after 8years

 
 宮古空港に降り立ったと同時に、Kは「うわ〜、空港がずいぶん変わっちゃったなぁ」という驚きの声を上げた。そう、彼が以前宮古島を訪れた8年前は、まだこの空港は改装されておらず垢抜けない雰囲気だった。そんな雰囲気もそれはそれで個人的には好きだったのだが。「…何だかちょっと久米島の空港みたいな感じだね」とKが言う。確かにそんな印象はある。って言うか、改装された空港ってわりとどこも似たような空港になっちゃうような…
 手荷物を受け取り、まずはレンタカーを申し込むことにする。空港ロビーにあるレンタカーの窓口カウンターでその旨を告げると、すぐに送迎車が迎えに来てくれた。空港を離れ、市街地に向かう道すがら、早速目に入って来たのが、不自然な枯れ方をした街路樹と、これまた不自然な折れ方をした椰子の木だった。市街地に近づくと、看板の壊れた店もちらほらと見え始めて来る。僕らはそれを見ながら「う〜む、やっぱりこれは…」と複雑な気持ちになった。
 「でも、思ったよりだいぶ復旧してるかもしれないね。もっとスゴイことになってると思ってたけど」とK。僕も「そうかもね」などと答える。が、その後、この認識が如何に甘かったかをまざまざと見せ付けられることになるわけだが…

 レンタカーを借りた僕らが真っ先に目指したのは、“砂山ビーチ”。8年前もやはり僕らが一番最初にやって来たのが、このビーチだった。その当時はデジカメなんか持っていなかったので、写真はもっぱら“写ルンです”の類の使い切りカメラで撮っていたのだが、砂山ビーチに着いて早々そのあまりの美しさに、36枚撮りのカメラをあっという間に使い果たしてしまった、という曰く付き(?)の場所だったりする。「あれだけ海に感動しておきながら、どうしてKさんは今まで宮古に来ようとしなかったのか?」という疑問に関しては、まぁ今更問い質したところで適当な返事しか返って来ないのは火を見るより明らかなので、もうどうでも良かろう。
 ビーチへと続く真っ白な砂地の上り坂の前に立ち、Kは「やっぱりスゴイなぁ…」と呟く。眩しいぐらいに白く輝く砂の坂の上に広がる、真っ青な空。その砂の坂を縁取るように茂る草木の緑。それらのひとつひとつが目に染み入って来る。Kで無くても、この光景を目の前にすれば、自然と胸が沸き立つことだろう。その砂山をえっちらおっちら上り切ると、これまた眩しいぐらいに真っ白な砂浜と、超弩級に綺麗な海原が広がる。ああ、やっぱりいつ見てもこのビーチは感動的に美しい。
 僕らは小走りで砂浜へと降り、少しの間立ったままで海を見た。ビーチには僕らの他にも数人のお客が居たが、皆砂浜に座りながら、口数少なく海を見ていた。静かな静かな海。静かな静かなビーチ。まさしく是眼福至福!って感じである。僕らも砂の上に座って、しばらくぼんやりと海を眺めた。…それにしても暑い。何しろこの日の気温は30℃を超え、晴れ渡った空からは10月とは思えないような強い陽射しがガンガンと照り付けていた。ちょっと風はあるものの、涼しさを呼ぶほどでは無い。
 「…暑いし、そろそろ行こうか」「…そうだね」
 名残惜しい気持ちだったが、僕らは砂山ビーチを後にした。
 

「一体何度目だ?!」という感じの“砂山ビーチ”。
だって仕方無いじゃん、好きなんだから。
宮古に来たら絶対寄りたい場所なのだ。

  


…大木が根こそぎ…
台風がもたらした被害であることは明白。
周囲の木も何だか枯れまくってますが…

  

気を取り直してビーチへGO!
う〜む、やっぱりこの海の色はスゴイ!
何度来ても感動してしまいます。

  

これぞ宮古の海の色♪
目が醒めるような眩しい海原。
砂の白さも感動に値します。

  

海水もウットリするほどに透明。
Kさんもしきりに「スゴイ!」を連発。
この海を前にしたら、きっと誰でもそう思うはず。

  

海の方からビーチを見たところ。
あの砂の坂を越えないと、このビーチは拝めません。
意外と体力使います、あの砂の坂を上るのって。

  

 Kは“池間島”を目指しているようだ。ひたすら県道230号線を北上している。…それにしても(数ページ前にも書いたけど)ホントにKという人物は、どういうわけかどの島に行っても西回りと言うか時計回りでドライブをしたがる人だ。本島でも那覇→西海岸→北部→東海岸というルートを辿ることがほとんど、石垣島や西表島でも同様、唯一の例外は久米島訪問のときだけである。…そう言えば、回遊魚ってどっち回りで泳ぐんだったっけ?もし回遊魚もKと同じく右回転で泳ぐのだとしたら…やっぱりKの前世はサメだったに違いない。
 海岸線には防風林(だろうと思う)がずっと伸びているのだが、枝が折れていたり、中には根こぞぎ薙ぎ倒されている木も少なからず見られた。木ばかりじゃなく、コンクリート製の電柱までもがピサの斜塔状態で傾いている有り様だ。さらに北部の狩俣という集落に入ると、一部の電線が切れて垂れ下がっていたり、学校の窓ガラスが割れたままだったりした。台風が宮古を襲ってから2〜3週間が経過しているのに…やっぱりまだ完全復旧とはいかないみたいだ。
 最初のうちはそんな様子を見ては「こりゃスゴイなぁ…」とか「どエライことになってるなぁ…」などと野次馬感覚で反応していた僕らだったが、次々に現れる台風の爪痕に、やがて言葉を失いはじめる。それは「島の人が気の毒だ」というような気持ちから、と言うよりは、「台風ってこんな破壊力を持っているのか…」という驚きの大きさが原因だった。
 「何だか、島全体が茶色っぽく見えるよね。木がほとんど枯れちゃってて…これも台風のせいなのかな?」
 「う〜ん、たぶんそうだろうと思うよ。きっと葉っぱなんか吹っ飛んじゃったんだろうし…」
 しかし、そう深刻がってばかりも居られない。僕らは海岸線をズンズンと進み、池間大橋に向かう。

 池間大橋を渡って、池間島に入る。灯台や漁港を見つつ、集落の周囲をそろりと周ってみる。と、とにかく目に付くのが「自然学校反対!」とか「島プロジェクト反対!」という手書きの看板。集落の中だけじゃ無く、島のあちこちにこの看板が掲げられていた。
 “島プロジェクト”については…いろいろなメディアやネット上でも話題になっていたから、きっとご存知の方も多くいらっしゃることだろうと思う。なので、ここでは割愛します。それに、去年の10月末にこの問題は一応決着してるみたいだし。
 これらの看板を見て、いろんな意味で少々複雑な気分になったが、気を取り直して池間大橋に引き返す。この橋の周辺の海の色は、ホントに凄い。凄まじいまでの青や緑のグラデーション。そこに浸かったものは、ことごとくその色に染まってしまうのではないか、と思ってしまうような。僕らは池間側にある橋のたもとの食堂で、ソーキそばを啜りながら窓の外の海を眺め、それでも飽き足らずに、橋の下にあるビーチへ降りて、少しの間ぼんやりと海を見る。
 「…って、何だか俺達っていつも“海をぼんやり見て”ばっかり、って気がするんですけど…」
 「海に来てもぜんぜん泳がないしね」
 「去年、波照間で泳いだのが最後だもんなぁ。マジで“アンタら、海に一体何しに来たの?”って感じ…」
 …仕方無いです。これが我々の我々たる由縁。沖縄に来て、ろくに海で泳がない旅行者。まだ充分泳げる時期であるにも関わらず…
 

池間島の灯台。
わりと小振りで可愛い灯台です。
さて、それではサクッと池間島巡りスタート!

  


池間漁港。
人の気配がまったくありません。
漁に出掛けてるのか、漁の後なのか。

  

枝がボキッと折れてます…
これまた台風のせいだと思う。
これはまだ大人しいほうで…

  


根こそぎぶっ倒れてる木もたくさんあった。
コンクリで打ったベンチも根こそぎ倒壊してる状態。
どエライ台風だったことを如実に知らされるこの光景。

 

高橋歩氏による“島プロジェクト”。
まぁね、かなり怪しい計画だったし。無理も無いかと…
「ダミど〜」ってのがちょっと可愛いけど。

   

電柱が傾いてます。
こういうのがあちこちにありました。
電柱を倒す強風…想像を絶する破壊力。

    

池間大橋。
この橋からの海の色は、これまた格別です。
思わず声を上げたくなるような。

   

大橋のすぐ脇にあるビーチ。
海を見ながらぼんやりするこの至福の時間。
沖には大神島も見えます。

  

まさしくクリームソーダを彷彿とさせるこの色。
たまりませんねぇ〜。
波の音にも心癒される思い。

  

…と言ってる傍にはこんな光景。
防波堤(?)が崩落してました。
今回の宮古旅行記の写真は、こんなのばっかり…

  

でもね、宮古の海はやっぱりスゴイ!
極上の海の色を心ゆくまで堪能できます。
“海の色マニア”には垂唾もの!

  

珊瑚と砂地の織り成す色のページェント。
…ページェントって何?
微妙に使い方間違ってませんか?俺。

  

 池間から宮古島に戻る途中、何気なく車窓から西平安名崎の辺りに目をやると、ぬぬっ?!ありゃなんだ?!
 「おい、K。風車が壊れてるぞ!」 「え?あ、ホントだ」
 現場に急行だ!とばかりに、西平安名崎へと向かう。が、風力発電施設の手前に「進入禁止」という警告板の付いた柵が置かれていて、風車の傍までは近寄れない状態だった。
 柵の向こうに目を凝らすと、2基立っている風車のうちの1基は完全に羽根がもぎ取られた状態。もしかすると、ここには2基以上の風車が立っていたのかもしれないが、このとき確認できたのは2基のみ。果たして、この風力発電施設が、島の総電力のどれほどを賄っているのかは分からないけど、やっぱり多少は影響が出るんだろうに…って言うか、その前にこの壊れた施設を復旧させるのに結構な労力と費用が要されるはず…
 「こういうのって、保険とか掛けてないのかなぁ?」
 「さぁ…地震保険とか火災保険はあるけど…台風の被害にも保険が適用されるのかどうかも…」
 そんなことを話しながら車に戻り、僕らは宮古島を南下する。
 


西平安名崎の風力発電所の寸手にこんなバリケードが。
う〜む、乗り越えて進入しちゃおうか?
…そんな度胸はありませんでした。

  

なので、最大ズームで風車を撮影。
奥の風車、羽根がもぎれ落ちてる。
風車なのに風に弱い、とはこれ如何に?

  

防風林が無くなり、妙に見晴らしが良くなってる。
くどいようですが、
ホントに今回はこんな写真ばかりです。すみません。

  

冠水した道路。水深約10cm。
もともと冠水しやすいのが宮古の道路。
レンタカーが壊れないかちょっと心配になる。

  

傾いちゃってる電柱。
もうだんだん見慣れて来てしまう自分。
慣れって恐ろしいものだと、痛感しきり。

  

で、木はどれも枯木立状態。
ヤケに茶色っぽい印象の宮古島。
荒涼とした空気すら漂うような…

  

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