不粋な私と云う存在


 川平湾から“米原ビーチ”へと向かう。いつもだと素通りしてしまうところだけど、今年のKさんはちょっと違っていた。
 「ちょっと寄って行こうか」
 「イイけど…珍しいねぇ、いつものKだったら目も呉れずにチャ〜ッと通り過ぎてただろうに」
 「それだとささきがまたブツブツ文句言うだろ?」
 どうやら、今まで散々「サメドライブ」だの「無目的惰性運行」だのと罵倒していた効果が確実に顕れて来たようだ。苦節11年、地道に不満を述べ続けていた僕だったが、それが漸(ようや)く実を結んだようである。まるで演歌歌手のサクセスストーリー。ここまでの道程の何と永かったことよ…
 僕らが米原のビーチ及びキャンプ場に立ち寄ったのは、1995年以来のこと。このときは、ちょうどあの某宗教団体が大変な事件を起こした年で、彼らがその数年前にこのキャンプ場でセミナーと称した集会を行なっていた、と報道されたのを受けて、Kさんが「米原に行きたい!」と並々ならぬ熱意を見せたのだった。とは言っても、それは決して社会的な関心によるものでは無く、単なる野次馬根性だったりするのだが。
 …まぁ、それは置いといて、とにかく久しぶりに米原の砂浜に降り立ってみると、そこには綺麗な海が広がっていた。曇りがちだった空も、このときは雲が切れて、海面は青く光っている。やっぱり海はこうでなくっちゃねぇ。
 「そう言えばさ、だいぶ前にここでオ○ムが…」
 Kさんが昔の話を生し返す。もうイイって、それは。米原ビーチ&キャンプ場に失礼じゃないか。と言いつつ、ついついその話に乗ってしまう自分。
 そんなどうでもいい話を、海を見ながらしばらくグダグダと続けていたが、だんだん虚しくなってきてビーチを後にした。…馬鹿じゃないの?俺達…
 戻りがてら、ビーチのすぐ傍に在る『米子焼工房』の前を通る。ここに属するアーティストの手に拠るものであろう前衛的なシーサーに絶句。以前、何かの雑誌でこの焼窯の窯主のインタビューを読んだことがあった。確か、キジムナーとシーサーの融合というようなことを語っていたような記憶が…
 キジムナー、あのドラマ『ちゅらさん』にも登場した沖縄限定の精霊(或いは妖怪?)。その存在を確信している人も多いらしい。僕はどうかと言うと…語弊があるのでここでは伏せておこうっと。
 「Kさんはキジムナーの存在を信じますか?」「……」
 ごめんね、キジムナー。僕らにはきっと一生きみと逢えるチャンスは訪れないことでしょう。
 

吉原辺りから川平湾を望む。
…何だかちょっと晴れてないか?
俺達が居たときはあんなに曇ってたのに…

  

随分とすっきりした感じのキビ畑。
刈り取りのシーズンでは無いはずだけどなぁ。
休閑地なの?それとも台風のせい?

  

こういう手法、最近増えてますよね。
「ありがとう」って先に言っちゃう注意書き。
コンビニのトイレなんかでもよく見掛けます。

  

←当HP恒例(?)の“チリ”シリーズでした。
石垣島を北西に進みます。
右手に見えるは於茂登山系の山並み。

  

米原ビーチに立ち寄りました。
ここに来たのはかなり久しぶり。
キャンプ場も在るんだよね。

  

おお!なかなか綺麗じゃないか!
が、しかし、ここって遊泳禁止なんだよねぇ。
ちょっと残念。

  

でも、白い砂浜がとても心地良い。
泳げなくても、それはそれでイイか、という気にもなる。
元々俺達はあんまり泳がないし。

  


ビーチのすぐ傍にある『米子焼工房』。
その名のとおり、焼物の窯元さんですね。
個性的なシーサーが有名。

  

う〜む、個性的(^_^;)
どことなくクレイジーな香りも漂っているような…
デカいし。

  

  『伊原間サビチ洞』…僕はこれで3度目の入洞。まぁね、別に文句を言うつもりはまったく無いんですけどね、果たして3度も訪れるほど楽しい場所かどうかは微妙、って気もするんですけど…どういうわけかKさんは何かとここに寄りたがる。「そんなに好きなのか?」と訊くと「いや、べつに好きってわけじゃないよ」という答え。じゃあ何で?!
 中の様子に関しては、過去の旅行記にも書いてありますので省略。とにかくこの洞窟の特徴は、洞内にやたらと置かれた甕や壷(しかもそのほとんどが骨壷の類)と、洞窟の先にビーチがあること。ビーチでの過ごし方によっては、その気になれば700円の入洞料で一日中過ごせる。あ、でもビーチは満潮時には水没しちゃうので注意が必要。
 かく言う僕らは、洞窟もビーチもほとんど流し見状態で、30分も滞在しないうちに『サビチ洞』を後にする。ホントに「ただ立ち寄ってみました」程度の鑑賞。こうなることは薄々分かっていたんだが、何だか入洞料が勿体無い感じ。「これで気が済んだか?Kよ」「またそうやってささきは…それじゃあ何だか俺がよっぽどここに寄りたがってたみたいに聞こえるじゃんか〜」…だってそうじゃん!
 そんなサビチ洞ですが、売店のおばちゃんはとても気さくで楽しい方です。と、一応フォローしておこう。
 

看板、もしかして変わってない?
以前はもっとこう怪しげ不思議な感じの…
過去の旅行記のどこかに画像があったはず。

  

洞窟への入り口。
なかなか雰囲気があって宜しいですね。
左にある売店で入洞料を納めます。

  

結構素朴な感じのする洞内。
『玉泉洞』とはだいぶ趣きが異なります。
…まぁ、玉泉洞が特別なんだろうけど。

  

で、洞内には何故か洗骨甕の類がゴロゴロと…
中身は入ってないだろうと思うが。
いや、案外…

  

こうして見ると、中国の街のミニチュアっぽいかも。
三国志とか西遊記とかのオープンセットとか。
人形なんか置くとまるで東武ワールドスクエア♪

  

…お墓じゃないの?違うの?
とにかく、鍾乳石以上にインパクトのある甕の数々。
何処と無く霊的なパワーを感じるような、感じないような。

  

この先に海があります。
こっちにある海はわりと狭目。
逆側に伸びる道を進んで行くと…

  

道端には何故か石仏。しかもエキゾチックな。
他にも数体こういう物体がありました。
う〜む、かなり謎。

  

で、海(プライベートビーチ)に出ます。
広さはあまり無いけど、静かなビーチ。
上手くすればビーチ貸切状態!?

  

海もなかなか綺麗ですし。
砂もしっかりパウダーサンドですし。
なかなか良い感じ。

  

「日本で唯一、海に抜ける鍾乳洞」がキャッチフレーズ。
その売り文句に偽り無し!
が、かなり不思議な雰囲気の洞窟ではあるかも…

 

ここが入り口にある売店&チケット売り場。
トロピカル生ジュースも飲めます。
昔、一度飲んだ記憶がある。グァバか何かを。

  

尻尾が鮮やかな蛍光ブルーの蜥蜴。
バッタのような昆虫を咥えているところ。自然って厳しいね。
ところで、この蜥蜴って何ていう蜥蜴?

  

 噂に名高い『明石食堂』。それは明石の集落の入り口付近にさりげなく建っていた。想像以上にこぢんまりとした食堂なのだが、客足はかなり多い。僕らが店に着いたのはもう昼飯時をだいぶ過ぎた時間帯なのだが、それでも店内はほぼ満員状態で、僕らは一人旅の青年と相席になった。こういうところで相席になると、隣の見知らぬ人につい話し掛けたくもなるのだが、どうもこの青年は話し掛けづらい。やや厳しい表情で何やら文庫本をじっと熟読していて、“気安く話し掛けて来ないで下さいオーラ”を放ちまくっている。そんなオーラに少々圧倒されながら、僕らは野菜そばを注文する。
 厨房の中では、ご主人と思しき男性が一人鍋を振るい、奥さんなのかは分からないが女性が一人それを補助し、給仕は若い女性が一人で担当している。そのせいなのか、料理が出て来るまでにかなり時間が掛かった。そばがテーブルに運ばれるまでに30分近く要した。沖縄の料理屋さんって、往々にしてこういうことが多いんだけどね。で、そんな力作(?)の野菜そばは、ボリュームもかなりあって、味もなかなか美味い。値段も安い。確かに客が多いのも肯ける。
 このときは、店内に居る客のほぼ7割が観光客のようだった。そう言えば、ちょっと前には『やえやまガイドブック』にも載っていたっけなぁ。『やえやまガイドブック』…地元の出版社が出しているだけあって、かなり詳しい情報が満載の八重山諸島観光のバイブル(?)。僕もこれを持ってはいるのだが、実際に旅行のときに持参したことは皆無。まさに宝の持ち腐れ状態。
 「それに、ささきはぜんぜん読んでないみたいだよね、あのガイドブック」
 「…悪かったな。って言うか、それだけガイドブックを読み込んでいるKが、どうしてサメ・ドライブをするのかが不思議なんですけど」
 「…それとこれとは話が別だよ」「…ふ〜ん…」
 普段、僕は滅多にガイドブックの類を見ないのだが、やっぱりちゃんと見たほうが良いんだろうか。結構見落としてるものも多いような気がするし…でもねぇ、ガイドブックを見ちゃうと、ついついそれに頼り切っちゃうんだよなぁ、俺の性格上。「これも見なくちゃ!あれも見なくちゃ!」なんてさ。ガイドブックに隷属しちゃうのがイヤなんだよねぇ。もちろん、ガイドブックには何の非も無いんですけどね。
 「ところで、その『やえやまガイドブック』、Kは今持って来て無いの?」「あ、民宿に置いて来ちゃった。ハハハハ」「……」それもどうかと思うが…
 

『明石地域総合施設』。
そのすぐ隣りに『明石食堂』が在ります。
それにしても、スゴイね、地域総合施設って。

  

これが『明石食堂』だ!
店内は思ったよりも広い。座敷もあるし。
結構有名なお店なんでしょ?ここ。

  

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