C:1  牧志駅〜竜宮通り〜桜坂〜壷屋


 午前10時の国際通りは、まだ開店していない店もあり、走る車もそぞろ歩く人の姿も疎(まば)らだった。『牧志駅』から西の方向(市場や久茂地の方向)へ歩いていると、猛烈な陽射しですぐに汗だくになってしまった。この日の気温は摂氏33度。そしてその気温以上に厄介だったのが湿気。僕は堪らず手近に在ったコンビニに飛び込んでタオルを買い、それを首に掛けて汗を拭き拭き歩いた。
 国際通りから竜宮通りに折れて、そのまま路地裏散歩に突入する。竜宮通り沿いに伸びる社交街には、間口の狭い古めかしい小さな店が通りを挟んで建ち並んでいる。距離にして200mちょっとのそれほど長く無いこの路地を、ゆっくりゆっくり歩く。時折、掃除でもしているのか不意に店のドアが開いていたりして、僕はその中をこっそりと覗き込む。場末のバーを彷彿とさせる内装と、ズルッとしたワンピースを着たアンマーの背中が見える。酒のせいなのか煙草のヤニのせいなのか、何となく饐えたような臭いが微かに流れて来る。
 街そのものが、どこかくすんだような色に包まれた昼間の社交街。…どうして僕はこんなものに惹かれるんだろうか?いつもいつもそう考える。でも、僕が考えを突き詰める間すら与えずに、那覇の街は次から次へと味のあるスージグヮー(小路)を出現させる。そこにじっとりと染み付いている時間の名残。褪せた壁にも、黒ずみひび割れた舗道にも、澱んだ空気にも。人が生きていく、ということと何処かで密接に繋がっているような、諦念と虚無と享楽と安堵の混在。確かな“生”の匂い。僕は路地を介して人生を見つめているのだ。…とか言ってみたり。
 まぁね、要するに偏屈なんだと思います。「おもろまち?ケッ!」とか「アウトレットモールあしびなー?知るか!」とか、そういう捻(ひね)くれたことを言って居たいわけね。
  

『牧志駅』でゆいレールを降りて、国際通りへ。
ちなみに、僕が乗った電車の運転手は女性。
車内アナウンスも同時に担当している模様。

   

国際通り。ここに来ると何となくホッとする。
しかし、東側から歩きはじめるのって結構新鮮。
いつもは久茂地側から歩き出すことが多いので。

   

国際通りから竜宮通りへ入る。
那覇の迷宮は奥が深く、乾いた猥雑感が濃厚に漂う。
僕が一番好きな路地裏の集合体。

  

山羊料理店として非常に有名な『さかえ』。
…って僕はまだ入ったことないですけどね。
山羊は自ら進んで食べるほど好きじゃないし(^_^;)

  

囲碁を嗜む方々のための空間であろう。
木造家屋の二階が囲碁スペースとなっているようだ。
…そういえば、オセロって最近やってないよなぁ。

  


小さな飲み屋がズラリと並ぶ竜宮通り。
そこをゆるゆると自転車で走って行くオジィ。
かりゆしウェアで颯爽と。

  

どの店も昼間に見るとかなり草臥れた外観。
しかしその草臥れ具合がまた何とも言えず良い。
『ニュー京都』…ニュー…

  

竜宮通りを抜けて行くと、桜坂社交街。
益々濃厚な空気が漂う桜坂へと進みます。
それにしても那覇中心部は駐車場が増えたなぁ。

  

 そんな捻た自己満足にすっかり酔い痴れながら、そのまま桜坂の社交街へと進む。ここまで来ると、周辺は尚一層色味を失って、煤けたような壁の灰色と冴えないトタンの色が街を覆う。スージグヮーは益々スージグヮー度数(そんなもんあるの?)を増し、野良猫や野良犬(だと思う)の姿が目に付くようになる。…それにしても暑い。かなり遅い速さでフラフラと歩いているだけなのに、全身が汗びっしょりになる。首に掛けたタオルで汗を拭うと幾分スッキリとした気分になるのだが、それもほんの一瞬のことで、僕は汗とのいたちごっこにやや辟易としながらも、それでもやっぱり路地裏の誘惑に勝てず、ひたすらに桜坂の界隈をほっつき歩く。
 昼の歓楽街。それでなくてもこの辺りは、その本領を発揮するはずの夜でさえ少々侘しさを感じさせる一帯だ。益してやこの時間では、まったくと言っていいほど活気めいたものは皆無。徒(いたずら)に萎(しな)びた姿を晒しているのだが、そこが堪らなく愛おしい。…って、もうイイですね、こんな戯言は。
 
 とにかく、これから全6ページに渡って展開するのは、所謂(いわゆる)旅行記では無くて、只ひたすら那覇のスージグヮーとマチグヮーを気の向くままに歩いた2日間の断片。馬鹿みたいに約300枚強もの写真を撮りまくったものの、後で改めて見返してみたら「なんだよこれ、同じような写真ばっかりじゃん…」と激しい脱力感に襲われ…そのうちの3分の1程度の写真をダラダラと貼り付けて、チョロッと戯言も付け加えて、サクッとお送りする「私の路地裏偏愛記」。この手の自慰行為にお付き合い戴くのは大変心苦しいので、出来る限り短期集中でとっとと終わらせる予定です。お暇だったらお付き合いください。ホントにすみません、こんなんで…
 

タイル壁がそこはかとなく艶かしい感じ。
この素っ気無い感じも素敵です。
中に入るのにはかなり勇気が要りそうだけど。

  

桜坂って、年々少しづつ寂れて来てる気がするなぁ。
ちょこちょこと新しい店が出来てたりもするんだけどね。
時代の流れから取り残されつつあるのかもしれないが。

  

国際通りのすぐ近くに在る街なのに、
実際の距離感以上に隔たりを感じさせる。
いや、都会だからこそ生まれるエアポケットなんだよね。

  

ゴミだかドブだかの臭気が微かにする。
が、不思議と不快感は無い。
むしろそれさえも趣きに寄与しているような…ヘン?

  

『エロス』というお店。
実は昭和歌謡系の曲を流すバーだったりする。
ぜひ一度入ってみたいと思ってます。

  

とある店の入り口。二階へと上がる階段。
どこか桜皮細工を思わせる赤色が良いです。
心なしか淫靡な雰囲気もあって。

  

細い路地にも店が在る。
今も営業しているのかどうかは釈然としませんが。
個人的には営業してると思いたいところ。

  


どうも“サロン”といわれると胡散臭く感じる…
店内で非合法な性産業を営んでない?とか。
あ、もちろん『絹』は違うと思いますけど(フォロー)

  

さらに奥へと進んで行くと、壷屋の辺りへ抜けます。
右手に在るのは『希望ヶ丘公園』ですね。
この公園もある意味なかなか濃い空間ではある。

  

これは桜坂と壺屋のちょうど境目辺り。
沖縄らしい褪せたコンクリート建築。
…こんなものを偏愛する俺ってやっぱり…

  

コンクリート建築と木造家屋の強引な(?)融合。
どうやら改修工事中みたいですね。
どうも歪んで見えるのは気のせいでしょうか?

  

街角にぽつんと在った拝所。
これはもしかするとヒヌカンかなぁ?
壷屋と言えばやちむん(焼物)ですし。

  

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