素朴な風
 


 “ペー浜”からさらに南にある“浜シタン群落”の辺りの海岸は、ゴツゴツとした岩場になっている。ちょうど座りのいい岩の上に腰掛けて海を眺めていると、何だか海を独り占めしているような気分になってきた。風は少し強めに吹いていたが、その風さえも心地良い。目を閉じると、風の音と波の音、そして浜シタンのさざめく音だけがくっきりと耳に届く。その音揃はどこまでもクリアで、何だか聴いているだけで身も心も清められていくような気さえする。
 僕は波照間島に来るといつも「何も無いけど、そこにすべてがある」と、そんなことをつくづく感じる。豊かさの基準や幸福の尺度がひとつじゃない、ということに気づかされるように思う。島での暮らしはきっと様々な苦労や制約を人々に強いている部分もあるんだろうけれど、それを凌ぐ何かがちゃんと在る、そんなふうに思える。…これはたぶん、部外者の都合のいい物の見方に過ぎないのだろうが。たまに島に訪れて、いいところだけをかいつまんで勝手に悦に入っている僕のようなお気楽旅行者には計り知れない現実が、島での生活にはきっとたくさん在る。でもね、きっと波照間の人々は、自分たちの島のことを誇りに思っているに違いない。僕はそう信じている。
 この島と巡り会えたこと、そしてこの島を愛しいと思える心を僕に持たせてくれたことを、神様に感謝したい。かなりマジで。
 

とても心地良い外周道路。
鳥のさえずりなんかも聴こえます。
波の音も微かに聞こえてくる。

  

浜シタンの群生地付近。
…え?前のページと同じような写真だって?
まぁ、そう細かいことは言いっこナシよ。

  

波に浸食された岩がゴツゴツと。
この岩場の手前には小さい砂浜がありました。
何か、誰かがキャンプしてた痕が残ってた(^_^;)

  

水透き通り、波も穏やか。
波紋がキラキラと網目模様で揺れている。
まったく感動!

  

 外周道路を離れて、集落の中に入る。“冨嘉”という地区から島の中心部へと続く波照間の集落には、まだ沖縄独特の風情がたっぷりと残されている。昨日訪れた竹富島の集落のような均整の取れた町並みとはまた一味違う、とても素朴な風景に触れることが出来る。
 集落を取り囲む石垣とフクギの並木の中に赤瓦の平屋建ての家が点在するその町並みを歩いていると、時折オジィやオバァと擦れ違う。それはそれはゆっくりとした速さで歩く島のお年寄りと、交わす挨拶。ただそれだけでどうしてこんなに幸せな気持ちになれるのだろう。
 島を巡っていると、ときどき「自分は一体何者なんだろう?」と思うことがある。島に流れる島の時間の表層をするりするりと滑り歩いているだけの自分が、何だか無性に寂しく思えてくることも少なくない。それは単に僕がひとりで旅をしているからというだけの問題じゃなくて、例え何人かでワイワイと島にやって来たとしても、たぶん同じような気持ちを抱くことになると思う。例え島の人と仲良くなろうとも、一緒に酒を飲んだり唄を歌ったりしても、きっとこの感情が消えることは無いだろう。島は、やさしすぎるのかも知れない。そのやさしさに応える術(すべ)を僕は知らず、いつもそれに甘えるばかりなのだから。
 僕が島の人と交わすさして深い意味の無い簡単な挨拶に、こんなにふっくらとした幸福を感じるのだということを、ホントはその場でオジィやオバァの両手を握り締めて「ありがとう!おかげでとってもイイ気分になれました!」とでもお礼を言えりゃあいいのかもしれないが…それはアヤシいよなぁ、いくらなんでも。挨拶したぐらいでそんなふうにされたんじゃあ、きっと怖がられちゃうしなぁ。
 僕は出来るだけ辺りの空気が壊れないように、静かに目立たぬように集落を散策する。浜辺では見掛けた観光客の姿も、ここではまったく見なかった。シ〜ンと静まり返った集落は、何だかうたた寝でもしているみたいだった。
 

う〜む、放置船?
それともただ単にここに置いてあるだけ?
…草が生えちゃってませんか?

  

見返り美人風なヤギ(オスだけど)。
荒れ野で綱に繋がれてます。
心なしか寂しげ…?

  

集落は石垣とフクギに囲まれています。
離島ならではの町並みが味わい深い。
どこかしっとりとした印象も。

  

波照間ファンの間では有名(?)な民宿。
食事の充実ぶりはかなりスゴイらしい。
…僕は小食なものですから…

    

波照間のランドマーク・風力発電の風車。
このときは止まってましたけどね。
風はまぁまぁ吹いてたんだけど。

  


ご覧の通り、『波照間公民館』。
稲穂に“波”のシンボルマークがあしらわれてる。
窓には官庁などのポスターがズラリと。

  

人権イメージキャラクター・人KENまもる君。
やなせたかし氏(アンパンマン)のデザイン。
前髪が“人”になってる!

  


『民宿・星空荘』と『喫茶たかな』と『仲底商店』。
ここ一軒でひと通りのことは事足りるねぇ。
玄関には“日本最南端の宿”のキャッチフレーズが。

  


竹富島とは一味違う波照間の集落。
ここも僕の大好きな町並み。
それはそれは静かなのであります。

  

島に幾つかある共同売店のひとつ。
レジの上には秤(はかり)。
その下に置かれた椅子はお客とのゆんたく用?

  

ちょっと早めの鯉幟。
風が無いのでちょっと元気ないです。
でも鯉幟って昔から沖縄にあった行事なのかな?

  


伝説の英雄・オヤケアカハチ誕生の地。
このような石碑がポツンとあっただけ。
アカハチにはいろいろと謎が多い。

  

こんな趣きたっぷりの家があちこちに。
まったくもって素敵なのである。
漂う暮らしの匂いがたまらない。

  

濃い空気が流れる離島の集落。
どっしりとした風情と静けさ。
オジィやオバァがゆっくりと行き交う角。

  

海や景勝地、観光スポットだけじゃなく、
僕はこの集落にも心惹かれます。
何もないけど、そこにすべてがあるような。

  


どうかこの島にはあまり変わらずに居て欲しい。
余所者の勝手な願望だとは分かっているけれど。
いつまでもやさしい小さな島であってほしいのだ。

  

集落を出ると、一面の畑。
農作業をする島の人と挨拶を交わす。
「今日はだいぶ暑くなったねぇ〜」

  

…何でヘビなの?
しかもカラフルだし。
でも、何か楽しくてイイよね。

  

日本最南端の交番。
まぁ、この島にあれば何でも最南端になりそうな…
“日本最南端の公衆トイレ”とかもあるね、きっと。

  


日本最南端の酒造所、『波照間酒造所』。
あの幻の泡盛といわれる“泡波”の製造元です。
パッと見ではここが工場だとは分からない!

  

赤瓦、石垣、南国の花。
う〜ん、トレビアン。
気持ちがほっこりとしてまいりますなぁ。

  

なかなか立派なヒンプンです。
そして家屋も雰囲気たっぷりです。
あ〜、こんな家で暮らしてみたい!

  

ヤケに甲子園に固執する女子高生ですよね、確か。
…しかし、なぜここに?
あ!最“南”端だから?!

  


かなり小さくて可愛い石敢當。
ここでおさらい。
これは魔除けの効果があるとされる石版です。

  

波照間の唄者・後冨底周二さんの“研究所”。
…って、たぶん自宅だよね?
この方のCD持ってます。なかなかイイですよ。

  

確か、ここは公民館(集会所)だったような…?
雨戸がしっかり閉じられてますけども。
今も使われているんだろうか?

  

日本最南端シリーズ、“最南端の郵便局”。
島には銀行が無いから、ある意味経済の中枢かも。
今は郵便局で銀行の預金も下ろせるしね〜。

   
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