今日も明日もありがとう


 今夜泊まるのは『プチホテル プレミア』というホテル。今日、石垣島を発つ前に電話で予約を入れておいたので、僕らは余裕綽々でそのホテルへと向かった。
 ホテル指定の駐車場と思しき場所に車を停め、階段を上がって2階に在るフロントへ行く。が、フロントには誰も居ない。と、僕らの気配を感じたのか、フロントの奥から小〜中学生ぐらいの女の子がこちらの様子を窺い、僕らとチラリと目を合せるや否や「お母〜さ〜ん!」と声を上げた。その声に応えて奥から出て来たアンマーが、フロントカウンターに着いて「あ〜、お待たせしましたぁ。いらっしゃいませ」と言うなり、ハッとしたような表情になった。
 「あの、もしかして御予約いただいたささきさんとKさんですか?」
 「え?あ、はい、そうです」
 「せっかく御予約いただいたんですけど、実はこちらのミスで、今日はお部屋が満室で、お客様のお泊りになるお部屋が無いんですよ」
 「…え?」
 「大変申し訳ございません。それで、勝手な話なんですけど、この近くに在る別のホテルでお部屋を用意してもらいましたので、もし宜しかったらそちらのホテルの方でお泊りいただいても宜しいですか?もちろん、料金は同じで御用意させていただきましたので」
 「…はぁ、べつに構いませんけど…」
 「本当にすみません。ほら、今宮古には台風の復旧作業に来てる作業員の方が大勢いらしてましてねぇ、ここにもその作業員の方達がお泊りになってるんですけど、その中で予定よりも長く滞在されるお客様が出てしまって、私もそれをうっかり忘れてまして…」
 「ああ、そうなんですかぁ…大変ですねぇ」
 「いえいえ、ホントに私のミスですから。申し訳ありませんでした」
 「いえいえ、そんなに気になさらずに。…ところで、代わりのホテルっていうのは?」
 「このホテルの通り一本向こうにある『アイランドコーラル』さんです。お客様はお車でお越しですか?」
 「はい、今ホテルの前の駐車場に停めてありますけど」
 「じゃあ、私が『アイランドコーラル』さんまで案内いたしますので、お二人はお車にお乗りください」
 アンマーに促され、僕らはホテルを出て、停めたばかりのレンタカーに戻る。
 「ところで、俺達が車に乗って、アンマーはどうやって代わりのホテルまで案内するつもりなんだろう?」
 「後部座席に乗ってもらって、案内してもらえばイイんじゃないの?」
 と、僕らのレンタカーの前に、アンマーが手を振りながら立ちはだかった。
 「じゃあ、私の後に付いて走って来てください!」
 そう言うと、アンマーはイーザトの狭い路地を颯爽と走り出した。え?まさかこのアンマー、ランニングで先導するつもりなのか?
 「あの〜、車に乗ってください。後部座席が空いてますから〜」と車窓からアンマーに言うも、アンマーは「いえいえ、大丈夫ですから」と背なで手を振りつつ、チャッチャチャッチャと速いピッチで路地を抜けて行く。アンマーを走らせておきながら、車でそれを追う我々。…何だか訳も無い罪悪感が…それにしても、アンマーの走りは非常に軽快だ。Kは路地の狭さが気になって、やたらと慎重な運転をしているので、うっかりするとアンマーの姿を見失ってしまう。笑顔で「こっちこっち!」と手招きするアンマーを見て、ふと思い出す。
 「…宮古と言えば、トライアスロン…もしかするとこのアンマーも…」
 『プレミア』から『アイランドコーラル』までは、それほど距離的に離れていなかった。3分程度の移動でホテルに到着した。アンマーは僕らをこのホテルに引き渡し、「では、今日は本当にすみませんでした〜」と深々とお辞儀をし、また颯爽と走って戻って行った。
 ところで、僕らが急遽泊まることになった『ホテル アイランドコーラル』は、どうやら先刻の『プレミア』よりも若干宿泊料金が高かったようだ。そう聞くと何となく得したような気分になったりしてね。
 

当初泊まる予定だった『プチホテル プレミア』。
が、上記のような事情により急遽変更に…
で、替わりに泊まることになったのが…

  


こちら『ホテル アイランドコーラル』。
比較的新しいホテルみたい。
ちょっとだけ得した気分にもなったり(^_^;)

  

 ホテルに荷物を置き、僕らは今宵入る飲み屋を探しがてら、夜の平良市街をフラフラ歩くことにした。久しぶりにこの界隈を歩くKは、一々「懐かしいなぁ」と呟きながら周りをキョロキョロと見回している。かつて僕らが泊まった『大衆食堂』という名のそば屋の2階に在った民宿に行ってみると、どうやらそこはもう民宿では無く、一般の貸し家になっているようだった。
 「あ〜、民宿辞めちゃったんだね、ここ…」「そうだねぇ」一抹の寂しさを感じたりして。
 『櫻亭』『ぽうちゃたつや』『おふくろ亭』と、以前利用したことのある店の前を通る度に、Kは「懐かしい」を連発する。が、基本的にはドライな性質のKさん。それらの店に入ってみようという気は更々無いようで、「懐かしいねぇ」などと言いつつもあっさり素通り。
 マクラム通り、市場前通りなどを一通り巡った後、僕らは仲里通りのすぐ近くに在った『西里屋』という店に入ることにした。店内は座敷メインでこじんまりとしており、僕ら以外には2組のお客が居るのみで、それぞれ座敷に座ってまったりと飲食しつつ談笑していた。
 僕らは早速、料理とビールを注文。そのままラストオーダーまで約3時間に渡ってダラダラと飲んだり食ったり喋ったり、身も心も解(ほぐ)されるような夜を堪能した。料理もかなり美味かったし。
 「いやぁ、イイねぇ、宮古も」と、あれほど宮古島を毛嫌いしていたKが、しみじみと言う。
 「…キミの場合、“座敷のある料理屋でまったり”出来れば、それだけで“良い島”ってことになっちゃうのでは…?」
 「うん、まぁね」
 「まったく、オマエってヤツは…」
 そろそろ日付が変わる時刻。3時間前よりも幾分静かになった仲里通りをホテルに向かって歩く僕らの傍らを、千鳥足のオジィが擦れ違って行った。家に帰るのか、はたまた別の店に行って飲むつもりなのか。程好く弛緩した夜の街を包むのは、10月とは思えないような生温い空気。いや、実はこのとき最も緩く弛緩していたのは、僕ら自身だったのかも知れず…
 

夜の西里通り。
まだ午後9時前だというのに人通りが少ない…
一応目抜き通りのはずなんだが…

  

おお!西里通りにホッパーが出来てる!
で、ケンタッキーは閉店してました。
サンダースおじさん人形も消えちゃってました(涙)

  

今夜は『西里家』でまったりと飲食。
店内は狭いけど、不思議と居心地は良し。
で、味もなかなか宜しかったです。

  

ソーミンチャンプルー♪
無茶苦茶シンプルな料理だけど、イケるんだよねぇ。
泡盛との相性も意外と良いし。

  

こちらはミミガー(ピーナッツ味噌あえ)。
コリコリした歯応えがまたたまらないのだ。
「豚さん、ありがとう!」って感じ。

  

海ぶどう!これまた美味い!
これもやっぱり食感が独特で大好物です。
身体にも善さそうだし。

  

これは…確か「焼きそば」だったと思う。
そばはもちろん沖縄そば。ちょっと焼きうどん風。
具に含まれたゴーヤーが程好いアクセントに。

  

で、柄にも無くデザートまで注文してみたり。
春巻の中身はバナナ。アイスが添えてある。
これ、かなりオススメです。

  

ゲンキ牛乳は宮古でも絶賛(?)販売中!
「うしさんありがとう牛乳」ってのが素敵です。
島産生乳使用。

  

アサヒ牛乳も絶賛(?)販売中!
その横の「お母さんありがとう」にホロリ(^_^;)
って言うか、コンビニで写真を撮るなよ、俺。

  

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