こじんまり
 

 一泊二日で沖縄を旅するのは、思うほど大変なことではありません。たぶん。しかし、うかうかしていると二日間なんてあっという間に過ぎてしまいます。ぼやぼやしていると「あ゛〜!何もしないまま二日間が終わってしまった〜!」なんてことになり兼ねません。…実は、沖縄旅行の真の醍醐味は「うかうか」したり「ぼやぼや」したりすることにあるような気もします。が、それを一泊二日の駆け足旅行で味わおうというのは、なかなか難しいものです。よほど「今回は何もしないでのんびりするぞ!」と心構えをして行かないと、後でちょっと損した気分になりそうだし。しかも、その行き先が静かで小さな離島ならまだしも、沖縄本島ともなると、移動するだけでもかなりの時間を要しますからねぇ。「よし、まずは万座毛に行って、それから『美ら海水族館』に行って…ありゃ、もう時間が無い!」ってなことになる可能性大。この辺のさじ加減が意外と大変だったりします。

 …どうでもいい前フリを長々書きましたけど、今回僕が目指したのは“北部の東海岸”。西海岸は何かと頻繁に眺める機会が多いし(国道58号線を走ると必然的に)、南部に行くこともわりと多いんだけど、国頭村・東村・名護にかけての東海岸って、なかなかじっくり見るチャンスが少ないような気がする。以前に安波の集落や辺野古の海には何度か足を運んだことはあったが、それよりも北側の東海岸となると、僕が車で通ったのは一度だけ。しかもそのときは陽が暮れた後だったし、おまけに地元の車に煽られたりもしたので(そのときのことは『沖縄エッセイもどき』に記載済)、周囲の景色などこれっぽっちも視界には入っていなかった。
 ほとんど初体験の北部の東海岸。今回のメインはこれで決まり!と意気込んで那覇に入り、58号線をタチの悪いヤンキー車並みの素早さでひたすらに北上。あまりにピッチが速かったため、1時間ちょっとで名護市を通過してしまった(これって違法行為…)。この際だから、久しぶりに屋我地島の方へ寄り道して行こうと思い、真喜屋の交差点から大橋を渡って奥武島、そして屋我地島へ車を走らせた。
 以前、屋我地島に来たときは島をぐるりと一周したのだが、今回は島の東側を軽くドライブする程度に抑えておこう。屋我地ビーチで少し(ほんの数分)だけひと休みし、そこから更に島内へと進んで行くと、“済井出ビーチ”という看板が現れた。こんな看板、前にも在ったっけ?などと思いつつ、看板に従ってみることにする。幹線道路から外れ、農道のような狭い道をズンズン辿って行くと、そこにはアダンの茂み越しに海が広がっていた。…そりゃまぁ島だからね、進んで行けばいつかは海に行き当たるわけだけど。何となく秘密のビーチを見つけました的な風情が漂う済井出の海岸は、ノッチ岩なんかもチョロチョロとあって、なかなか静かで良さ気なビーチだった。
 

奥武島のお墓の群れ。
家型の墓が中心でした。
…いきなりお墓で始まる旅行記ってのもどうかと…

  

屋我地大橋を渡ります。
約3年ぶりの屋我地島です。
まぁ、今回はちょっと寄り道って感じだけど。

  

羽地内海。
「沖縄の瀬戸内海」と呼ばれてるらしい。
嵐山からの眺望はかなりイイです。

  

こちらは屋我地ビーチ。
キャンプ場もあります。
夏にはビーチパーリーで賑わうとか。

  

済井出ビーチに到着。
とにかく静かなビーチです。
地図にも載ってないよね、このビーチのこと…

 

本島周辺にもこんなプライベートビーチ感覚の浜辺が。
もっとも今はシーズンオフですので余計に静かなんだけど。
人っ子ひとり居ませんし。

  

こういう感じの農道風な道の先に済井出ビーチは在ります。
看板が出てるのでわりと簡単に辿り着けます。
人の多いビーチを避けるなら、ここに来てもイイんじゃない?

  

 済井出ビーチから幹線道路に戻って、もう少しばかり先へ進んでみると、今度は“古宇利大橋”という看板が出現した。あ〜、そうか、そう言えば古宇利島が橋で地続きになる、という話はもうだいぶ前から聞いていた。ひょっとすると、もう橋が開通しているのかもしれない!こりゃ行ってみなくちゃな!場合によっては“北部東海岸巡り”の予定を変更して、“古宇利島探訪”に切り替えてもイイかな♪
 色めき立って古宇利大橋を目指す。が、その道程を走って間もなく、こりゃまだ開通してないな…、という予感がひしひしと。僕の車の前後を走っているのは工事関係の車輌のみ。一般の車は僕のレンタカー1台だけ。かなり場違いな感じだ。しかし、今さら引き返すのもなんなので、とりあえずそのまま案内板どおりに突き進んでみることにした。
 しばらく行くと、「ここから先は関係者以外立ち入り禁止」のような状態になった大橋の建設現場に到着した。もちろん橋はまだ開通して居らず、クレーンなどの機材が稼動中だった。しかし、古宇利大橋の概観はほぼ出来上がっていて、僕は思わず「おお〜…」と意味の無い声を上げてしまった。
 そんな工事現場のすぐ脇に、“古宇利大橋 見学ステーション”という看板を掲げたプレパブ小屋が建っていた。このプレハブ小屋、1階部分は“展示室”と銘打って、資料やら何やらが置かれているようだった。が、僕はそちらにはあまり関心が無かったので入らなかった。小屋の屋上は展望台になっていて、テレスコープも設えてある。僕はさっさと展望台に上がり、先程よりもちょっと高い位置から建設中の橋を見る。
 それにしても、この辺りの海はなかなか綺麗だ。橋よりも先に海の色に見入ってしまった。…おっと、橋を見なくちゃな。それにしても、こちらから対岸の古宇利島まではどれぐらいの距離があるんだろうか?2km近くはあるだろうと思うんだけど。橋が架かることで、恐らく古宇利島の人々は様々な恩恵を受けることになるんだろうなぁ。今までは船で行き来してたわけだしね。車でビョ〜ンと手軽に本島と行き来できるとなれば、島の暮らしはきっと便利になっていくことだろうし。…観光客がたくさん訪れるかどうかは微妙って気もするけどねぇ。実際、もうすでに橋で繋がっているここ屋我地島だって、ほとんど観光客の姿は見られないしなぁ…離島の風情を偏愛する僕としては若干寂しい気もするが、古宇利島の人が喜んでいるのであれば、それでまったく問題は無いよね。
 ところで、この橋っていつ頃完成する予定なのかな?一応平成16年の完成を目指しているらしいのだが。…確か、僕が最初にこの橋の計画を聞いたときには「平成14年に完成予定」という話だったと思うんだけど…
 とにかく、那覇にはゆいレールが走り、古宇利には橋が架かる。環境の変化が島にどんな影響をもたらすのか、僕は少々野次馬の感覚で見て居たい。
 

建設中の古宇利大橋の傍に立つプレハブ小屋。
工事事務所っぽい佇まいですけど。
この小屋の正体は…

  

ご覧のとおりです。
この施設のターゲットはどういう人なんだろう?
地元の人?観光の人?

  

展望台備え付けのテレスコープを覗いてみる。
う〜ん…ピンスポット過ぎてよく分かんない。
まだ完成には時間が掛かりそうではあります。

  

古宇利大橋全体像。
これが完成すると沖縄一長い橋になるそうな。
ちなみに現時点での長さNo1は来間大橋です。

  

この辺りは海の色も綺麗だねぇ。
本島もまだまだ綺麗な海をいろんなところで拝める。
…これから行く東海岸はどんな塩梅でしょうか?

      

 屋我地島から本島に戻りがてら、たまたま通り掛かった屋我地の一面のサトウキビ畑に気を奪われた。ススキのように白くほわほわとしたキビの花が冬の陽射しにキラキラと輝きながら小さく波打つその光景に、僕はしばらく足を停めた。畑で作業をしているオジィが訝しげな目で僕を見ていたが、構わずじっとキビ畑を眺める。光の波と、サラサラという音。実に心地良いじゃ〜ないか。もう少しで収穫の時期になるよね。元気に育てよ、サトウキビ!
 
 58号線に戻って、本来の目的である北部へ向かう。が、海の色に誘われて、ついつい車を停めて海を見つめてしまう。…う〜む、なかなか先に進まないぞ。屋我地島に近づくまではスピード狂の如く爆走していたというのに、急にブレーキが掛かりはじめてしまい、もうすっかり昼を過ぎてしまった。昼までには国頭村に着くつもりだったのに…ま、イイか。

 そうそう、申し遅れましたが、どうして今回私がこんなに先を急いでいたのか。それは…実は翌日の昼2時台の便で東京に帰らなくちゃならなかったからなのです。べつに急いで帰らなければならない用事があったからでは無くて、ただ単にその時間の飛行機しか空席が無かったから、という無計画も甚だしい理由によるものです。だってさ、今回の2連休が決まったのがつい一昨日のことだったんだよ〜。かろうじて往復のチケットを特割やら何やらで比較的安く入手することは出来たんだけど、いかんせん帰りの便が早すぎる。明日はあまりあちこちに行かれないのは火を見るより明らかなので、今日一日に賭けてるわけです。
 一泊二日で沖縄を旅するのは、思うほど大変なことではありません。たぶん。しかし、僕のようにあまりにも無計画及び発作的に行動すると、ちょっと(いや、かなり?)大変かもしれません。とは言え、こんなバカはそうそういらっしゃらないとは思いますけどね。
 

キビの花が揺れています。
陽を享けて柔らかく輝きます。
秋の終わりから冬にかけての風物詩。

  

一面のキビの花。
しばらくの間見入ってしまった。
渡って来る風に乗る微かな草と土の匂い。

  

大宜味村、平南橋付近の海。
これはまだ西海岸です。
ついつい車を停めて眺めたくなる沖縄の海。

  

それにしても、北部の道もホントに綺麗に整備されたなぁ。
数年前まではあちこちで道路工事しまくってたのに。
レンタカー、泥まみれになったりしてねぇ。

  

しかし、空いてるよね、58号線。
名護市街を抜けると途端に交通量が少なくなる。
交通量だけじゃなく、人通りもめっきりと。

  

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