久米島
〜4月23日・その1〜


 早朝、ものすごく寝苦しくて目が覚めてしまった。「何でこんなに寝苦しいんだ?」と思ったら、部屋の中が尋常じゃないぐらいに蒸している。…あ、そうか。クーラーとか点けないで寝ちゃったんだ…
 ホテルの朝食は、朝8時半から。それまでまだまだ時間がある。…もう一度寝よっかなぁ。
 何の気なしにテレビを点けると、『琉球放送(RBC)』のテストパターン(本放送開始に流れる映像のこと。例えばNHKだったら「青空にはためく日の丸」)が流れ始めた。その、何とも垢抜けない映像と、およそ“琉球”とは程遠い音楽で、朝から脱力ぅ〜な気分に陥る。
 さらに、その後放映されたのが、これまたパッとしないタレントが出演する“テレビショッピング”の類の番組。…ますます脱力。しかし、この手の番組って最近やたらと多いよなぁ。タレントが出てきて大袈裟&白々しいリアクション、居もしない観客のどよめきや笑い声をかぶせて…っていうスタイルのヤツ。そんなに人気があるのか?テレビショッピングって…
 やるせない気分に包まれながらテレビを消して、僕は天気を確認しようと窓に近づきカーテンを開けた。
 窓の外の空は、まだ少し雲が残ってはいたが晴れていた。昨夜、寝る前に見た天気予報では“久米島地方:くもり”と言っていたので、僕は空に向かって「このまま、せめて僕が久米島に居る間だけでも、晴れていてください!」と自分勝手なお祈りをする。
 視線を陸に落とすと、目の前にある“兼城港”には、幾雙かの釣り舟が見えた。釣り舟の周りにはたくさんの釣り人が集っている。さすがだなぁ、こんな早朝からみんな気合いが入ってるねぇ。僕は釣りってしないからその面白さが分からないんだけど、大の大人がこんな朝から喜んで集まるぐらいなんだから、きっと何かたまらない魅力のある遊びなんだろう。
 ………寝よ。
 

目覚めと共に、琉球放送。
しかも本放送は始まったばかり。
…俺って早起きし過ぎだよねぇ、つくづく…


  
ムービー!

まったく意味の無いムービー!
“琉球放送”のテストパターンです。
(最初の部分は入ってないんだけど)
時間に余裕がある方なら、どうぞ。
何しろファイル・サイズが900kb以上もあるし。

柏原芳恵と大和田信也(漢字当ってる?)。
蒲団圧縮袋の類を紹介中。
大和田、ちょっとさめてるような気が…


  

同時刻に別のチャンネルにしてみると…
こっちもコレかい!!
まったくどこもかしこも!怒!

  

 8時半を少し周った辺りに、二度寝から目覚めた。よ〜し!じゃあ朝飯を食いに行くか!

 ホテルの一階にあるレストランに移動。中に入ると、だだっ広いレストランには初老の夫婦が一組居るだけだった。
 夫婦は朝食をほとんど食べ終えていた。僕は夫婦に軽く朝の挨拶をした。と、ご主人のほうが「ああ、あなたもここに泊まってたんですか」と僕に笑顔で言った。
 …?…あ!昨夜『居酒屋 磯』で天ぷら2人前をお持ち帰りしたおじさんじゃないか!そう言えば、おじさんは昨晩会ったときと同じ黒い礼服を着ている。奥さんのほうもやはり礼服姿だった。
 「あ〜、ここでお泊りだったんですねぇ。ビックリしました」と僕が言うと、ご主人が奥さんに昨夜のことを簡単に説明した。
 「こちらの親類に不幸があってね、それで本島から来たんですよ」
 「あ、そうだったんですか。…今日、本島に戻られるんですか?」
 「ええ、これから午前中の飛行機で帰ります」
 そんな遣り取りを少しして、僕は近くのテーブルに着く。
 夫婦はぼそぼそと飛行機のことや本島に帰ってからのことなどを話し合っていたが、ご主人がおもむろに携帯電話を取り出した。…持ってるんだねぇ、携帯。僕は未だに持ってないって言うのに…
 「あ、もしもし?おはよう。あのさ、これからホテルを出て一旦そちらに寄って行こうかと思ってるんだけど…」
 どうやらご不幸のあったお家に電話しているようだった。
 …ところで、僕がこうして隣りの夫婦の行動に気を捕られている間も、一向に朝食が出てくる気配が無い。それどころか、このレストランの中には従業員が誰一人と居やしない。…あの〜、どうしたら朝ご飯にありつけるんですか…?
 僕がフロントに訊きに行こうと席から腰を上げると、冗談のように広々とした厨房からひとりのおじさんがひょっこりと顔を出した。
 「あ!おはようございます」とおじさんは早口で僕に挨拶をして、そのままどこかへ消えてしまった。
 …う〜ん、あの人が朝食を作ってるのかなぁ?さっきの慌てようからすると、まったく用意してないって感じだ。仕方ない。もう少し待つか。
 と僕が覚悟を決めてタバコで一服しようかというそのとき、フロントのほうからフロントマンが、朝食の乗ったお盆を持ってやって来た。
 「お待たせいたしました〜」フロントマンは僕のテーブルにお盆を置いて、さっさとフロントへと戻っていった。
 …何故フロントから朝食がやって来るの?じゃあ、この無駄に広い厨房で作ってるってわけじゃないのか?一体どこで作ってるの?この朝食…
 何だかいろいろと釈然としないことが多いけど、とりあえず朝食を食べる。料理はとくにマズいということもなく、美味いということもなかった。僕の愛するポーク玉子も一応メニューに含まれては居たが、「これ、焼いてからずいぶん時間が経ってるな」という感じで、あまり美味くなかった。

 僕が朝食を食べている間に、隣りの夫婦は静かにレストランを後にして行った。僕もそのすぐ後に食べ終えて、レストランを出た。
 部屋に戻ってとっとと荷造りをして、僕はホテルを出発する。…ちなみに、宿泊料金は確か\5,000〜\5,500ぐらいだったと思う。支払いをしようとフロントに近づくと、そこには誰も居らず、声を掛けても返事が無いので、僕は仕方なく生まれてはじめてカウンターに備え付けてあった「チ〜ン!」と鳴る半円形のベルのようなものを押した。「何だか偉い人になった気分じゃんか♪」などと一瞬思ったが、押してみると意外にデカい音がして、ちょっとビックリした。

 ―― さて、今日は天気もまずまずだし、さっそく張り切って久米島巡りをはじめようじゃあないか!
 僕が真っ先に向かったのは、島の東側に浮かぶ“奥武島”。ここにはあの有名な“畳石”がある。
 だがしかし、“畳石”は波打ち際にある岩場なので、満潮時ではあまり迫力がないらしい。だがあいにく、僕は潮の干満に関する知識をまったく持ち合わせて居なかった。果たして、この時間に“畳石”を観に行っても大丈夫なんだろうか?行ってみたら、石はすっかり海の底…なんてシャレにならない状況だったらどうしよう…
 レンタカーを運転しながら少し不安になったが、結局ストレートに奥武島に到着してしまった。
 

“奥武島”に掛かる橋。
車も人もぜ〜んぜん居やしません。
まだ9時前だしね…


  

“畳石”へと続く雑木林。
この先には『久米島ウミガメ館』もあります。
でも、こんな時間じゃまだ開いてません。


  

 橋を渡って奥武島に入ると、これでもか!と言わんばかりに“畳石”の方向を指し示す看板が出ていた。これならどんなに方向音痴な人でもまず迷うことなく畳石に辿り着けること請け合いだ。
 雑木林の中を抜けて行くと、目の前に白いビーチと青い海が広がった。う〜む、やっぱり海はこうでなくちゃなぁ♪昨日の“イーフビーチ”のあの寒々しい景色とは大違いの眺めに、僕は思わず奇声を上げながら砂浜へと走り出した。…こんなところを人に見られたら相当恥ずかしいけど、幸いここには人っ子ひとり居なかった。
 だが、実際のビーチは、さらにもう少し階段を降りて行ったところにあった。と、眼下に、周囲の砂浜の色とははっきりと違う、何やらゴツゴツとした岩場の部分が露出しているのが見えた。おお!あれが“畳石”なんですね!
 僕は階段を降りて、さっそく畳石のすぐそばまで移動した。
 ほほう、これがそうなのかぁ。…でも、何かちょっとガイドブックなんかで見る写真とは違うような気がする…ハッ!ひょっとして、これってぜんぜん干潮じゃないのかも?!だってさ、よく見かける写真なんかだと、この畳石の先端に居る人影が結構小さく写ってるもんよ。それに、岩自体ももっとキレイな亀の甲羅の形になってたはずだし。
 …でもまぁ、これはこれで良しとしよう。とりあえず“畳石”に来て、間近でしっかり見物したという事実には、何ら変わりは無いわけだしね。
 それに、今の僕にとっては畳石がどうのこうのよりも、この海の色のほうが素直にうれしいのだ。昨日のどんよりとしたほの暗い海を見ていただけに、なおさら目に染むこの水色。やっぱり海に来るなら晴れた日に限る!って痛感しまくり。
 しばらくの間、僕は砂浜に腰掛けて海を眺めていた。…しかし、こうして何度も沖縄にやって来ては、毎度毎度同じようにボケラ〜ッと海を眺めていると言うのに、どうして飽きることが無いんだろう?「どんな美人も3日で飽きる」などという格言(なのか?)があるけれど、このちゅら(キレイな)海には3日どころか、僕などはかれこれ8年越しで恋焦がれ続けていることになる。出来ることなら沖縄の海を、そっくりそのまま家に持って帰りたい!とさえ思う。僕だったら、持ち帰った海を埋め立てたり汚したりしないのに…って、ここまでくるとちょっとアブナイ人っぽくなっちゃうけども。
 …あ、そうだ。今日だったら“イーフビーチ”も、昨日よりは遥かにキレイに見えるに違いない!
 よし、こうなったらこのままイーフビーチにも行っちゃえ!
 畳石の浜辺から、僕はイーフビーチを目指すことにした。
     

いよいよ“畳石”へ。
でも、それ以上に海の色がうれしい。
嗚呼、ありがたふ、天気の神様。


  

階段の上から下の砂浜を見下ろすと…
おっ!あれが“畳石”だな!
じゃあ、ちょっと近寄ってみましょう。


  

…“畳石”に間違いないのは確かなんだが…
どうもイメージと微妙に違う気がするんだけど…
やっぱりこれって干潮じゃないのかも…


  

向こうに“イーフビーチ”が見えます。
海の色がとてもキレイでした。
この写真の何倍もキレイでしたよ、実際は。


  

なんか、右端に「ポコッ」とした島影が。
あれ、何ですか?
ただの大きな岩か?


  

それにしても、水も透き通ってるし。
昨日に引き続き風は少し強いけど、いい気分♪
お日さまって素晴らしい!


  


海辺のこういう光景も好きだなぁ。
シーズン・オフの物寂しい感じがまた趣き深い。
左の建物から伸びる1本の電線の行方は…


  

この電柱(?)に繋がってます。
空がまぶしい。
さすが“球美の島”!(昨日のことなど忘れ去り)


  
ムービー!

“畳石”のある砂浜。
風の音がすごいので、音量は控えめに。
ちなみにサイズは500kb弱です。
それでもよければ、どうぞ。

“奥武島”の橋からの眺め。
実は、ここから見た海が一番心に残りました。
海の色で涙腺緩むぐらいに。


  

 “イーフビーチ”に到着!
 ほら!やっぱり昨日とはぜんぜん違う。まだ午前の早い時間だったので“抜けるような真っ青の海”という感じじゃないけれど、それでもビーチに出て海を眺めていると、何とも清清しい気分になれる。
 きっと、真夏のド晴天にこんな海に来たら…そりゃあもう感激至極という心持ちになれるに違いない。
 まだビーチには誰も居なくて、俺様が独り占め状態!このまま泳いじゃおうか!ってな具合だ。
 …でも、この“イーフビーチ”って、何だかとてもだだっ広い。こういう広い空間にひとりきりで長く居ると、どうも落ち着かない。…やっぱり、まったりと過ごすにはもうちょっと狭いほうがいいかなぁ。(←すごく勝手な言い分)
 と言うわけで、そろそろ別の場所に移動しようかなぁ。
 ……………どこに行こう?
 ま、とりあえず昨日行ってない、島の南側に行ってみるとしよう。島尻のほうに“鳥の口”なるビュー・ポイントもあるらしいし。
 
 “イーフビーチ”周辺には、『はての浜ツアー』とか『はての浜連絡船乗り場』とかいう看板がいくつか掲げられていた。
 “はての浜”―― 久米島観光のある意味目玉と言って過言ではない、沖合いに浮かぶ“砂の島”。
 一度は行ってみたいと思うけど…今日はパス!だって、そんな島に行ったところで、泳ぐ用意をしてないから泳げないし。船で沖に連れられて、ただただ砂の島の上でボサ〜ッとしてる自分を想像すると、マヌケ以外の何者でもないような気がするし。
 そんな虚しい状況に陥ることだけは避けたいところだ。今回は見送ることにしよう。
 でもさ、「久米島に行って“はての浜”に行かないなんて、オマエってバカなんじゃないの?」って気もするよなぁ。
 まぁイイさ。だって、俺、バカなんだも〜ん♪
 

昨日の写真と比べてみよう!
“使用前・使用後”ぐらいの差がある!
“イーフビーチ”にて。


  


昨日の写真と比べてみよう!Part2!
これだよ!俺が求めていたものは!
木の落とす蔭が、陽射しの強さを物語る。


  

昨日の写真と比べてみよう!Part3!
砂浜に生えた草の色だって格段の差!
なんて眺めがいいんだろう。


  

昨日の写真と比べてみよう!Part4!くどい!
背中の寂しげな女子3人組も居ない。
…ちょっと見せてあげたかったなぁ。この海を。


  
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