セニョ〜ル セニョリ〜タ


 今日もまた、早朝の市街地を散歩。すっかりこの行為が歓びと化している。沖縄は、海や緑などの自然も素敵だけど、こういう何気ない街の中にもまた魅力が満載だ。こんなナイスな愉しみがあることを、グーグー寝倒してばかりのKが知る由も無い。気の毒なヤツだ。などと思いながら、1時間ちょっとの散策を堪能した。

 宿に戻ると、例の新しい管理人さんがロビーのソファーでテレビを観ていた。
 「あ、おはようございます。確か今日でお帰りになられるんでしたよね?」と管理人さんが訊いてきた(ちなみに宿泊代は初日にあらかじめ支払済み)。
 「そうです。お世話になりました」
 「いえいえ、何にもしてませんから、私は。ハハハハ」
 うっかり「そうですよね、ハハハハ」と調子を合わせてしまいそうになったが、喉元で飲み込んだ。
 それから管理人さんと少し世間話をした。内容はまったく他愛無いことだったのだが、ここぞとばかりに僕はちょっとばかり管理人さんの素性について探りを入れてみる。
 話によると、やはりこの管理人さんには、こことは別の仕事と自宅があるらしい。宿泊客が居る場合には夜だけフロントに現れ、深夜に自宅に戻るのだそうだ。で、昼間には管理人さんの奥さんが掃除がてらやって来るんだとか。一昨日、風呂場にあったシャンプーが片付けられていたのも、この奥さんがそうしたんだろう。
 「前は年寄りだけでやってたから、なかなか掃除も行き届かなかったし、あちこち汚れてたりしたからね。だから私らが部屋の壁を塗り替えたり、風呂場を片付けたりして。それにもうだいぶ昔から民宿をやってるのに、宣伝らしいことを何もしてなかったから、お客さんも少なかったから。そういうこともこれからはちゃんとしないとね」
 ふ〜ん、なるほどねぇ。確かに今だって僕ら以外の宿泊客は居ないみたいだし…でもねぇ、オバァが管理人をしていたときの、あのテーゲーな感じがこの宿の最大の魅力だったと僕は思うんだけどなぁ。夜だって戸締りらしい戸締りはまったくせず、例え美崎町で飲み歩いて午前様になっても、何の気兼ねもしないで戻って来られるのが嬉しかったんだけど…
 「あの〜…以前ここで管理していたおばあさんは、元気なんですか?」
 「はい、元気ですよ。ただ、やっぱり年寄りひとりで切り盛りするのは大変だからね、だから私たちが引き継いだんですよ」
 「は〜、そうなんですか…ところであなたと(オバァの関係は…)」
 と僕が訊き掛けたとき、管理人さんの携帯電話の着信音が鳴り響き、管理人さんは電話で話し込みはじめてしまった。う〜む、実にタイミングが悪い!
 「あ、ごめんなさいね。私はまたちょっと留守にしますので。それでは、気をつけてお帰りくださいね」と言い残し、管理人さんは宿を出て行ってしまった。
 結局、彼とオバァの因果関係は分からず終い。何とも悔いが残る。でもまぁとりあえず、オバァの身に何かが起こったわけでは無いようなので、その点だけは良かった、と言えるのかな。

 部屋に戻ると、Kはもう起きていた。もっとも午前中の飛行機で那覇に移動するわけだから、そろそろ起きてもらわないと困るんだけどね。
 僕らは部屋に散乱した荷物をカバンに詰めたりしながら、しばらく部屋の中でウダウダとする。…それにしても、何だか荷物が来たときよりもちょっと重くなってるなぁ。大して買い物なんかしていないはずなのに。しかし、Kの荷物は僕の比では無いほどに激しく量(かさ)が増えている。そりゃ無理も無い。何しろTシャツは5枚、西表の工房で買った焼物、さらにはみやげ物屋で購入した小物類も数点ある。Kはパンパンに膨れ上がったカバンを持ち上げて、「うげっ、重っ!何でこんなに重くなっちゃったんだ?」などとほざいている。身から出た錆だ。
 そうこうしているうちに、そろそろ石垣空港に向かう時間になった。僕らは管理人さんの居ない『民宿たもと』を後にして、大通りでタクシーを拾うことにした。
 


またしても早朝の散歩。
まだガラ〜ンとした石垣市街地。
凛とした朝の空気が気持ち良し。

  

当分、って、どれぐらいの期間?
しかも「お知らます」って…
果たして何の店なのかも分かりませんでした。

  

この店は朝から繁盛してました。
天ぷら屋さん(?)が品物を納品しに来てたり。
なかなか趣きのある佇まい。

  

超有名店、『丸八そば』ですね。
まだ開いてませんけど。
…実はまだ入ったことが無いんです、このそば屋さんに。

  

戸袋の部分に直に書かれた看板。
もずくとイース、アーサは分かるんだけど…
スーナとオゴーってどんな海草?

    

何気にアートしてる家。
ベランダ部分の流線型がナイスです。
コンクリートの褪せ具合がまたグ〜♪

  

『文化会館』前の木に咲いてた…何の花だろう?
結構高い木の上に鈴生りになってたけど…
またしても植物音痴さ加減が露呈(^_^;)

  


トニー=赤木圭一郎のことだったんだねぇ。
しかし、唐突だよなぁ、トニーとそばの融合は…
\300って安すぎ。

  

う〜む、これまた極めて入店しづらい感じ…
店内は一体どんなふうになってるんだろう?
普通の茶の間だったりすると面白そうだが。

  

昨日に引き続き、幟(のぼり)を立てる重石。
ブロックに“八重泉”のロゴ。
“請福”と仲良く並んでます。

  

首輪が無いということは、野良でしょうか?
猫も多いけど、何故かこの朝は犬ともよく遭遇した。
人懐っこくてカワイイんだ、これが。

  

このムク犬には見覚えがあるぞ!
これはちゃんとした飼い犬でした。
たぶん、以前の旅行記のどこかにコイツの写真が…

  

美崎町の“お〜りと〜り”のアーチ。
享楽が済んだ後の瞑みタイム、といったところか。
昨夜は一体何人のビーチャーが路上に転がって居たのか。

  

シーサー。愛嬌があってイイね。
ホントにシーサーは個性豊かで表情豊か。
ついつい屋根を見上げて歩いちゃうね。

  

かなり古い家屋。石垣も年季が入ってる感じだった。
周囲を様々な樹木に囲まれていて、仄暗い。
何だかエアポケットのように。

  

市街地にもこういう風情が残ってるのが嬉しい。
きっとこれからも何らかの形で残っていくんだろうなぁ。
そうであって欲しいと思う。心底。

  

ムチャクチャ高〜い椰子の木が庭に伸びる。
かなりインパクトがあります、この光景。
イイなぁ〜。こんな家に住めたらなぁ〜。

  


沖縄にはやっぱり原色の花が似合う。
命の濃さと強さを感じさせる色。
陽光に映えるビシッとした存在感。

  

恐らく何かの商売を営んでいると思われるんだけど…
何屋なのかは分かりませんでした。
こういう店って意外と多いんだよなぁ。

  

駐車場の隅にあった井戸の跡と拝所。
島の信仰を垣間見る瞬間。
自然と静かな心持ちになります。

    

 ところがどういうわけか、わざわざ大通りまで出て来たというのに、なかなかタクシーが捕まらない。「あ、来た!」と思っても、まるで僕らを避けるかのように手前の交差点で曲がって行ってしまったり、すでに乗客を載せていたりと、どうも上手くタクシーと遭遇出来ないのだ。
 「こうなったら、石垣港まで行こうか?そのほうが確実にタクシーを拾えるよね」と僕が提案し、僕らは大通りを越えて一旦石垣港の離島桟橋まで移動し、そこで待機しているタクシーに乗り込んだ。何だかちょっとバカみたいだ。
 ようやく空港に到着し、出発の時間まで空港内にある『レストランゆうな』で飯を食うことにした。…思えば、僕は今回、一度も八重山そばを食べていなかったことに気づく(Kは西表島で食べてたけど)。僕は八重山そばを注文し、それを啜(すす)りながら、Kに訊ねた。
 「そう言えばさ、明日は久米島に行く、って昨夜言ってたよね。どうする?那覇に着いたらすぐに飛行機のチケット買っちゃおうか?」
 「うん、そうだね。でも、明日の天気はどうなんだろう?」
 と、折り良くテレビで天気予報が始まった。どうやら明日は“曇りときどき雨”という予想になっているようだ。
 「…う〜ん、迷うなぁ。天気が悪いのに久米島に行くのは、ちょっと勿体無いよね」とK。まったく同感の僕。結局、久米島行きの航空券は明日の天気を見てから買うか買わないかを決めることにした。
 「天気悪いんだ〜。ガッカリだなぁ。…でも、ここのところ天気予報、ぜんぜん当たってないよね」
 「ホントだよね。まったく宛てにならないよね。明日も案外晴れたりするんじゃないの?」
 「そうなってくれるとイイんだけどなぁ〜」
 僕らは時間が来るまで、久米島のことについてあれこれと話す。それにしても、なぜKはいきなり久米島に行く気になったのだろう。僕がその理由を訊いてみると、彼はまたしてもお得意の「う〜ん…なんとなく」という答えを返して来た。もうKに理由を訊くのはやめた!
 

石垣空港内のレストラン『ゆうな』で。
八重山そばといなり寿司のセット。
これが今回の最初で最後の八重山そばだったりして。

  

さ〜て、那覇に向かって出発!
バイバイ、八重山。
ま、そう遠くないうちにまた来るからさ♪

  

 石垣島を離れ、那覇にひとっ飛び。この日の那覇は、実に気持ちのいい晴天だった。でも、確か今日の天気は予報では“曇り”だったはずなんだが…ま、晴れてるんだから文句は無いけどね〜。
 バスで“那覇バスターミナル”まで出て、旭橋付近にあるレンタカー屋(←Kは必ずこの店を利用する)で車を借りた。Kはどうやらゴキゲンのご様子。僕はというと…複雑な心境だ。天気の良い沖縄をドライブするのは嬉しいんだけど、何しろ運転手がKさんですのでねぇ…サメ・ドライブの危惧が…
 とにかく、それじゃあドライブ開始!「で、どこに行こうか?」 「う〜ん…どうしようか」
 Kはまたしてもこれといった目的地を決めること無く、漠然と南部方面へと車を走らせ出す。…南部…この展開…去年と同じだよなぁ…
 「まさか『玉泉洞王国村』に行くつもりじゃ無いだろうなぁ」
 「え?行かないよ」
 「…ひょっとして、行き先が『ひめゆりパーク』ってことは無いよな?」
 「ハハハ、行かないよ。っていうか、まだどこに行くか全然決めてない」
 「……」
 そんな遣り取りをしているうちに、ちょうど『漫湖公園』の辺りに差し掛かった。
 「漫湖公園かぁ〜。そう言えば、毎年ここを通るのに一度も行ったこと無いね」と僕が言うと、Kは「そうだね、一度ぐらい行ってみてもイイね」と、車を公園へと走らせた。いや、べつに僕は『漫湖公園』に行きたいと思ったわけじゃないんですけど…ま、イイか。
 
 その“漫湖”だが、湖とはいってもここはホントの湖じゃなくて、国場川と饒波川の河口にあたる湿地帯。もうすぐそこは海なので、マングローブなども見ることができる。水鳥などの野鳥の観察も楽しめるらしい。
 無料駐車場に車を停めて、さっそく公園の中に入ってみると、漫湖に面して遊歩道が真っ直ぐに伸びていて、その遊歩道をジョギングしたりウォーキングしたりする人々がかなり行き交っていた。
 その遊歩道を南の方へと進んで行くと、子供向けの遊具があるスペースがあった。が、そこには人の姿は無い。さらに先へと進んで行くと、噴水のある広場に出た。広場には、幼児を連れた若夫婦と、ベンチでまったりとイチャつくカップルが居るだけだった。僕らは何となくベンチに腰掛け、タバコを一服。
 「…何やってんの?俺たち…」 「これって普通の公園で、ただタバコ吸ってるだけじゃん…」
 さっさと公園を後にして、僕らは車に戻った。
 その名称のインパクトの強烈さでは、恐らくかなり有名だろうと思われる『漫湖公園』。初めてこの名前を知ったときには「冗談でしょ?」とも思ったりした。口に出して言うのにはちょっとばかり抵抗感があったものだったが、今ではすっかり平気で言えちゃったりするのは、僕らがこの名に馴染んでしまったからなのか、はたまた世の中に擦れた“汚れた大人”となってしまったからなのか。…ま、どうでもいいことだけどね。グラッチェグラッチェ。
 


那覇バスターミナルに到着。
ここに来ると「帰って来た〜」って気分になる。
…って那覇市民でもないくせに!

  

“ゆいレール”の“旭橋駅”。
正式に開通するのはいつだったっけ?
工事を始めてからだいぶ経つはずだけど…

  

『漫湖公園』の脇に広がる“漫湖”。
手前にチョロチョロとヒルギが生えてます。
向こうに見えるのは“とよみ大橋”。

   

公園ですからね、児童用の遊具もあります。
平日のせいか、誰も遊んでません。
遊歩道には人が結構居たんだけど。

  

噴水広場には家族連れやカップルの姿も。
何だか“都会の公園”“市民の憩いの場”って感じでしたね、ここは。
一度は足を運んでみるのも悪くない、かな?

  

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