今帰仁周い・東周い


 『美ら海水族館』を超っ速で巡回し終えた僕らは、そのまま本部半島を東回りでドライブ。途中、“運天港”に立ち寄った。僕がここに来たのは2002年に伊是名島に渡るために訪れたとき以来。Kさんは初めての訪問だった。
 「へぇ〜、こんなところに港があったんだねぇ。全然知らなかったよ」とKは言う。まぁ、無理も無い。特に用事が無ければ、この港まで来ることは無いだろうし。幹線道路から少し離れた場所に在る港なので、「たまたま通り掛ったら在りました」的な遭遇の仕方をすることは、あまり無いだろう。
 誰も居ない港のターミナル内でジュースを買って、ベンチに腰掛けて暫(しば)し休憩。ロビーには海からの涼しい風が吹き込んで来て、なかなか心地好かったり。沖縄の9月はまだまだ夏のような暑さがしっかり名残ってはいるが、風はだいぶ涼しい。都市部を離れれば離れるほど、風が心地好くなる。
 港のターミナルで少し憩った後、次に向かったのは“ウッパマビーチ”。運天港から幹線道路に戻る途中で脇道に入り、綴れた下り坂を下って行くと、ちょうど『ベルモア東洋ベルパライソ』というリゾートホテルの裏側に出る。そのホテルの真ん前に広がるのが、ウッパマビーチ。ビーチは無人で、聞こえて来るのは波の音と風の音だけ。
 「…イイね、こういう感じ。もの凄く静かだね」
 「そうだね。…考えてみれば、こんなふうに完全に無人のビーチって、この時期じゃ離島に行ってもなかなかお目に掛かれないよなぁ。離島のビーチにも大概人が居るもんね。」
 「…でも、ベルパライソ的にはどうなんだろう?果たして宿泊客は居るんだろうか?」
 「さぁ…どうなんだろうねぇ…」
 それにしても、ホントに静かだなぁ。何だかこうしていると、日頃煩悶している些細な悩み事なんか何処かに遠退いてしまう…って、何だか月並みなコメントですけどね。そんな月並みな感想が自然と湧き上がってくるような、この静かなビーチ。
 「…今年は波照間島に行こうか」
 Kが突然そう言い出した。――実は当初Kは「小浜島に行こう」と思っていた。彼が行き先に小浜を選んだ最大の理由は、例のユニマットが小浜島で展開しているリゾート開発に対するミーハーな関心によるものだったようだ。…どうかと思うよ、そういう理由。だがしかし、ウッパマビーチで黄昏(たそがれ)ているうちに、どうやら波照間島のニシハマビーチを連想してしまったらしい。
 「そうだね。去年は行ってなかったんだよね、波照間に。これから5日間はずっと天気が良いみたいだから、ニシハマもメチャクチャ綺麗だと思うよ」
 僕もKの提案に同意する。今回の旅行では、八重山に滞在出来るのは約2日間。今までに無く短い滞在期間だ。その貴重な時間をどの島で過ごすか…他の離島も捨て難いが、やっぱり僕らは波照間島が好きなのだ。今から9年前に初めて訪れて以来、ずっと僕らの心を惹き付け続けている、あの島。
 

学校図書購入資金のためのチャリティーゴルフ。
…何だかすごく新鮮な感じがするのは僕だけ?
さすがゴルフ王国・沖縄!

 

“運天港”。久し振りに来ました。
2002年の伊是名島旅行のとき以来ですかね。
最終便出港後なので、人っ子ひとり居ません。

 


碇泊中のフェリー“ニューいぜな”。
いつかまた行きたいな、伊是名島。
伊平屋島にも行ってみたいねぇ。

 

港ターミナル内にあったポスター。
オバァ、いい笑顔です。
生年祝(トゥビシー)は沖縄独特のお祝いです。

 

これは“ウッパマビーチ”。
こちらにも人っ子ひとり居らず。
海の家も開店休業状態でした(^_^;)

 

突然陽射しが強まって、海も浜も眩しく輝く。
暫(しばら)くの間、海を観ていました。
…これだから沖縄通(かよ)いは止められない。

 

 波照間への愛を迸らせながら、ウッパマビーチを離れて本部半島を西回りで走り、やがて屋我地島へ伸びる“屋我地大橋”の袂(たもと)に差し掛かる。橋へ向かって車を駆るKに「おお!ひょっとして屋我地島に渡る気なのか?」と色めき立つ僕だったが、Kは橋の上に在る駐車場に車を停め、「下の砂浜に降りてみようか」と、さっさと浜へ降りて行ってしまった。
 この辺りは“羽地内海”と呼ばれていて、先程のウッパマビーチや運天港の近くに在る(厳密に言うとそれほど近くないんだけどね(^_^;))“嵐山展望台”から眺めるこの内海は、なかなかの絶景だったりする。この時間は潮がだいぶ干いていて、何だか海というよりは大きな湖のようにも見える。翳り始めた陽光が水面に眩しく映り込み、足元の白砂の照り返しもまだ強く、眩しさで僕はずっと目を細めたままだった。もう4時を回っているのに…暑さもなかなか退いてくれない。何処からとも無く、猛烈な蝉の大合唱が聞こえて来る。それはもう“蝉時雨”なんて云う生易しいもんじゃ無くて、「ジャーコジャーコ」とか「ジャカジャカジャカジャカ」とか、そういう擬音で表現するに相応(ふさわ)しいような激しさで。風は少し強めに吹いているのだが、それがまた微妙に生温(ぬる)い。秋風とは明らかに違う、夏を思わせる風。体がベタベタする感じ。
 そんな中、Kは砂浜をウロウロとほっつき歩いていた。この人は、こういうところをウロウロするのが殊の外お好きなようで、放っておくと延々歩き続けている。いっそのこと、Kはこのまま放置してしまってもイイような気もするのだが…
 「あの〜…ここでかれこれ20分近くウロウロしてるんですが…下手するとさっきの『美ら海水族館』での滞在時間よりも長くなりそうなんですけども…そろそろ車に戻りませんか?」
 「え?ああ、そうだね。べつにこれといって何も無いしね、ここ」
 ……どついたろか!!
 
 Kはそのまま屋我地大橋を渡って屋我地島へ入る。が、その屋我地島の外周をぐるりとノンストップで通過。おいおい、せっかく島を渡ったというのに、素通りですか?…まぁべつに構いませんけどね。
 また大橋を引き返し、58号線をひたすらに北上し続けるK。う〜む、この展開は、まさしくKさんの独壇場。彼の向かう場所の見当は粗方付いておりますが、敢えて指摘はしないでおこう。
 …この男が、こんなふうに58号線をひた走るその先に在るのは…
 

“屋我地大橋”の下の砂浜に降りてみました。
やんばるの山が向こうに見えます。
辺りはとても静か。

 

砂浜にはたくさんの草が生えてました。
左奥に見えるのが屋我地大橋。
雲の影が砂の上を滑って行きます。

 


小さなイガイガの実が生ってる。
これって何の実?
植物に疎いもんで、さっぱり分かりません。

 

その実が生っている木と、うな垂れる友人K。
…べつにうな垂れてるわけじゃ無いんですけどね。
落ちた実を拾おうとしてる、の図。

 

ちょっとだけ屋我地島に入ってみました。
一面に広がるさとうきび畑。
Kさんはノンストップで島を通過(-_-;)

 

“辺土名”の中心部。
ここに来たのは2001年のとき以来。
…ここもKさんはノンストップで通過(-_-;)

 

 …案の定、辺戸岬。またかよ!!僕の記憶が正しければ、Kとこの岬に来るのは今回で5回目。…いや、辺戸岬を批判する気はまったくありませんよ。しかしだなぁ、5回も通(かよ)うような場所なのか?辺戸岬は。
 「何でオマエは何度も何度もここへ来るんだよ!そんなに辺戸岬に思い入れがあるのか?わざわざここへ来る理由は何なんだ?!」
 大海原を前にして、連れに問いを浴びせる僕。…ホントにこの人、どういうつもりなんだろう?どうしてこうも同じような場所に何度も繰り返し来たがるんだろう?
 一方のKさんは、涼しい表情で一言、「え?べつに理由なんて何も無いけど…」
 …も〜ガッカリ!理由も無いのに何度も来るなよ!嗚呼、何だか嫌な予感がする…きっとKはこの後、“首里城”にも行くに違いない。石垣島では恐らく“川平湾”や“平久保崎”にも行くだろう。この“恐るべき史上最強のマンネリスト”は、その真価(?)を何処まで発揮するのか…僕はふと「よし、ここはKのマンネリズムの極北を確かめてみることにしよう。彼を好き勝手に泳がせてみると、果たして何処まで同じような行動パターンを取るのか。…どうせ僕が激しく罵倒したところで、この男には全く効力が無いわけで、だったら彼のマンネリストぶりをとことん発揮させてやろう」と腹を括ってみようかと思った。
 いや、僕にだって「沖縄に来たら必ず立ち寄りたい場所」は幾つかある。しかし、それは「その場所が好きだから」という明確な理由があるからなのだ。ところがKの場合、大概が「ただ何となく」という動機のみ。そんな動機で毎度毎度同じようなところに付き合わされるのが、どうにも納得し難い。かと言って「じゃあ、俺が運転するよ」と提案すると、あからさまに嫌な顔をするKさんなので、行程の主導権を僕が握ることも難しい。となれば、ここはもういっそのこと、Kの行動パターンに埋没してしまうほうがイイのではなかろうか?…ある意味、自虐的な覚悟ではあるかもしれないが…
 さて、そんな僕の心内葛藤を気にも留めず、Kさんは岬の突端へと向かってサクサクと歩き始めた。仕方なく、僕もその後をチンタラ付いて行く。そんな僕の心模様に比例するかのように、上空には次第にどんよりとした雲が垂れ込め、岬から眼前に広がる大海原もくすんだ灰色に。…どうしろって〜の?この状況で。
 と、Kがぽつりと言った。「…もう那覇に帰ろうか」
 「え?屋我地島からここまで延々やって来て、ほんの数分間居ただけで、しかもここから一気に那覇へ戻るって?」と即行でツッコミを入れたい気持ちを堪え、「…イイんじゃないの?」とだけ答えておくことにする。疲れるよ、一々ツッコミを入れるのも…
 
 かくして、僕らは沖縄本島の北端・辺戸岬から、一気に那覇へ。それも、沖縄自動車道を使わずに、県道70号線→国道331号線→国道329号線を辿って約3時間半掛けて。那覇に着く頃には午後9時を回っていた。
 この夜の宿泊先は『ホテル シーサー・イン那覇』。国際通りに面したホテルだ。僕らは荷物を部屋に置き、間を置かずにそのまま夜の街へ繰り出す。国際通りから久茂地の裏道に入り、たまたま通り掛かった沖縄料理&エスニック料理の店(店の名前は忘れました)に入り、チャンプルーやら得体の知れないエスニック料理を食べながら、オリオンビールをガンガン飲む。と、窓の外では突然の豪雨。おまけに雷鳴までもが響いてくる。路地を行き交う人々も、逃げるようにして小走りで通り過ぎて行く。深夜のスコールは10分程度激しく降り注いで、急にピタリと止んだ。
 「…そろそろホテルに戻ろうか」 「そうだね」
 雨の湿気を含んだ舗道は、その湿り気を生温(ぬる)い夜風に乗せて漂わせる。何だか“南国の夜”という感じがして、僕らはしみじみと「沖縄に居るんだなぁ」という感慨に耽る。が、再び降り出した激しい雨に、脱兎宜しく駆け足で国際通りを走り抜け、ホテルに逃げ帰った。
 


一体何度目なんだ!?“辺戸岬”。
Kさんは何故かこの岬に頻繁にやって来る。
彼を惹き付けるものは何なんだろうか?

 

これも何度も見ましたけど…
いや、べつに辺戸岬が悪いわけじゃ無いんですよ。
悪いのはKさんです。

 

この岬からの眺望は雄大でイイですけどね。
…くどいようだが、そう何度も訪れる場所か?
まぁ、べつにイイけどさ。

 

岬からレストハウス方面を見る。
…同じような写真がこのサイト内に何枚あるだろう。
あ、数えなくて結構ですから。

 

魚と鳥の融合を果たした銅像。
これも2002年の旅行記に写真があります。
…心なしか腹部の汚れが酷くなってるような…

 


断崖から下の海を覗き込んでみる。
珊瑚(?)の底の色がまさにエメラルド色。
北部まで来ると海の色も一際綺麗になりますね。

 

辺戸岬の売店。
ここの沖縄そばも意外と美味い。
ちょっと濃い目の味が個人的には好きだったり。

 

“安波集落”に在るガソリンスタンドで給油中。
この辺りじゃ貴重な存在ですね、たぶん。
何だかアットホームな感じ。

  

那覇に着いたのは夜になっちゃいました。
ここはたぶん天久の辺りかな?
意外と空いてた58号線。

  

明日の夕方は石垣島に行く予定。
本島での時間も残り僅か。
…って、最終日にまた戻って来るんだけどね。

  

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