悪 食


 さて、今日は伊良部島&下地島だぁ〜!そこで、気になる本日の天気は…僕はホテルのベランダに出て、空模様をチェックする。雲は多めだが、まずまずの天気だ。このままで行けば、伊良部や下地の海も思い存分堪能出来そうだ。う〜む、楽しみですなぁ〜。
 「今から平良港に行けば、9時45分発のフェリーに間に合うね。早速出掛けようか」
 「よし、じゃあすぐに出発しよう!」
 などと、やや浮かれ気味でホテルを出て、駐車場に停めておいたレンタカーに乗り込む。…あれ?何だかこの車、ちょっとヘンな感じ…
 「何か、傾いてないか?この車…」「え?あ、ホントだ」
 レンタカーが右に大きく傾いているのだ。最初は地面の傾斜か何かのせいかと思ったのだが、どう見ても不自然な傾き方をしている。
 「こりゃ、パンクだね」
 右側のタイヤを見ると、やはり右後輪がパンクしているようだ。
 「参ったね、これじゃこのまま走るのは無理だよ」
 「仕方無い、近くのガソリンスタンドに行って、修理してもらおう」
 ふと空を見上げると、さっきまでの青空はすっかり形(なり)を潜め、冴えない曇天に覆い隠されていた。そればかりか、ご丁寧なことに小雨までパラついて来る始末…まったく、踏んだり蹴ったりって感じ。
 心許ないタイヤの状態を気にしながら、とりあえずマクラム通り沿いに在ったガソリンスタンドまで行き、そこでタイヤの補修をしてもらう。どうやらタイヤに穴が開いていたようで、店員さんの手際良い作業を見ながら「何で穴なんか開いてたんだろう?」「やっぱり昨晩のうちに誰かが穴を開けたんじゃないか?」「クッソ〜!犯人め〜!呪い殺してやる〜!エコエコアザラクエコエコザメラク…」などとブツブツ話している間に、補修はすっかり完了した。
 「おっ、これならまだ9時45分の船にギリギリ間に合いそうだぞ!」
 「よし、大急ぎで平良港へ直行だ!」
 僕らは修理代の支払いとお礼をササッと済ませ、すぐさま平良港へと向かった。

 平良港に着くと、僕らが乗ろうと思っていた“フェリーゆうむつ”は、すでに桟橋に着岸していた。桟橋に在る掘っ建て小屋のような乗船券売場でチケットを購入し、何とかフェリーに乗船することが出来た。滑り込みセーフ、といった感じだ。
 「良かったね、間に合って」「ちょっと諦めてたからね、このフェリーに乗るのは」
 それにしても、忌々しいのは僕らのレンタカーをパンクさせた犯人だ。一体どこのどいつがこんな下らない悪戯を…
 「あの辺り(=イーザト界隈)は宮古一の歓楽街だからね。酔っ払いとかもたくさん居るだろうし…」
 「きっとホテルの前に停まってる"わ"ナンバーの車だ、ってことで、舐められたんだろうねぇ」
 「う゛〜!まったく腹が立つ!どうか神様、犯人にどエライ不幸をお与えください!」
 …こんな祈りを神様が聞き入れて下さるとは到底思えないが。
 そんなこんなで、フェリーは平良を離れ、伊良部島へと向かう。相変わらず天気はどんよりとしたままだったが、気を取り直して島巡りしようじゃないか。
 

ホテルのベランダから平良港方面を見る。
沖に伊良部島も見えます。
このときは天気も良かったんだけど…

  

ガソリンスタンドでタイヤのパンクを修理してもらうことに…
思わぬ足止めを喰らった感じ。
Kも頭を抱え込んでます(嘘)

  

伊良部島に出発!!
…と盛り上がったのにすっかり曇り空。
ど〜なってんだよ!

  

高速艇がフェリーを追い越していきます。
あまりお客は乗ってない様子。
まぁ、シーズンオフだし。

  

 約25分の短い船旅を経て、伊良部島の玄関口・佐良浜港に到着した。Kはしきりに「懐かしいなぁ」などと口にしているが、彼の「懐かしいなぁ」ほど宛てにならないものは無い。大体彼は、今日下船した桟橋が8年前とは別の桟橋だということも気づかなかったようだ。後でそのことに触れたら「え?そうだったっけ?」と空(す)かし顔で言い放った。
 桟橋から移動し、途中で連絡船待合所も兼ねた売店『ジョイフルショップ田舎屋』に立ち寄ったりしながら、そのまま佐良浜の集落に入る。佐良浜の集落は、比較的新しい建物が目立つ集落だ。…というより、ここ佐良浜に限らず、宮古諸島は全体的に古い趣きのある建物や集落はあまり残されていない。そりゃまぁ、無理も無いだろう。“台風銀座”と呼ばれるほど大型台風の猛威に晒されるこの地域。この旅行中にも、その猛威の片鱗はあちこちで確認出来た。新しく頑丈な建物が増えて行くのも、また必然であろう。
 「…何だか、ごく普通の住宅街って感じだね」とKが呟く。う〜ん、確かにね。とくにこの佐良浜では、新興住宅地を思わせるような街並みが見られる。
 そんな佐良浜を抜けて、Kはどうやら伊良部島の北端“白鳥崎”を目指しているようだ。
 

桟橋近くにある売店『JS田舎屋』の入り口。
でも、こういうのって役場とかに開設するものでは…?
あ、出張サービス?

  

このおじさんが相談に乗ってくれる人なのかな?
それともただ休憩してる一般の方?
それはともかく、弁当でも買うか。

  

2002年12月以来の伊良部島&下地島。
さて、Kさんの行動やいかに?!
…はなからあまり期待しちゃいないが。

  

佐良浜の集落を抜け、島内へ。
さっきより少し青空が見えて来た。
このまま天気が回復すると良いのだが。

  

佐良浜は伊良部の東側にある集落。
宮古からの島の玄関口。
ちょっとした商店街(?)もあります。

  

この辺りの建物はごく普通の住宅風。
って言うか、宮古諸島ってわりとこんな感じ。
パッと見、島の風情はほとんど見受けられず。

  

 白鳥崎から西海岸に掛けての一帯は、『西海岸公園』として整備されている。海沿いに遊歩道が伸びていて、天気が良ければさぞかしそぞろ歩くのに気持ち良いスポットだろう。…天気が良ければ、ね…
 さて、白鳥崎に到着した我々。早速、休憩所兼展望所といった感じの東屋を発見し、そこに向かおうとすると、足元に何やらゴロゴロと散乱する物体が…地面にとっ散らかった大小の赤い破片…
 「これ、赤瓦だよね…」
 「うん、そうだね…でも、一体何処からこんなものが…?」
 周囲を見渡すと、この赤瓦の出所はすぐに分かった。目の前にある休憩所の屋根だ。近づいてよくよく見てみると、赤瓦を葺いた屋根の所々が無残に剥がれ崩され、周囲にその瓦の残骸が飛び散っている。これは…風で剥がれたものなのか?はたまた、風に飛ばされた何かが屋根に当たったことによる損傷なのか?
 遊歩道を歩いて公園の方へ進むと、赤瓦ばかりではなく、例えばベンチが根こそぎ薙ぎ倒されていたり、柵が不自然な歪み具合で傾いていたり、何処からか飛んで来たのか大きな木が芝生の中にドカッと横倒しになっていたり…まさしく「嵐の後」そのものといった光景が其処此処に。
 

およっ?赤瓦の破片がこんなところに…
石タイルも所々剥がれてるし。
この瓦、一体どこから…?

  

どうやらこの休憩所が怪しい。
頭上に気をつけながら近づいてみよう。
一見、変わったところは無いような気がするが…

 

屋根がガタガタです。
間違い無く台風14号の所為です。
今日もまた台風被害を見せつけられるのか?

  

でも、その休憩所からの眺めは結構イイです。
ここは『西海岸公園』(だろうと思う)。
これでもっと晴れていればなぁ…

  

今日は結構風が強い。
波もかなり高いです。
帰りのフェリー、大丈夫だろうか?

  

この展望所はかろうじてほぼ無傷。
…かと思ったんだけど…
近づいてみると…

  

そこには横倒しになっちゃったベンチが。
こんなのがあちこちにゴロゴロとあったりして。
どエライこっちゃ。

  

空き缶・空きペットボトルがたくさん放置されてる。
これも台風の仕業…なわけないだろ!
ゴミはゴミ箱へ!ちりすてないで!

  

 そんな“白鳥崎”及び『西海岸公園』を後にして、次にKが行き着いたのは“フナウサギバナタ”。沖縄にちょっと詳しい人ならば、“バナタ”が“崖”のことだろう、というのは何となく推測がつくかも。“茅打ちバンタ”とか“比屋定バンタ”の“バンタ”に語感が似てるし。じゃあ“フナウサギ”ってのは?やっぱり兎(うさぎ)の一種?…正解は自分で調べてみましょう。
 で、その“フナウサギバナタ”は『西海岸公園』の南端の辺りに在る。ここには伊良部島名物(?)の渡り鳥“サシバ”を模(かたど)った展望台が建っていているらしい。…と言っても、もともと伊良部島に関する予備知識をほとんど持ち合わせていないKが、このサシバ型展望台の存在を知っているはずも無く、ただ「何となく」立ち寄ってみただけなのは言うまでも無い。
 それにしても、沖縄にはどうもこの手の動物を模った巨大モニュメント系の物件が多いような気がしない?辺戸岬のヤンバルクイナ型展望台、小浜島のマンタ型展望台、伊是名島のシーサー(?)型展望台などなど…で、それらの多くは、この類の物件独特のユルい感じを漂わせていたり。
 ところが、このサシバ型展望台は、実物を見てもそういうユルさはあまり感じられない。いや、それどころかかなり完成度は高い気がする。全体的にシャープな印象のフォルムといい、羽根の質感を的確に伝える塗装の具合といい、並々ならぬ手応えを与えてくれる好物件。不覚にも「カッコいいじゃん…」と思ってしまった。
 が、そんなサシバ展望台も、例の台風であちこちが損壊されてしまっていた。特に両翼の付け根の部分、人間で例えるなら腋の下の辺りの崩れが激しく、ちょっと痛々しい。
 「…結局、今回の宮古の旅は、どこに行っても台風絡みの光景の連チャンで…」
 「…う〜ん、何だかねぇ…」
 食傷気味です。ホントはこんなこと言うのは不謹慎だとは思うけど。こうも台風の傷跡を次から次へ見せられると、だんだん感覚が麻痺して来ちゃう。…とは言いつつ、ついついそういうものに目が奪われてしまうわけだけど。この野次馬根性ってのは、人間の本能に近い欲求なんだろうか?それとも、そんなのは単に俺達の性格の問題?
 

ありゃりゃ、立ち入り禁止だと。
…すみません。ちょっと侵入させていただきます。
工事関係者じゃないんですけども。

  

巨大な鳥が羽ばたく後ろ姿と遭遇。
その正体は『フナウサギバナタ』の展望台。
渡り鳥サシバを模ったゴージャス(?)な展望台です。

  

サシバの羽根の付け根が痛々しいことに…
って言うか、なんだか巨大な鳥ロボットみたい(^_^;)
内部の鉄骨が露になっちゃってます。

  


で、その部分の残骸と思しき物が地面に散乱。
これ、修復するの結構大変そうだよなぁ。
ちゃんと元通りになるんだろうか?

  

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