C:5  三度、マチグヮー界隈


 月曜日、朝10時過ぎの牧志第一公設市場界隈。ぼちぼち買い物客の姿も出始めていて、アーケードの中はガヤガヤとした市場独特の雰囲気に包まれ出す。
 いつものマチグヮー、いつもの活気。そこに埋もれて歩く快さ。第一公設市場の2階で食べたポーク玉子で胃袋も適度に満たされ、そのまま市場周辺のアーケードの中を行ったり来たりする。これといって買い物をしたいわけでも無く、目当ての店が在るわけでも無いのだが、そぞろ歩いているだけで何だか嬉しくなってくる。音、色、人がゴチャゴチャと折り重なり合う市場の喧噪に紛れるのがたまらなく気持ち良い。
 やっぱりね、那覇の街はイイ。都会ではあるけれど、そこにはちゃんと人の暮らしの匂いがする。綺麗な部分や華やいだ部分だけじゃなく、もっと臭い立つような生活臭。ここ(沖縄)が楽園なんかじゃなく「生きる場所」なんだ、ということを再認識させてくれる。それがまた何となく切なくて愛おしい。
 那覇の中心部は訪れる度にどこかしらが変わっている。とくに最近は100円パーキングの類がグンと増えた。昔見掛けた味のある古い建物が消えて、ポコンと出現する100円パーキング。この先10年もすると、もしかするとこの辺りの様子はガラリと変わってしまうのかもしれない。水上店舗や幾つかの市場の再開発話も随分前から持ち上がっているし、那覇近郊の状況も激変している。
 市場から少し離れて壺屋や松尾の路地を彷徨っているうちに、だんだん寂しくなってきてしまった。「あ、ここも無くなっちゃったんだ」「あれ?ここは前からこんなだったっけ?」と、何だか自分が時間の流れからどんどん取り残されているような気分になってくる。『松尾公園』から消防署通りを歩いているときに、突然眼の奥がジーンとしてきて、無性に泣きたくなった。べつに那覇の街が変わってしまうことだけが原因では無かったと思う。それで泣くほど僕は感傷的な人間じゃないし。急にあらゆるものがはかなくて脆い(もちろん自分自身の存在も含めて)と思えてきて、厭世的な気分と、その一方ですべてに縋(すが)り付いていたいような気分がワッと押し寄せてきた、というような。上手く言えないけど。心細くなって、意味も無く知り合いに電話を掛けたりした。本来、僕はどちらかと言えば電話を掛けるのが苦手なのだが、このときは聴き馴染んだ声をとても聴きたかった。で、国際通りに出て、柄にも無くみやげ物屋で何人かの知り合いにみやげ物を買ったりした。「あの人には何を買っていったらいいだろう…」などと考えている時間、実はこれこそがみやげ物を買う本当の楽しみなのかもしれない。とりあえず、今の僕にはみやげ物を選ぶ相手が居る。それが少し嬉しかった。そういう人たちを大切にしなきゃな、なんてことを今更つくづく思い直す。…何だろうなぁ、俺、歳取ったのかなぁ…
 

朝10時過ぎの市場本通り。
沖縄独特のお菓子が並ぶ製菓店。
かなり昔、ここでチンビンを買ったことがあったなぁ。

     

まだそれほど人通りも多くない市場の界隈。
これぐらいの時間帯だとメインは観光のお客さん。
台湾からのツアー客も結構多かった。

   

ニンニク入りのコーレーグースーみたい。
個人的にはニンニクが苦手なので…
普通のコーレーグースーのほうがイイかなぁ。

  

読んで字のとおり、鰹節屋さん。
沖縄の鰹節の消費量は昆布同様トップクラス。
スーパーには鰹節削りが設置されてたりするし。

  

これから店を開けるところもありますね。
この手の婦人服屋はやっぱり地元のお客中心?
観光のお客さんはちょっと手が出し難そうな…

  


惣菜屋さんの厨房ではサーターアンダギーが。
揚げ菓子特有の香ばしい匂いがします。
揚げたてはこれまた美味いんだよなぁ。

 

惣菜屋、これがなかなか侮れない。
味も良ければ品数も豊富。
大概の沖縄料理はほとんどここで揃っちゃう!

  


公設市場の中。
ついつい財布の紐が緩みがちな魔の空間(^_^;)
とは言え、僕は滅多に買い物しないけど。見るだけ。

  

2階の食堂街はまだ開いてない店がほとんど。
11時頃からが本稼動ってところかな?
ところで、あの巨大ダルマは一体…

  

市場の外に在った雑貨屋さん。
妙に味わい深いこの佇まい。ウットリ。
あ!GAINも売ってるじゃん!

  

不思議な曲線を描く『協栄浮島マンション』。
手前のスペースは恐らく『第二牧志公設市場』の跡地。
取り壊されちゃったんだねぇ…

  

とにかくこのマンションには何だか心惹かれます。
ちょっと不思議な構造&壁面の褪せ具合も素敵です。
こういうところに住んでみたいな、なんて思ったり。

  

“おかずの店”という看板は残ってますが…
今はたぶん営業してないんじゃないかな?
いや、ひょっとすると…

  

で、その“おかずの店”の軒下のメッセージ。
当HPでも度々登場する「ちり置かないで」シリーズ。
「おかいこと」「おかなんで」などバラエティに富んでる。

  

 とにかく、そんな突発的な人恋しさを何とか克服し、気を取り直して再び街を徘徊。国際通りを挟んだ北側のエリア(市場とは逆の方向)を歩くことにする。
 実は、去年の10月にこの裏手に在る『緑ケ丘公園』の端で偶然見掛けた“那覇大綱挽久茂地旗持練習場”なる場所を、もう一度確認しようと思っていたのだ。それと、この公園の周辺には大きな墓がかなり多く在る。こんなに賑わっている国際通り周辺だけど、この界隈ってビックリするほどお墓がたくさん在る。大概、こんもりとした緑が茂っている辺りには必ず墓が在ると言っても過言じゃ無い、というぐらいに。そんな墓を見るのも目的のひとつなのだ。「散々人恋しいだの何だのと言ってたくせに、墓なんかに行ってイイのか?」と思われるかもしれない。が、墓を見るとちょっと安心するんです、僕の場合。その理由は…ま、それはめんどくさいのでここでは割愛。
 それにしても、こんなに賑やかな繁華街のすぐ近くにお墓が在る、というのが素敵だな、と思う。「え?それの何処が素敵なんだ?」と思われるかもしれないけど、イイの!俺が個人的にそう思ってるだけだから!
 


しつこいようですが沖映通りです。
今日もまた陽射しが強い!眩しい!
木蔭が非常にありがたいのです。

  

あれは…ホウオウボクだよね?たぶん。
ホウオウボクっていつ頃が花の盛りなんだろう?
何だか年中咲いてるような気が…

  

『ホテル山市』周辺の街並み。
コンクリート建築と青空と雲と電線。
何だかグッと来るこの取り合わせ。

  

どうしてコンクリート建築って妙な味があるんだろう?
汚れ具合も褪せ具合も一々琴線に触れます。
…ま、人によるとは思いますけどねぇ。

  

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