さまざまな音と共にやって来る朝…気合いは漲る


 どこからか聞こえて来る『エリーゼのために』のメロディーで起こされた。どうやら昨日の夕方に流れた『夕焼け小焼け』と同様、島内放送で流されているらしい。時計を見ると朝6時半。『エリーゼのために』の調べに乗せて、「みなさん、おはようございます」などという朝の挨拶も島中に響き渡る。…これって、人によってはちょっと迷惑に感じるんじゃないの?例えば夜の仕事をしてる人とかさぁ。「さて、寝るか」という頃合に、こんな放送を大々的に流されちゃあ、おちおち寝ても居られないだろうに…
 さらに、“朝の音楽&挨拶”が終わると、今度は島民への連絡事項がこれまたしっかりとスピーカーで伝達される。
 「本日○○時に××公民館にて、大型船舶の免許更新に関する講習会が開かれます…」とかいう調子で。親切と言うか、何と言うか…
 そんな島内放送にすっかり気を取られ、完全に目が覚めてしまった。窓の外を見ると、ちょうど朝陽が雲間から真正面に輝いて見えた。海と空を複雑な色味に染め上げる朝の光に、しばらく見入ってしまう。やや雲が多いながらも、今日はなかなか天気が良いみたいだ。よ〜し、今日もはりきって島を周ってやるぞ!港の方からは、ラジオ体操の音が聞こえて来る。その音楽に合わせて僕もラジオ体操などをしてみる。…が、ちょっと恥ずかしくなったのですぐに止めて、窓を閉め、テレビのスイッチを入れた。
 テレビのニュースでは、昨日行われた名護市長選の結果が伝えられていた。やはり大方の予想通り、辺野古のヘリポート容認派の岸本市長の再選が決まったようだった。…まぁ、結果は結果だ。名護の人々が下した判断なのだから、僕はそれに対して四の五の言う立場じゃ無い。
 さて、気を取り直して顔でも洗うかな。と、部屋の電話が鳴った。ちょっとビックリして受話器を取ると、フロントから朝食の準備が出来たという報せ。
 朝食を摂り終えて、僕はそのまま民宿をチェックアウトした。いやいやなかなかどうして結構な宿でございました。こういうビジネスホテル風な宿もイイもんだ。何よりバス・トイレがちゃんとしてるのがうれしい。

 宿を出て、仲田の集落を抜けて北側に向かおうと進んで行くと、一際大きな建物が群立する(って大袈裟かな)一帯に行き当たった。役場や学校、診療所などが集中している、行政の中心部らしき場所だ。ふ〜ん、ちょっと覗いて行こうかな。
 診療所の中には、オジィやオバァがたくさん居た。朝早い時間にお年寄りが病院に集まるのは、ここ伊是名島でも同じらしい。役場にもちょこちょこと訪れる人がある。…なんて言うと、まるでここがやたらと活気付いているかのように聞こえるかもしれないが、実はそうでも無かったりして。賑やかなのは学校から聞こえて来る子供の声やチャイムだけで、至って穏やかな朝である。
 役場の掲示板をちょっと拝見すると…“自動車の特徴”などというタイトルの書状が貼り出されてある。読んでみるとですねぇ…どうやら廃車や放置自動車などに関する報告らしい。それによると、「破損がひどく1台づつ確認することが困難な車…約210台」とか「通常の廃車…約290台」とか書かれてある。“約”ってのがスゴイけどね。伊是名村には廃車・放置車が“約1000台”もあるらしい。…あのぉ、伊是名村って人口何人ですか?と質問したくなるような数字ではある。
 あ、郵便局もある。そう言えば、昨夜書いた絵葉書を送らなくちゃな。というわけで、僕は郵便局に入って、切手を買うことにした。
 伊是名の郵便局は、意外と忙しいみたいだった。お客が引っ切り無しにやって来て、あれやこれやと職員に訊ねる。それにしても郵便局ってどこも何故か忙しいよね。結構待たされたりもするし。
 「あの〜、切手が欲しいんですけど…」
 「はい。そちらの葉書を出されるんですか?では、切手はこちらで貼っておきますから〜」
 対応してくれた女性職員さんがテキパキと絵葉書に切手を貼ってくれた。すみませんねぇ、忙しいのに。
 …さてと、それでは本格的に伊是名島巡りを開始しよう!昨日とは逆に島を周ることにしよう。
 

朝陽に照らされる伊是名の海。
ちょっと雲が多いのが気に掛かる。
ま、杞憂でしたけど。

  


民宿の屋上から見た仲田の集落。
赤瓦の家はあまり無いですね。
低い建物が整然と並んでいます。

  

こういう小さな拝所はあちこちに。
神様と島ん人の密接かつ日常的な繋がり。
それが今も続いているのだろうか。

  

キビの畑。霞む水平線。
何だか“島”って感じがする。
今日は風も無くて静か。

  

伊是名役場。
周囲をうろついている僕を怪訝そうに見る人。
…そりゃまぁ仕方ないですね。

  

伊是名診療所。隣りには歯科医も併設。
患者さんが結構たくさん居た。
早朝から繁盛(?)してる。

  

郵便局にもお客が次々と。
タンカンを全国配送してくれるキャンペーン実施中。
美味いんだよねぇ、タンカン。

  

伊是名小学校。
これらの公共施設は一箇所に集中しています。
ある意味、島の中枢。

  

がんばってね、伊是名っ子!
“オアシス・チョコ運動”と連動してるわけね。
守って立派な人になりましょう。

   

集落の周囲は畑。
でも、サトウキビってあまり儲からないらしい。
いろいろと苦労もあるんだと思う。

  

 集落を少し離れると、もうそこは一面の畑。とくに島の北東の辺りにはサトウキビの畑が広がっていて、まさに沖縄ならではの景色が続く。
 そんな景色の中を車でひた走って行くと、やがて集落が見えて来た。“内花集落”だ。この集落は、たぶん伊是名島にある集落の中でも一番小さい。そのわりに比較的新しい建物が多くて、ちょっと風情に欠けるような気もする。…って、勝手なこと言ってますけどね。
 そうとは言え、少々入り組んだ集落の中の道をウロウロしていると、軒先で頭に手拭いを巻いたオバァたちが世間話をしていたりする場面に出くわしもする。人の暮らしの匂いが、のんびりとした時間の流れのそこここにぷかりと浮かんでいるような。
 集落の外れには“内花港”があった。集落から伸びる緩い下り坂からは、港と海が見えた。目の覚めるような青い色に光る海に色めき立ちながら港に向かう。
 港には誰も居なかった。桟橋からしばらく海を見る。いやぁ〜、静かですなぁ。波の音しか聞こえて来ない。
 

延々と広がるサトウキビ畑。
葉っぱがまるでカチャーシー。
農作業する人も多く見掛けました。

  

たぶん人の暮らしている空間よりも田畑のほうが広い。
離島独特の風情の生まれる一因だとは思う。
…夜は真っ暗で怖そうだけどね。

  

“内花”の小さな集落を抜ける。
と、坂道の下に海が見える。
目の覚めるような真っ青な海。

  

“内花港”。
沖に見える島影は“具志川島”。
具志川島って無人島だよね?

  


内花集落はホントに小さい。
“教員住宅”なんてものもありました。
新しい家と古い家が混在するのどかな一角。

  

クタッとなってるこの花は?
ぜ〜んぜん分かりませ〜ん(^_^;)
萎れてるの?夕方以降に咲くの?

  

 そんな内花の集落から少しだけ西側に移動すると、幹線道路沿いに何やら巨大で怪しげな物体が出没してきた。一見すると大きな岩のように見えるのだが、それが“張りぼての岩”だということは、遠目にもすぐに分かる。よく遊園地のアトラクションなんかで見掛けるような類のヤツね。これって一体何だ?
 そのなんちゃって巨岩は、『内花橋公園』という公園の敷地内に聳え立っていた。駐車場や公衆トイレも完備された、なかなか立派な公園なのだが、こんな平日の午前中に公園で油を売ってるような輩は誰一人として居らず、辺りは静寂に包まれていた。
 …とりあえず、気になるので巨岩に近づいてみると…おや?どうやらこの岩、何かの顔になっているみたい。でも、一体何の顔だろう?…後で知ったんだけど、この巨大な岩はシーサーをイメージして作られたらしい。そう言われなくちゃシーサーだと気づく人はまず居ないのでは?言われても「え?これがシーサーなのか?」って感じだし。
 とにかくこのシーサー岩は、展望台になっていた。中は洞窟のような雰囲気に作られてあって、これはこれでちょっと面白いような気もするけど…仕方なく、頭の中でインディー・ジョーンズのテーマを奏でながら洞窟風の内部にある階段を上って行くと、ところどころに設けられた覗き窓から海が見える。海の色は実にキレイなのだが、これを見てる状況が状況だけに、どうも素直に喜べない気がするのは俺だけ?
 一応、頂上まで上ってはみたものの、頂上は四方を張りぼての石の壁に囲まれていて、眺望を楽しむ構造になってませんし。ただでさえ狭い頂上部分なのに、壁のせいでさらに圧迫感があるし。壁と同じ材質で出来たテーブルと椅子があつらえてあるけど、こんなところで一体何をしろと言うんだ?って感じ。
 …あ、でも地元の子供にはウケがイイのかも?う〜ん、いまどきの子供が果たしてこんなものにときめいたりするのかどうか、やや疑問ではあるけども。それともひょっとして、観光客向けに作ったのか?それにしては、伊是名のガイドマップにも載ってないし、そもそもコンセプト自体に無理があるような…それにしても、この巨大オブジェの周囲からの“浮き”具合といったら、ちょっと笑ってしまうほどだ。これはもしかすると、ウケを取るために作られた壮大なギャグなのか?だとしたら…合否の判断はしかねますねぇ。ウケ度35点!ってところかな。
 …久々に脱力。気を取り直して先に進むことにするか。
 

内花集落の近くにある公園。
駐車場完備の立派な(?)憩いのスペース。
…だと思うんだけど…

  

何やら面妖な巨大物体が…
パッと見では何だかさっぱり分かりません。
岩で出来た要塞か何か?

  

なんじゃこりゃ?顔だ!
シーサーをイメージして作られた展望台らしい。
シーサー…なのか!?

   


中は洞窟風にこしらえてあります。
しかも、左の写真の顔、目が光るみたい。
だって目の部分に大きなライトが…

    

なかなかよく作り込んであるとは思いますよ。
でも…何でこんな手の込んだ展望台を?
普通の展望台じゃダメだったの?

  


頂上に上がってみると、こんな休憩所が。
狭いッス、ここ。
わざわざここまで来て憩う人が居るのか?

  

眺めは悪くないけれど、ちょっとヘンな建造物。
これって島民向け?観光客向け?
どっちにしてもトホホな感は否めないです。

  
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