島には島の、町には町の、それぞれの風情あり


 さて、フェリー“ニューいぜな”に乗って運天港に向かったわけだが、往路ではユラリユラリとイヤ〜な感じで揺れていた船が、復路ではすっかりなりをひそめ、拍子抜けするぐらいに穏やかだった。…とは言え、船に弱い人にとってはこれでもやはり船酔いを誘発するには充分だったらしく、伊是名港を出発して10分も経つと、あちこちでグロッキーしてる乗客を見掛けた。
 かく言う僕も、椅子に腰掛けてユ〜ラユ〜ラという船の揺れに身を任せているうちに、だんだんと眠たくなってきた。うとうとと瞑(まどろ)んでいるうちに、フェリーは運天港に到着。

 さて、ここからはそうのんびりもしていられない。運天港に船が着いたのが、だいたい午後3時近く。僕が乗る予定の羽田行きの飛行機は午後5時過ぎに那覇を発つ。運天から那覇まで約2時間ちょっとで戻らなくてはならない。道路が順調に流れていればさほど問題は無いけれど、うっかり渋滞にでも嵌まってしまったら…
 僕は少々焦りながら、運天港を那覇に向けて出発した。
 

“ニューいぜな”のデッキ。
2月でもポカポカです。
波飛沫はかなり跳ね飛んできますけど。

  

だ〜れも居ません。
昨日の船よりぐっと乗客は少なめの様子。
平日だしね。

  

2階(?)の船室。
ちょうどテレビではドラマ『トリック』の最終回が。
沖縄の人はどう思うのか?あの最終回を…

  

雑魚寝できる船室。
こちらもガランとしてますね。
こういうの、フェリーって感じがする。

  

運天港が見えてきました。
約1時間の船旅もそろそろ終わりです。
…って、ほとんど寝てたんだけど。

  

トラックの荷台には牛がたくさん。
思わず『ドナドナ』を歌ってしまう光景。
おいしいお肉になってね〜(涙)

    

 「そら急げ〜!!」とばかりに車を走らせた僕だったが、途中で今帰仁村の中心部(?)に差し掛かった辺りで、その町並みに目を惹かれてしまった。今まで何度か通っているはずのこの界隈、それなのに今まで今帰仁の町をじっくり見たことが無かった。時間的にあまり余裕が無いことを重々知りながらも、「ちょっとだけ寄り道しちゃおう♪」と車を停めてしまう。
 国道505線“大井川橋”から今帰仁村役場に掛けて、沿道とその周辺には商店などが並んでいる。その佇まいたるや、「あ〜、沖縄だなぁ」と思わずしみじみとした気分にさせる魅力に溢れていた。くすんだコンクリート建築の色具合、壁に直に書かれた商店の屋号、ベランダの飾り格子…どれもがまったく素晴らしいじゃないか。
 僕は嬉々としてこの界隈(“仲宗根”という地区みたい)を彷徨った。国道から一歩奥に入ると、製糖工場や住宅があって、これまた沖縄らしい空気を漂わせている。う〜む、伊是名島の離島然とした雰囲気も良かったけど、こういう町の姿もやっぱりイイ!精肉店で買い物がてら世間話をするアンマーたち、路地裏で遊ぶ子供たち、緩やかな坂道を杖をつきながらゆっくりと登っていくオバァの後ろ姿、行き交うウチナーグチ。このままこの空間に溶け込んでいきたくなるような、不思議な感覚。僕は普段よりもずっと遅い速さで町を歩きながら、何だか涙腺が緩くなりそうになる。…って、最近こんなことばかり言ってるような気がする。歳をとったってことかなぁ。
 決して活気があるわけではなく、むしろ寂れた印象すらある仲宗根の町。土地の皆さんには申し訳ないけど、出来ればこの雰囲気をずっと残していて欲しいな、と僕は思った。この“沖縄の匂い”を大の好物としている僕の勝手な望みではあるけれど。

 …ハッ!いか〜ん!!ちょっとのつもりが、だいぶ時間を食ってしまった!そろそろマジでマズい時間じゃないか!
 僕は大急ぎで本部半島を抜け、そのまま迷わず“沖縄自動車道”に入る。ガンガンに突っ走る。幸い沖縄道はガラガラに空いていて(いつものこと?)、僕のやや暴走気味の運転との相乗効果で思った以上に早く那覇市内に到着した。
 「う〜む、まだ少し余裕があるな。ちょっとここらで一般道に下りてみようかなぁ…」
 …なんでこんなバカな選択をしてしまったのか。そのまま素直に空港まで行ってしまえばいいものを、僕は沖縄道を下りてしまった。魔が差したとしか思えない。
 一般道に下りると、途端に車の動きはダラダラと遅くなった。そろそろ夕刻の渋滞が始まろうかというタイミングだ。僕は激しく後悔する。刻一刻と飛行機の時間は迫っている。マズい!非情にマズい!
 で、慌ててあっちこっちの道を右往左往。かえってドツボに嵌まりはじめる。…間に合うのか?俺。ちぇっ、なんだよ〜!ついさっきまで伊是名島でのんびりとした気分を満喫してたとは思えない、この焦りようは!って、俺が悪いんじゃん。身から出た錆。泣くに泣けない…
 何とか那覇軍港近くのレンタカー屋に辿り着いた。が、飛行機の時間まであと30分ちょっとしか無い!!焦っている僕の様子を察してか、レンタカー屋さんは間髪入れずに送迎の車を出してくれた。送迎車のなかでも、ずっと焦っている僕。顔がオドオドしてるのが自分でも分かる。「ま、もしも間に合わなかったら次の便で帰ればいいか。たぶん満席ってことは無いだろうし…」などと思いはじめる。しかし、そうなると痛い出費だなぁ。
 そんなことを考えているうちに、何とか時間ギリギリで空港に到着し、僕は全速力でカウンターに飛びつき、搭乗手続きをする。ふぅ〜、滑り込みセーフ!!いや〜、まったくヒヤヒヤいたしました。
 というわけで、この日は毎度恒例の那覇空港ほっつき歩きもナシ。珍しく国際通り界隈の散策もしなかった。何だかバタバタとした状態のまま飛行機に乗り、座席に着いてようやく一息ついた感じだった。
 …ここ最近、沖縄旅行に来るとどうもこんなふうにヤキモキすることが多いような気が…気のせいだったらいいんだけど…
 

緋寒桜が見頃でした。
ホントはのんびり花見でもしたいところだけどなぁ。
ま、それは来年にでも。

  

今帰仁村仲宗根の辺り。
いつも素通りしてました。
実はなかなか趣きのある場所かも。

  

きっとなんてことない普通の民家に過ぎないんだけど…
なんでこんなに雰囲気があるんだろう。
地元の人は「どこが?」と思うだろうが。

  


こういうのもイイなぁ。
これ見ただけで「沖縄だぁ!」って思う。
地元の人は「どこが?」と思うだろうが。

  


この辺りは鮮魚店と精肉店が多い感じ。
港が近いせいかもしれない。
精肉店…さっきの牛…(涙)

  

よく見ると“電化センター”の文字が…
今も営業中なのかどうかは分からなかったけど。
コンクリートの褪せ具合が個人的にツボ。

  

定休日なのか、閉店しちゃったのか、開店前なのか。
左の壁にカラフルな魚の絵が。
2階部分の飾り格子にも心惹かれます。

  


路地裏がまたイイ感じ。
『スナック愛』に『みどり食堂』。
…ステキです。

  

で、『みどり食堂』。これは魅力的だ!
でも、食べてる時間が無くて入店は断念。
入りたかったよ〜!

  

伊是名から戻ってきても、また伊是名。
しかも鮮魚と精肉両方扱ってる。
まとめとしては最適だね。

  

何だかこの一角だけヤケに華やかでした。
お店みたいだったけど。
赤瓦とヤシの木。取り合わせとしては完璧かも。

  

これは呉我山辺りにあった小さな集落。
まだ本島にもこんな集落が残ってるんだよねぇ。
もっと本島をじっくり探索したくなるね。

  

首里の辺りの坂の上から那覇方面を見る。
やっぱり那覇は都会です。
…って、ホントはこんな写真を撮ってる場合じゃない。

  

皆さんご存知のこの光景。
「あ〜、もう帰るんだなぁ〜」と思う瞬間。
一抹の寂しさと、ホッとする安堵感と。

  
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