1ダースの言い訳


 友人Kとの年一回の沖縄旅行も、回を数えること今年で12回目。…随分と長く続いたもんだ、とある種の感慨に耽る一方で、「よくもまぁ飽きもせず…いや、ちょっと飽きてるかも…」という微妙な気分にもなってみたり。とくに、ここ近年のKさんの孤高のマンネリストぶりと言ったら、それは最早「安定路線」などという穏やかな表現では語り尽くせないほどになっていて、「付き合う俺の身にもなってみろ!」的な怒りすら覚えるぐらいに悪化の一途を辿っているような…
 予(あらかじ)め言っておきますが、今回の旅行もまた最終的にはKさんの激しいマンネリズムによって締め括られた旅となってしまいました。特に最終日、嘆き→怒り→諦念(絶望とも言う)へと変化していく私の心情風景と共にこの旅行記を綴らざるを得ない辛さを察していただきつつ、お読みいただければ幸いです。って言うか、Kさん、キミはちょっとおかしいゾ!!
 …気を取り直して、2004年9月の旅行記を謹んでお送りいたします。

 9月14日午前8時。僕と友人Kを乗せたJALの機体は、一路沖縄那覇空港に向かう。その機内で、Kと僕は今回の旅行の大まかなプランを立てた。
 まず、初日〜3日目までは沖縄本島、その後4日目と5日目を八重山で過ごし、最終日に再び本島に戻って来る、というスケジュールで動くことにした。いつに無く本島の滞在日数が長めになっているのは、実は天気との兼ね合いがあったから。天気予報によると、どうやら16日辺りまで八重山地方の天候があまり宜しく無いらしい。悪天候の八重山は出来るだけ避けたい。なので、こういう日程を組むことにしたのだった。僕としては、本島に長時間居るのはかなり不安だった。何しろ、「孤高のマンネリスト」「恐怖のサメ・ドライバー」の異名を持つKである。毎回毎回同じような場所へ行きたがり、更には目的の無いダラダラ長距離ドライブを敢行する、恐るべき時間浪費型の旅を身上とする男である。その彼がもっともその真価を発揮する沖縄本島での滞在時間…これが長くなればなるほど、僕が彼の得意技の贄になる確率も高くなるのだ。ああ、神様!どうかこの男の発作が起こりませんように!

 そんな僕の祈りが通じたのか、那覇空港に着いた途端、僕らは普段とは若干異なる動きを余儀無くされるハメになった。
 まず、空港のロビーでKがガイドブック『沖縄・離島情報』を徐(おもむろ)に取り出した。今夜と翌晩に泊まる宿を決める為だ。「沖縄に着いてから宿泊先を決めるの?そりゃまた随分悠長な…」と思われる方も多いことだろう。しかし、僕らは大体いつもこんな感じなのだ。Kはガイドブックから那覇界隈のホテルを適当に見繕い、さっそく電話を入れる。
 「あ、もしもし、今日そちらのホテルで部屋は空いてますか?…ああ、そうですかぁ…」
 「ダメだって?」
 「うん、満室だって。仕方ないね、じゃあ、次の候補を………あ、もしもし、今日部屋は空いてますか?…ああ、そうですかぁ…」
 「またダメだって?」
 「うん、ダメだった。じゃあ、次のホテルに…」
 こうして、僕とKは手分けして、10数軒のホテルに電話をした。が、結局那覇界隈のホテルは全滅だった。急に不安気な表情になるK。
 「どうしようか…困ったなぁ。もしなんだったら、このまま石垣島に行っちゃおうか」と言うKに、僕は「それでもイイけど、べつに那覇のホテルに拘(こだわ)る必要は無いんじゃないか?コザにだって名護にだってホテルは在るんだし…」と答えた。
 「あ、そうか。そうだね、じゃあ、コザに泊まろうか。そう言えば、コザに有名なホテルが在ったよね。ほら、何とかホテルっていう…嘉手苅林昌が行ってたとかいう…」
 「ああ、デイゴホテルのこと?」
 「そうそう、それ。そこに泊まろうよ」
 と云う訳で、早速『デイゴホテル』に電話。幸い部屋には空きが在るとのことで、何とか初日の宿は確保した。続いて、2日目の宿も『シーサー・イン那覇』にかろうじて決定した。
 「じゃあ、次はレンタカーだ。…何だかイヤな予感がするね。たぶんどこのレンタカー屋も満車なんじゃないかなぁ…」
 そんな予感は的中し、これまた10軒強のレンタカー屋を総当りしたものの、どこも「空車無し」の返答。しかし、何とか「一台だけ空いてる車があります」という所を見付け出し、すぐに送迎車を回してもらうことにした。
 「いや〜、何だかのっけから冷や冷やする展開だねぇ」と胸を撫で下ろすKだったが、僕は内心「レンタカーが取れなかったら、サメ・ドライブに付き合わされる悪夢は避けられたかもしれない…」と少々複雑な心境だったのは言うまでも無い。

 送迎車でレンタカー屋に着くと、そこに待っていたのは、思いっ切りスポーツカータイプの車だった。おまけに屋根が幌になってる所謂(いわゆる)オープンカーってヤツ。これには、僕もKも一瞬たじろいだ。いや、べつにスポーツカー&オープンカーがどうのこうのと言うわけじゃない。しかしだね、こういうカッコイイ車に乗ろうとしているのが、極めて垢抜けない僕ら野郎二人組だ、ってのが…何だか気恥ずかしいっていうか、分不相応って言うか…
 でも、ここでそんな選り好みをしている余地は無い。カッコワルイ僕らは気合を入れてこのカッコイイ車に乗り込む。
 「うわっ!車内が狭い!天井が低い!視界も低い!シートが硬い!ハンドルが重い!」などと一頻(ひとしき)り文句を言いつつ、とりあえず目の前の小禄バイパスを走り出した。
 「あ〜、何だかバタバタしちゃったけど、何とかなったね。この車は恥ずかしいけど…で、Kさん、どこに行きますか?」
 「そうだねぁ…あ、すぐそこが“瀬長島”だよ。行ってみようか」
 「よっしゃ!じゃあ、レッツゴ〜!」
 

友人Kさん、『沖縄・離島情報』でホテルを検索中。
この時期でもホテルがなかなか取れないなんて…
沖縄人気の高騰を物語る現象?

 

那覇空港の上空は眩しいぐらいの晴天。
やっぱり沖縄はこうでなくっちゃ♪
さぁ、張り切って行きましょう!

 

探しに探して漸く辿り着いたレンタカー。
…男2人で乗るにはかなり恥ずかしい車って気が…
車内も狭いし、車高も低いし…

 

何となく、瀬長島に行くことにしました。
僕は2度目の上陸です。
橋を渡って島へGo!

 

 あっという間に瀬長島。瀬長島と言えば、那覇空港を離発着する飛行機だとか、夜景が有名な場所だ。で、夜景が綺麗な場所というのは、必然的に(?)カップル出没率が高くなるスポットでもある。そんな島に、果たして僕らがやって来てもイイものなのかどうか…しかも、こんな車で…ま、イイか。
 島に入って僕らがまず立ち寄ったのは、『瀬長島ファミリーランド』という施設。う〜ん、なんて言うかね、ゲームセンターと軽食屋が合体したみたいな感じ?で、この施設とシームレスで『瀬長島スポーツパーク』というのが隣接していて、こちらはバッティングセンターの類が備わっているようだ。僕らは一応、ファミリーランドの方に足を踏み入れてみる。が、店内には僕ら以外に客は居らず、何となく居づらい雰囲気…ソロ〜ッと店内を一巡りして、そのまま外へ出てしまった。まぁね、平日の昼間だし、仕方無いよね。休日はきっと家族連れやカップルで繁盛してるんでしょう。と、フォローしておこう。
 このファミリーランドの前にビーチがあったので、そこに下りてみる。9月中旬とは言え、これだけ晴れていると陽射しはまるで真夏。ジリジリと照り付ける太陽の下、じっと砂浜の上で立っていると…こりゃ熱射病になりそうな勢いだ。僕らはそそくさと車へ舞い戻る。
 「じゃあ、島を一周してみるか」
 Kはそう言って車を走らせた。この島はとても小さいので、一周といってもたかが知れた距離だ。途中、“子宝岩”の歌碑などを見たりしながらも、ほんの数分で外周道路を走破してしまった。
 「…終わっちゃいました。ハハハハ」とKが苦笑いする。
 「う〜ん、何だか微妙な…これからどうする?」
 「どうしようか。(瀬長島に)もう少し長く居られるかも、って思ったんだけど…」
 「この島はやっぱり夜景が見所だからなぁ。昼間に来てもねぇ」
 「じゃあ、夜にまた来ようか」
 「いや、それはそれで…ここはどうやらカップル天国になるみたいだから…それに、今晩はコザに泊まるんだからさぁ」
 「あ!そうだった。忘れてた。デイゴホテルだよね。ちょっと楽しみだよね、デイゴホテル」
 「そうだね、前から気になってたからね、あのホテル」
 …で、結局僕らはさっさと瀬長島を後にして、再び小禄バイパスに戻る。
 

「ピザ半額!」が目にも鮮やかなファミリーランド。
ちょっと閑古鳥が鳴いてるっぽい感じ…(^_^;)
「SENAGAGIMA」…GIMA?

 

那覇空港を離発着する飛行機が間近に。
航空機ファンの方にはたまらないスポット(?)。
そうでない方もそれなりに楽しめます。

 

この島って、夜になるとカップルがたくさん来るんでしょ?
ここがきっかけで「できちゃった結婚」とか…
まぁ、それもよかろう。

 

砂浜というよりは干潟なのかな?
細かい雲がポコポコと浮かんでいて、何かイイ感じ。
ちょっと秋めいた感じもする。

 

…とは言っても、やっぱり暑い!
朝から30℃前後まで気温が上昇。
陽射しが照り付けると尚一層暑い。

 


瀬長島は小さな島。
外周道路を一周しても、ほんの数分で周れちゃう。
…あんまり見所の無い島ではある。

 

“子宝岩”の歌碑。
う〜む…ある意味洒落にならないような…
ますますできちゃった結婚率が…(^_^;)

 


ただの歌碑ですからねぇ、幾ら拝んだところで…
ところでその子宝岩はどこにあるんだ?
この歌碑の後ろの岩が子宝岩なの?

    

 「さて、Kさん。次は何処へ?言っとくけど、『ひめゆりパーク』と『おきなわワールド(旧・琉球王国村)』だけは絶対に避けてくれよ!」(註:あ、念の為に言っておくけど、べつにこの2つのスポットが嫌いってわけじゃないんですよ。理由は過去の旅行記を読めば多少分かると思います)
 「行かないよ〜。…でも、どこに行こうかなぁ」
 そんな僕らの目の前に、『アウトレットモールあしびなー』の誘導看板が現れた。その途端にKは「よし、じゃあアウトレットモールに行こう!」と言い放つ。予想通りの展開ではあったが、ファッション関係に全く縁の無い僕らが、アウトレットモールで一体何をしろと言うのか?まんまと看板に誘導されるKを見ていると、広告媒体の威力を目の当たりにしているような…
 さて、誘導看板を頼りに『あしびなー』を目指して行くと、道はだんだんと集落の中へ入って行く。しかも、結構狭い道だ。「ホントにこの道でイイのか?」とほんのちょっと不安な気持ちになったりもしたのだが、そこを通過すると、いきなり真新しいだだっ広い道路にぶつかった。この辺りは“豊崎タウン”といって、急速に開発が進んでいるらしい。そんなタウンの中に、これまた唐突に現れる『あしびなー』。周りに何も無いので、この施設だけがホントに唐突にデ〜ンと現れる。僕らは思わず「おお!」と小さく叫んでしまった。ちょっと異様な光景ではある。
 平日だというのに、『あしびなー』を訪れている人はかなり多かったようだ。何しろ1,000台収容可能という駐車場が6割方埋まっている(そのわりには買い物客は少なかったような…?)。「なかなか盛況みたいだね、あしびなー」と僕らは早速モールの中に入ってみることに。
 そこは、なるほどアウトレットモールだった。ってあたりまえだけど。しかし、こういうのってホントにまるで関心無いんだよなぁ。「洋服にかける金があるんだったら、それは沖縄貯金に回すよ」程度の感覚しか持ち合わせていない僕には全く居場所の無い空間なのであった。Kさんも大体僕と似たり寄ったりで、激安ブランド品に少しも目を呉れる様子は無く、それどころか「沖縄っぽいTシャツとか、そういうのを売ってる店は無いのかなぁ」などと、的外れなことを言い出す始末。…ここはアウトレットモールですよ、Kさん。『波布蛇箱(HABU BOX)』か何かと勘違いしてませんか?大体、キミはいつもそうやって沖縄系の面白Tシャツを無駄に買ってるけど、それを着用してるのを一度も見たことが無いんですけど…
 でも、せっかくここまで来たんだからと、僕らは一通りモール内を巡回し、途中で沖縄のみやげ物を販売している『美童』という店を覗いたりしながら、30分ぐらい過ごした。「たった30分?」と取るか、「何も買わずに30分も?」と取るか、それはきっと人それぞれだろうと思う。が、いずれにせよ「アンタら、あしびなーに一体何をしに行ったんですか?」という疑問だけは、これを読んでいる人のほとんどが感じることだろう。実際、僕ら自身もそう思ったし。
 
 「う〜む、何かこう、ピリッとしない感じ…瀬長島もあしびなーも、べつに悪く言うつもりは無いけどさぁ、どうも今ひとつ調子が出ないって言うんですか?いつにも増して低空飛行な旅の始まり、って言うか…」
 「…今日のメインはデイゴホテルってことで」
 「Kさん!そんな弱気なことを言ってちゃダメだ!これから夜までにガンガン巻き返して行こう!人生前進あるのみだ!」
 「前進ったって…じゃあ、次はどこに行こうか」
 「…どこに行こうか…う〜ん、どうしようか…」
 こんな二人じゃ、ピリッともガンガンとも行くわけが無い。
 

何故Kさんは『アウトレットモールあしびなー』なんぞに…
まぁ、大した動機なんて皆無でしょうけど、100%。
そういう人なんですよ、Kさんって。

 

『アウトレットモールあしびなー』に到着。
異様に垢抜けた空間が突如出没。
じゃあ、さっそく入ってみようか。

 

思っていたよりデカいです、ここ。
50余の店舗がズラリと揃っております。
ほとんどが衣料品の店ですけどね。

 


なかなか小洒落た雰囲気です。
でも、元々ブランド品に興味が無い僕…
何だか少々手持ち無沙汰。

 

一応、食べ物屋もみやげ物屋も在ります。
僕らが立ち寄ったのはみやげ物屋だけでした(^_^;)
一体何をしに来たんだか…

 

お子様向けのプレイスペースも在ったりして。
大人はブランド、子供はバルーン。
床はフカフカ、財布はスカスカ。

  

ってなわけで、あしびなー探索終了。
ほらね、結構盛ってるでしょ?地元の人にも大人気の模様。
きっと値段も安いんだろうね。買わなかったから分かんないけど(^_^;)

 

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