一気呵成


 今回は、羽田から直行便で一気に石垣空港までひとっ飛び!午前10時前にはもう八重山に到着!という、実に無駄の無いオープニングである。例年の行程では、まず沖縄本島で一泊、そこで友人Kお得意の無目的ダラダラドライブ(サメ・ドライブ)が繰り広げられ、それから八重山に移動する、というパターンだった。が、今年はKさん自ら「直行便で石垣に行っちゃおう」と提案してきた。一体どういう風の吹き回しだろうか。…恐らく僕が思うに、さすがのKさんも本島でのサメ・ドライブに飽きが来たんだろう。そりゃまぁ当然であろう。行く先も決めずに漫然と車を走らせるだけの旅行が、それほど面白いはずが無いのだ。そのことに漸(ようや)く気が付いたのか、Kよ。…遅過ぎ!
 とにかく、朝6時30分羽田発のJTA機に乗って、約3時間弱のフライトを経て石垣空港に着いた。空港内のレストラン『ゆうな』にて、今後の大まかな計画を討論することにした。
 「…いやぁ、こんなに早く石垣に着いちゃうと、何だか調子が狂うなぁ…」とK。
 「それはそうと、いつまで石垣に居る予定なんだ?」と僕が訊ねる。
 「う〜ん、どうしようか…」
 「石垣での宿泊先も決めちゃわないと」
 「う〜ん、どこの宿にしようか…」
 結局、雑談雑じりの討論はうだうだと30分に及び、石垣島には二泊して、その後宮古島に行くことになった。いつもは宮古島行きに難色示しまくりなKさんなのだが、今年に限っては自分から宮古行きを切り出して来た。これまたどういう風の吹き回しだろうか。…恐らく僕が思うに、Kさんは、今年9月下旬に宮古諸島を襲った大型台風の被害の状況を確認したかったのだろう。何しろ隠れミーハーな価値観の持ち主だし。それプラス、僕がことある毎に「宮古の海の色はスゴイよなぁ」などと刷り込んで来た成果が現れたのかも知れない。というわけで、Kにとっては実に8年ぶりの宮古島上陸を果すことになりそうだ。
 そして、石垣島での宿泊先は、いろいろと迷った結果『根原荘』という民宿を利用することにした。この『根原荘』、ご存知の方も多かろうと思うが、石垣港の離島桟橋とは目と鼻の先の距離に在る。って言うか、港に面して建っている。僕もKもかなり以前から気になっていた宿なのだが、今回ついにそこを利用する機会が訪れたわけだ。早速、民宿に電話で連絡を入れ、部屋を取ってもらう。電話の向こうで応対するアンマーの声は、実に陽気で明るい。今までだと沖縄の民宿に電話をすると「ホントに大丈夫なのか?」とこちらが不安になるぐらいにのんびりとした応答が返って来ることがほとんどだったので、ちょっとばかり面食らってしまった。
 

AM6:30羽田発石垣行。
石垣直行便に乗るのはひょっとすると初めてかも。
意味も無くワクワクしますなぁ。

  

で、サクッと石垣空港に到着。
「こんなに早い時間に着いちゃうのか!」とKさん驚愕。
遠いようで案外近いよ、八重山は♪

  

  空港からタクシーに乗り、まずは『根原荘』に向ってもらう。が、このタクシーの運転手は『根原荘』と言っても「さて、どこでしたっけ?」という調子。
 「え〜っと、住所は美崎町なんですけど…」と僕が言うと、
 「美崎町のどの辺りかなぁ?」と頭を掻く運転手さん。
 「あの、離島桟橋のすぐ前です」
 「そうですかぁ。じゃあ、どっちから周ったほうがいいですかねぇ…」
 「サザンゲートブリッジの方から730交差点を左折して…」
 そんなこんなで僕らが道案内をするような格好で、民宿に辿り着いた。「お客さん、石垣に詳しいですねぇ。よく来るんですか?」と訊いて来るタクシードライバー。…と言うよりも、あなたの道路の把握状況に些(いささ)か難あり、だと思うんですけど…
 『根原荘』は、離島桟橋沿いの『安栄観光』が1階に入ったビルの2階に在る。狭い階段を上ると、開けっ放しのドアのすぐ先に居間と思しき六畳間が見えた。どうやらここがフロントに当たる場所のようだった。
 「すみませ〜ん」と僕らが声を掛ける。が、返事が無い。…こういうのはもうすっかり慣れっこなので、もう一度声を掛ける。が、やはり返事は無い。仕方無く居間に上がり、少しの間部屋の様子をキョロキョロと窺っていると、ベランダから褐色の肌のアンマーがやって来た。
 「あら、ごめんなさいねぇ。今ちょっと洗濯物を干してて。ご宿泊ですか?」
 「はい、先ほどお電話したささきなんですけど」
 「ああはいはい、いらっしゃいませ〜。お部屋はこの居間のお隣ですのでね、どうぞごゆっくり〜」
 そう言ってアンマーは再びベランダの方に慌しく出て行ってしまった。居間の隣…って、ひょっとしてこの障子戸で仕切られた部屋?でも、ここって床の間もあるし、何だかすこぶる生活感が滲み出てるんですけど…
 「部屋の鍵が無いね、ここ…あ!テレビが無いや」とKが言う。確かに、部屋を仕切っているのは障子戸のみ。で、部屋の中にはテレビが無い(居間にはテレビが設置されているのだが)。あるのはクーラーと床の間だけ。その上、八畳間なのでやたらと広く感じられる。さらに、喫煙者にとっては非常に苦しい“室内禁煙”の但し書きまで…煙草はベランダに出て吸わないとダメらしいのだ。
 …まぁ、イイでしょう。どうせあちこちに出掛けちゃうから宿に居るのは寝るときぐらいだし。とにかく、立地はこの上なく好いのだし。ベランダからはもとより、部屋の窓からも離島桟橋が見えるほどの至近距離。となれば、もう行くしか無いでしょ、どこかの島に♪
 「どこの島に行こうか。今から波照間島に行くのは時間的に厳しいし」
 「う〜ん、じゃあ、竹富島に行こうか」
 僕は去年4月に竹富に行ったばかりだけど、Kにとっては1999年以来の竹富島訪問になる。僕らは早速民宿を出て、離島桟橋に降りた。
 


今回宿泊したのは『根原荘』。
離島桟橋から徒歩0分の好立地!
実は以前から気になっていた宿でもある。

  

「お気軽にどうぞ」と言われりゃお気軽に行くしか無い。
それにしてもこのコンクリートの質感。
個人的にかなりツボ。

  

宿帳に記帳するKさん。
ここがフロントにあたる部屋のようです。
麦茶&黒糖でおもてなし。沖縄民宿スタイル!

  

その宿帳に描かれたイラスト。
「大人を動かすのはアツイ青年なり。」
…確かにアツイっすね。

  

で、こちらが僕らの部屋。
生活感が滲みまくり。床の間が在って素敵です。
ただし、部屋の中にテレビはありません…

  

部屋の窓から離島桟橋がバッチリ見える。
何だか凄く嬉しいのだ。
滞在中、しょっちゅう桟橋を眺めてました。

  


ベランダ(?)からも当然桟橋が見渡せます。
港を行き交う人の姿や船をぼんやりと見る至福のとき。
嗚呼、旅情溢るる港の風情也。

  

嗚呼、これまた風情たっぷりの民宿の風呂。
湯船の存在がスッパリ斬り捨てられた潔さ。
これぞ民宿の醍醐味!…なのか?

  

 「竹富に行く前に、ちょっと飯でも食おう」ということになり、僕らは一旦桟橋から離れて『A&W』を目指す。と、730交差点の角に『コンビニシーサー』なる店舗が在ることに気づいた。確かこの場所には『八重山PR館』とか何とか云う怪しげなブースだったか、或いはどこかの旅行会社か何かの出張所めいたテナントが入っていたような気がするんですけど…あまりよく憶えていない。それにしても、ホットスパーが100%のシェアを誇る(?)石垣島において、この存在はちょっと注目に値する。というわけで、早速店内を物色することにした。
 店内は、一見ごく普通のコンビニなんだけど、よく見ると店舗の奥の方にみやげ物コーナーがかなりのスペースを取って設けてあったりする。コンビニとみやげ物屋の融合。観光客にとっては一粒で二度美味しいチックな店かも知れない(果たしてここでみやげ物を買うかどうかはともかく)。が、地元の人にとってはむしろどうでもいいコーナーって気も…あ、でも、この界隈にはホテルや民宿が結構多く集まっているので、旅行者にはいろいろと便利かも(実際、僕らも今までは“お〜りとおり”と書かれたアーチの架かった美崎町の歓楽街入り口の角に在るホットスパーに行くことが多かったのだが、『コンビニシーサー』の方が民宿からは断然近いので、今回の石垣滞在中には何度もお世話になった)。
 ひと通りコンビニの中を覗いた後、『A&W(以下エンダーに略)』に移動し、ハンバーガーなどぼんやりと咀嚼していると、突然窓の外では激しい雨が降り出した。
 「ゲッ!なんじゃこの雨は!」 「弱ったなぁ、これから島に渡ろうってタイミングで…」
 暫くエンダー店内で雨が止むのを待っていたのだが、そう簡単に止みそうにも無い豪雨に、僕とKは成す術も無く、じっと窓の外を見つめる。
 小一時間経って、漸(ようや)く少し小振りになって来たので、僕らはエンダーを出て離島桟橋に向かった。
 

730交差点に出現した『コンビニシーサー』。
『石垣グランドホテル』の道路を隔てた隣りに出来てた。
横綱ホッパーにライバル現る?!

  
 

店内は普通のコンビニ…
かと思いきや、しっかり「みやげ物コーナー」があった。
これがなかなか充実してたりするのです。

  

『コンビニシーサー』ですのでね、シーサーもあります。
民芸品やら焼物やらいろいろと取り揃えてる。
コンビニの一角とは思えない雰囲気。

  

琉球ガラス製品だって入手出来ます。
まぁ、地元の人はきっと見向きもしないんでしょうが。
そういうもんですよね、みやげ物って。

  

でも、普通の惣菜に混じってこんなものが売ってたり。
豚さんの顔ですね。面皮(ちらがー)。
ミミガーも売ってました。

  

結局、ここに何度も通うことに…
ジュースだのタバコだの歯みがきセットだのと。
大変お世話になりました。サンキュー、シーサー!

  

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