…外に出ようか」 「そうだね…」
 
 ホテルを出て、石垣市の中心部を散策。“あやぱにモール”や“ゆいロード”、そして美崎町の界隈をブラブラとほっつき歩く。こうして市街をウロウロしていると、しみじみ「ああ、石垣に来たんだなぁ」という感慨が湧き上がって来る。那覇の街を歩いているときと同じような、何だかホッとするような感覚。いつの間にか、美崎町の界隈に自分勝手なふるさと感覚を抱き始めてしまっているようだ。Kさんも恐らく同じような気持ちだろうと思う。いや、ひょっとすると彼は、僕以上にこの界隈を愛しているのかもしれない。何しろ、「夜は美崎町で飲みたい!」というだけの理由で、他の八重山の離島に泊まることを頑(かたく)なに拒むぐらいだからなぁ。
 
 約2時間街を彷徨って、そろそろ何処かに落ち着こうと、離島桟橋の近くに在る『ゆうな』に入り、そのままラストオーダーの時刻までご飲食&ご歓談。「明日は波照間島だ」と思うと、僕もKも何だか浮き足立ってしまう。波照間…今の僕らにとって、そこはやっぱり特別な存在なのだ。思えば、僕らが沖縄にこれほど嵌ってしまったきっかけは、間違いなくあの島だった。94年に初めて波照間島と竹富島に渡ったとき、僕とKはすっかり八重山の虜となってしまい、旅から帰った後もことある毎に「八重山はイイよね」と口癖のように言い合っていた。今まで幾度か繰り返し訪れているが、一向に飽きることが無い。それどころか、どんどん好きになっているような気がする。…まぁ、Kがそこまで惚れ込んでいるかどうかは定かじゃないけれど、少なからず愛着を抱いているのは間違いない。
 かなりの量のアルコールを摂取して、おまけに波照間訪問を明日に控えて、すっかり幸福感に浸かり切った僕らは、夜中の美崎町をフラフラと、ホテルまで歩く。途中でホットスパーに寄り道したりしながら。空にはたくさんの星屑。心地好い夜風。嗚呼、こういうのを“幸せ”っていうんですか?チクショ〜!ニクいヤツだぜ、八重山は!
 …ホテルに戻ると、そのまま服を適当に脱ぎ散らかして、ドッとベッドに倒れ込む。あ、目覚ましアラームはセットしておかないとな。明日は朝一番の船で波照間に行くんだから。おやすみなさ〜い♪

 明け方、微(かす)かなノイズにふと目を覚ました。何やらトントコトントコという、何処かの民族音楽めいた不思議な打楽器のリズムが聞こえて来る。何の音?
 その音は、例の壊れかけのテレビから流れていた。どうやらKが点けっ放しで寝てしまったらしい。モノクロームで乱れ捲くった画像。ちょっと貞子が出てきそうな、もしくはポルターガイスト風味なその画面が、アテネパラリンピックの開会式の様子を伝えているらしいのは、何とか識別することが出来た。しかし、微音量で聞こえて来るトントコトントコというリズムが気になって、なかなか眠れない。だったらテレビを消しゃあイイじゃないか、と思うのだが、わざわざベッドから起き上がって、テレビを消しに行くのは面倒だし…
 結局、しばらくの間その不思議なリズムを半睡眠状態で気に掛けながらも、テレビを消さずに寝てしまった。電力の無駄遣い。エコロジーに反した行為。地球の将来よりも、目先の面倒臭さに負けてしまった僕。

 翌朝、Kさんも「昨夜のテレビの音、気になったね。ヘンな音楽みたいなのが流れてて…」と言った。キミも気になってたんですね。…って言うか、テレビを点けたまま眠ったのはキミだろ?しかも、僕よりも遥かにテレビに近い位置で寝てたじゃないか。気になってたんなら、消せばイイだろ〜が!…ハッ!いかん!せっかくこれから波照間に行くんだから、もっと穏やかな気持ちにならなくては。
 ――というわけで、次は波照間です。
 

石垣島に到着したのは、夕方でした。
明日は波照間に行く予定。
明日が楽しみだ〜!。

 


『ホテル南西』。
…かなりビミョーな感じのホテルでした(^_^;)
テレビも壊れてたし。

 

“あやぱにモール”のサトちゃん&サトコちゃん。
沖縄風な着物を召しておられます。やいまチック。
ちなみに、この兄妹(!)の詳細はこちらで。

  

あやぱにモール。
数年前に比べると、少しだけ活気が出て来たような。
いろいろと活性化対策をしてるみたいですし。

 

公設市場の2階に『いちば食堂』が。
…あれ?この看板、どうも見覚えが…
そうか!あの時計だ!

  


そして、毎度お馴染みの美崎町へ。
この夜は桟橋近くの『ゆうな』で飲食。
こうして石垣の夜はまったり更けて行きます。

 

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