Square


 結局、またしてもコザの『コリンザ』にやって来てしまった我々(と言うかKさん)。「『コリンザ』に来た」とは言っても、別にコリンザで買物をするわけでも何でも無くて、ただ単にここの駐車場にレンタカーを停めるためだけに来てるんだけど。ほとんど毎年訪れているコリンザ&“中央パークアベニュー”界隈。Kさんはこの場所にさぞかし思い入れがあるのかと思えば、ちっともそんな感情は抱いていない模様で、駐車場からパークアベニューに出て暫(しばら)く歩いていると、突然「相変わらずパッとしない街だねぇ」などと冷ややかな感想を述べる。
 「…じゃあ、来なけりゃイイと思うんですけど…」
 「だって、他にこれといって行きたいところが思いつかないからさ」
 ええっ?!Kさん!それはおかしいだろう!むしろ沖縄本島でKが行ってない場所なんて、腐るほどあるはずじゃないか!と、僕は心の中でシャウトしたが、それを口に出すのは止めておいた。言っても虚しいだけだし。
 それに、僕自身はこの界隈が結構好きだったりする。パークアベニューは年々寂れているし、然(さ)して面白い店などが在るわけでも無い(実際僕らはコザで買物などをしたことがほとんど無いです。ごめんなさい)。べつにライブハウスやクラブの類に入るわけでも無いし、怪しげなショーパブやバーに行くわけでも無い。だけど、この辺りの街並みは、何だかとても好きだったりする。パークアベニューからパルミラ通り、一番街を経てゲート通りへ。そのまま適当に脇道を折れ…という具合でただフラフラと彷徨するだけなのに、コザの街からいろんなものをもらったような気分になる。って、僕の場合どこをうろついていても同じようなことを 言ってるような気もするけどね。でも、普段はあまりこの手のほっつき歩きをしたがらないKさんでさえ、コザでは僕と一緒になって街の中をダラダラと徘徊することを厭わないところを見ると、きっとコザの街には「人をウロウロとさせる何か」が潜(ひそ)んでいるに違いない。と僕は勝手に決め込んでいる。
 この日もやはり例年どおり、僕らは宛ても無くこの界隈をフラフラと彷徨っていたのだが、Kが急に思い出したような感じで言った。
 「あ、そうだ。俺さ、“諸見百軒通り”ってのに行ってみたいんだよねぇ」
 「え?ああ、さっき言ってた“ぜひ行ってみたい場所”ってヤツね。…ところで、その諸見何とかって、何?」
 僕はその名を初めて耳にしたので、Kに訊き返してみる。
 「え〜っとね、…実は俺もよく知らないんだけどさ、ハハハ、何かの本か雑誌で見たんだよ、確か。何の記事だったかなぁ…エイサー関係の記事だったかも知れないなぁ…」
 「へぇ〜。エイサーねぇ…諸見っていうと、ちょうど“中の町”の近くに“諸見里”っていう町が在るよ。その辺りに在るのかな、その何とか通りってのは」
 「う〜ん…正確な場所は憶えて無いんだけど…330号線のすぐ裏に在ったと思うんだけどね」
 「…Kさん…“行きたい場所”と豪語するんであれば、もうちょっと確かな情報を提供して頂きたいんですけど…」
 「ハハハ、そうだよね…」
 「いや、ハハハじゃなくてさ…」
 「うろ覚えだけど、確かこっちの方だったはずだよ」と言って、Kはゴヤ十字路から330号線を暫(しばら)く南へと進み、やがて園田の辺りで脇道に逸れた。
 

何度目だ!?『コリンザ』。
潰れそうで潰れないね、ここ(←失礼?)
Kさんは無料駐車場として認識してるフシが…

 

“中央パークアベニュー”。
人通りが極端に少なくて、かなり寂しい感じ…
日曜の午後なのになぁ…

  


パークアベニューのアーケードの上を見上げてみると、
古い看板が結構残ってますねぇ。
この商店街が「アベニュー」になったのは、82年のこと。

  

コザには格安のホテルもたくさん在る。
那覇のホテルとは一味違った場末感がイイです。
…って、実際に泊まったことは無いんだけどね(^_^;)

 

沖縄らしいガラス破損防止柵(?)のついた窓。
台風被害の多い沖縄ならではの光景です。
初めて沖縄に来たときは、ちょっと違和感があったけど。

  

照屋林助さんのホームグラウンドですね。
正面玄関で、車椅子で移動中のてるりんさんと遭遇。
お身体、大丈夫なんでしょうか?心配です…

  

一部ではかなり有名な『デイゴホテル』は改築中。
とても良心的なホテルだという評判を良く聞きます。
いつか泊まってみよう!と思いつつ、実現せず。

  


あ〜、この感じ。
沖縄のごくありふれた街の中。
こういうの、たまらなく好きなんです。

  

建物の隙間にも心惹かれます。
思わぬ侘寂の世界が垣間見られたり。
…侘寂をホントに理解してるわけじゃ無いけどね。

  


アーケード“一番街”。
地元の人たちでそこそこ賑わってました。
シャッターが降りたままの店舗も目立つけどね。

  


壁に直書きの看板。ペプシ付き。
この建物の向こうは“ゲート通り”ですね。
で、今回もKさんはゲート通りを完全に無視(-_-;)

  

壊れた看板に漂う、時の流れと寂寥感。
赤と黄色の電球がまた、チープでイイ味出してる。
飲み屋だったんだろうか?

  

注目したいのは、バイアグラでは無くて運勢のほう。
まぁ、こういうのは沖縄以外にも結構あるけどね。
一瞬「ユタかな?」と思っちゃったり。

  

バヤリースの直書き絵看板。素敵です。
これ、一昨年に見て以来、ずっと気になってました。
たぶん、当HP初登場ですよね?(記憶が曖昧)

  

エレベーター入口の看板がド〜ンと路上に。
園田と言えば、青年会のエイサーが有名ですよね。
あのエイサー隊は、キレのある動きが魅力です。

  

何だか不思議なオーラを放ちまくっていた建物。
どうやらクラブ(ディスコ)らしいです。
60〜70年代テイストが狂い咲き状態。

  

 330号線の東側に沿うように伸びる路地。そこが“諸見百軒通り”だった。通りの入り口にはご丁寧に『諸見百軒通り』と書かれた看板が設置されているので、ここに辿り着けば誰でもそれを確認出来る(=日本語の読める人限定)。
 「ほら〜、やっぱり在った〜!俺の記憶力もなかなかスゴイでしょ?」と息がるKさんだが、ハッキリ言ってそれ以前にいろいろと問題があると思うのだが…
 ところで、後で知ったことなのだが、この諸見百軒通りは“エイサーオーラセー”の舞台として名の知れた場所なのだそうな。エイサーオーラセー…言ってみれば“エイサー対決”みたいな感じ?恐らくKさんは、このエイサーオーラセーの記事をどこかで目にしたのだろうと思う。
 さて、とにかくその百軒通りに辿り着いた僕ら。そこは…もの凄い場末感の漂うスナック街だった。
 「あのぉ…Kが来たかった場所って、ホントにここで良いんですか…?」
 「…ハハハ…」
 「…まぁ、とりあえずせっかく来たんだから、そぞろ歩いてみますか」
 基本的にこういう街は“夜の街”だろうから、昼間のこの閑散ぶりは無理も無い姿と言えるのかも。僕はこういう歓楽街を歩くのが好きなので、これはこれで自分なりに楽しむことは可能なのだが、自ら「行きたい場所だ」と豪語してしまった手前、果たしてKさんは如何に…?と、Kの様子を窺う。彼は、始めのうちこそ周囲をキョロキョロと見回していたが、案の定あっという間に興味を失ってしまったらしく、ロクに街並みを見ようともせずに、スタスタと涼しい表情で百軒通りを通過しつつある。…明らかに期待外れだったみたいですね、Kさん。
 「あのぉ…Kさん、もう少し周りを見ながらゆっくり歩いても良いのでは…?」
 「だって、あんまり面白くないし、ここ」
 「オマエが来たいと言ったくせに!」
 …まぁ、仕方が無いかな、とも思うけどね。そんなKを余所に、色褪せた建物やネオン看板にカメラを向ける僕。う〜む、この状況で可笑しな行動を取っているのは、明らかに僕の方だろう。
 そのまま諸見百軒通りを抜けて、再び330号線に出る。この330号線沿いの界隈も、ちょっと鄙(ひな)びた感じの建物があちこちに点在していて、僕はわりと好きだったりする。一方、それらにはまったく興味を示すことの無いKさんはと言えば、「さぁ、そろそろ那覇に行こうか」とあっさりとコザを後にして、一路宿泊先である那覇へと向かうのであった。
 
 那覇での最後の夜…この日も毎度恒例な感じの『居酒屋・ふるさと万歳』でダラダラと飲み食い。やっぱりこの人には“孤高のマンネリスト”の称号が相応しいとつくづく思う。本人はこの称号に不服らしいのだが…過去の旅行記を読んでくださっている皆さんは、きっと僕に同意して頂けるはず!でしょ?!
 

…あまりにも簡素。
簡素過ぎて逆に敷居が高い、って言うか…
何だか妙な「巡り合い」です。

  


「あすなろ」「ゆうな」「ぽぷり」…
どこかで見たような店名が並びます。
…普通の飲み屋ですよね?これ…

  

「ニューみなと」と言われても、
一体ニューなのかどうかも分からない(^_^;)
味のある建物ですけどね。

  

「つれづれ」の奥には小さく「ことぶき」。
ひらがなの名前がやたらと目立つこのスナック街。
昼間には人の姿もほとんど無い。

  

…そんな“諸見百軒通り”。
夜はきっと一際ディープな世界を見せてくれるんだろう。
ちょっと覗いてみたい気もする。

 


『諸見中央市場』の文字が見られます。
が、どうやら市場はもう無いみたい。
この奥の空き地が市場だったんだろうか?

  


『ボタンファミリーストア』。
エッシャーの騙し絵っぽい建物の構造がナイス。
沖縄のコンクリ建築、大好きです。(コメントお座成り)

   

「スナックいつものこと」の看板が崩落してます。
いつものとこ…素敵なネーミングですよね。
「今晩10時にいつものとこで」みたいな(^_^;)

  

…こういうネーミングも素敵だと思います。
考案した人とぜひお会いしてみたいものです。
オットセイ→オットピン→夫ピンという発想の妙(?)。

  

そんなオットピンの前に広がる社交街。
強肝解毒もきっと大いに役立つに違いない。
グットAを飲んで、すこやかな酒飲みライフを!

    

ここでちょっとお口直しを。
可愛いランプで身も心も清められた気分(?)
…買わなかったけど。

  

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