僕がコザの街に惹かれるのは、そこがよく言われるように“チャンプルー・カルチャー”のシンボルのような場所だから、という理由とは少し違うように思う。言ってみれば僕が暮らしている東京なんて街は、コザを遥かに凌ぐ“チャンプルーな街”だし、そこに蠢(うごめ)く人々の怪しさと言ったらコザの比では無い。コザの人たちには申し訳ないんだけど、たぶん僕にとってコザという街は、どことなくうらぶれた寂しさが漂う場所。コンクリートの素っ気無い建物と、胡散臭い看板やネオン、どこか時代から取り残されてしまったような街。そして、そんなコザの街が僕は大好きなのだ。

 いつも友人Kとコザに来ると必ず立ち寄る“中央パークアベニュー”や“ゲート通り”、その周辺のアーケード商店街を今回は外して、路地裏へ路地裏へと進んでみる。上地や照屋の住宅街、それから“中の町社交街”。くすんだコンクリート建築の中に、脈絡も無く現れる原色の看板や屋根などの塗装。必要以上に陽射しと影のコントラストを強調しているような街並みを、適当にブラブラと歩く。思いのほかアップダウンのある街を歩いていると、12月だというのに少し汗ばんでくる。途中、自動販売機でジュースなんぞを買って、潰れてしまったスナックの軒下に腰掛けてチビチビ飲んでいると、「俺、何やってるんだろう…」と些か呆けた気分にもなる。タバコを吸いつつ自分の吐き出した煙の行方を目で追うと、空はキレイに晴れ上がっている。その空の色。何もかもが愛しく思えるような錯覚に陥りながら、僕は何でも無い街並みを歩き続けた。
 

コザ十字路周辺。
“玉城商店”もイイ味出してるけど…
“長崎カステラ”はどうよ?

  

“キャンパスレコード”の本店。
結構有名だよね、このお店。
丸福、高良、キャンパス。三大有名店(?)。

  

妙に味わい深い映画館。ペプシのロゴがグ〜。
ただし、成人映画上映館のようですけど。
隣り(?)の“コマダンスホール”もイイねぇ。

  


その映画館の裏。
ところどころにまだ瓦屋根の家が点在。
屋根の上の貯水タンクもオキナワン。

  

これは上地だったかな?
真っ赤な建物に英文字&漢字のチープな趣き。
やや香港チックな。

さらにチープさ爆発なお寿司屋さん。
スシ・テンプラ・ウナギ(イール)。
…ウナギ?

  

上の写真の店を正面から見ました。
“四季”と“双龍”に挟まれた“カネボウ”。
For beautiful human life!

  


コザには“ナサ”だってあるのだ!
しかも24時間OPEN!さすがNASA!
…だが、どうやら潰れちゃったみたい(^_^;)

 

 ハッキリ言ってね、こんなふうに宛ても無くウロウロしてることがべつに特別楽しいわけでもないし、ワクワクするわけでも無いんだよね。むしろ離島に行ってるときのほうがワクワクしてるような気もするし。僕は沖縄旅行に“癒し”を求めてはいない。沖縄が“完全無欠の癒しの島”だとも思わないし。もしも僕が癒しに近い気持ちを求めているとしたら、それはたぶん“懐かしさ”と言ったほうが正しい。離島ややんばるに行けば、穏やかな自然と素朴な人々の暮らしに逢える。そして、那覇やコザなどの街を歩けば、喧騒の片隅に名残る時代の遺失物のようなものを見つけることが出来る。そのどちらも僕にとってはたまらなく魅力的なのだ。
 自然も街も人も、いつまでも同じでは居られない。実際、僕がこうしてボケッとしながらほっつき歩いているそばで、いかにも古そうなコンクリートの2階家が解体されていた。もしも、僕がここに来るのがもう1ヶ月遅かったら、ここには何か違う建物が建っていたかもしれない。で、僕はそのことにはまったく気づくことが無かったはずだ。…そういうものなんだろうね、人と場所の出会いって。
 例えば、あの辺野古だって泡瀬だって、もしもリゾートか何かに開発されたとしたら、そこがかつて静かな海だったことを知らない人にとっては「極上のリゾート」として映るかもしれないわけだ。モノレールが縦横無尽に沖縄を繋ぐとしたら、「沖縄は自動車社会」だなんてことは、遠い昔の話になってしまうのかもしれない。マチグヮーもスージグヮーも、歴史のひとつとして残されていく“遺産”になってしまうかもしれない。それは、あたかも僕が『中城城跡』を見て感じた“古(いにしえ)”のように。
 …それでもいいのかもね。いつか僕がじいさんになったとき、「沖縄も変わったなぁ」としみじみ思い返す。で、言い知れない寂しさを感じる。まさに“歴史は繰り返す”ってヤツだ。…もしかすると、しみじみとすることすら出来ないぐらいに沖縄が変わっていたとしたら…そのとき、僕はまだ沖縄を好きで居られるんだろうか?
 こういうことを言うと怒る人も居るかもしれないが、実はすでに僕の中で沖縄に対する気持ちは、はじめて訪れたときのそれとはだいぶ違って来ている。数年前まで、僕は沖縄にちなんだものを喜んで買い漁り、沖縄のことを思っては何となく幸せな気分になれた。が、最近の僕は、沖縄のことを考えると、何となくイヤな気分になることのほうが多い。基地のこと、自然のこと、人の暮らしのこと…沖縄に興味を持ち、沖縄に触れれば触れるほど、そこには何か漠然とした不安や絶望が付き纏う。今までにも何度か「沖縄に通うのをやめちゃおうかなぁ…」と思うこともあった。今回の旅行も、最初は「これで最後になるかもしれない」と思っていた。そのために羽田空港でこんな写真も撮っていた。もう「沖縄大好き!」と手放しで喜べない自分がかなり大きく成長してきてしまって、どうしようも無かった。…なんで僕はこんな気持ちになるために、わざわざ沖縄までやって来るんだろう?と。
 
 だけど、それでも僕はなぜか沖縄と絶縁することが出来ない。那覇空港に降り立てば胸が躍り、国際通りを歩けば「俺は沖縄に居るんだ〜♪」という実感に心騒ぎ、海を見ればときめき、民謡が聴こえて来れば自然と聴き耳を立ててしまう。バカだ。つくづくバカだと思う。国際通りに夜な夜な出没する暴走族もどきのヘタレヤンキーを見れば「アホじゃないの?死ね!」などと悪態をつき(怖いので心の中で)、取り壊される古い家屋を見れば「もったいない!俺にくれ!」と叫び、埋め立てられつつある海を見れば「マヌケ!海がキレイじゃない沖縄なんて、ピラミッドの無いエジプトみたいなもんだろうが!」と罵り、そんなことの連続で辟易としていても、市場や路地裏でオジィやオバァと挨拶を交わすだけでこの上ない幸福感に包まれてしまう。俺ってどうしようもない単純バカだ。

 そんな単純バカが、いくら足りない脳味噌をフル稼働させたところで、一向に答えは出ない。答えが出ないどころか、ますますワケが分からなくなってくるばかり。答えが分からないから沖縄にやって来る。…この堂堂巡りがいつまで続くのか。僕としては、出来れば永遠に続いて欲しいんだけどね。
 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、上地の住宅街で不意に聴こえて来た島唄。それは、たまたま通り掛った『琉舞道場』から流れて来ていた。その旋律にしばらくこっそりと耳をすませていると、少しづつ気持ちがほだされていくのが分かった。恥ずかしい話だけど、無性に涙腺が緩んで困った。
 

ご覧の通り、“中の街社交街”です。
ペルシャもあればラスベガスもある。
かなりワールドワイドな社交街です。

   


…営業してるのかどうか分からない。
えらくシンプルな店構えです。
シンプルすぎて怖いくらいに。

 


『ボライトホテル』?
飾り格子がどうも廓風な気がしないでも無い。
もちろん廃業してます。窓も板で塞がれてるし。

  

ムチャクチャ雰囲気のある建物。
で、お店の名前が『スタンド・バイ・ミー』。
ベン・E・キングが朗朗と歌い上げます。

  

スーパーマーケットにあるハンバーガー屋さん。
美味いんだろうか?
この雰囲気は個人的にツボなんだが…

  

くすんだコンクリート壁に感じる沖縄。
剥げ落ちた白いペンキの名残り。
「老朽化した建物」で片付けちゃうのはもったいないような。

   

昼間の歓楽街を歩くのが大好きなんだよね。
夜だと気がつかないものに出会えるし。
もちろん、夜に歩くのもイイけどね〜。

   

潰れてるんだか営業してるんだか…
どう見ても廃墟のようにしか見えないけど。
…でも、案外営業してたりするのかも。

  

こういうネーミングって結構定番かもしれない。
『社長室』とかさ。
「ちょっと“勉強部屋”に行って来るよ〜」って。

   

「今、“俺の部屋”で飲んでるんだよ〜」とかね。
…狙いはそういうことだよね?たぶん。
真相が分かっちゃうとそれほど面白くないコネタ風。

  

『満潮』は“懐メロハウス”みたいです。
懐メロとは果たしてどの辺りまでを指すのか。
世代が明快になるリトマス試験紙のような。

  


どうやらこの辺りの時代の歌がメインらしい。
『銀恋』なんかをデュエットしちゃうのね。
“カラオケであの日あの時の感動再び!”

  

ちり。沖縄ではこう表記されることが多いかな。
“塵(ちり)”って何だかスゴク細かそう。
意味はちゃんと理解できるけど。

  

裁さん。これまた地元色の強いお名前。
僕がはじめて知った沖縄の人の苗字。
ほら、あの沖水の名監督。

  

ゲート通りに面して現れる市場。
以前ここにある天ぷら屋さんで天ぷらを買いました。
塩味の効いたフリッターのような天ぷら。

  

色の褪せ具合がどことなくコザっぽい気がしない?
鉄製の門扉のようですけど…
ゲート通りにて。

  

ちょっと裏道に入るとこれまたイイ感じの街並みが。
スージグヮーは那覇だけじゃないんだよね〜。
当たり前かもしれないけど。

  

ブロック塀あり、石敢當あり。
この佇まい、たまりませんなぁ。
こんなものをありがたがる僕もヘンだけどね(^_^;)

  

ここは空家なのか?落書きしてあんじゃん。
りょう・あきら、只今参上しなくていい!!
こんなとこに相合傘書くカップルなんか即破局!!

  

独特の瓦屋根。これは何ていう瓦なんだろう?
奥にある建物、やたらと煙突が立ってる。
気になったので近づいてみると…

  

道路より少し低くなってる部屋に機械があった。
何かの工場なのかな?
軒下ではハトがくつろいでました。

  

飾り格子と洗濯物。
風に乗って漂う暮らしの匂い。
…あ、でもここが普通の民家かどうかは不明。

  


写真じゃ分かりにくいけど、この店、背がすごく低い!
右の自販機と比較するとちょっと分かるかな?
チビの僕でも思わず身を屈めちゃいそうな。

  

木の電柱。
最近まずお目にかかれなくなってしまった。
この電柱も激しく老朽化。

  

一般的なブーゲンビリアよりも色が濃い。
花(苞葉)の部分の形も微妙に違う。
ブーゲンには何種類かの園芸種があるんだって。

  

街を行く、派手なコスチュームのアンマー。
黒い麦わらにスカーフ、赤いシャツ、ピンクのパンツ。
でも不思議と違和感は無い。

  


この薄紫の花は…?
これはブーゲンビリアじゃないよね?
いつも言うけど、植物に疎いんだよなぁ…

  

…?
「デッチアゲクスゴミ一見ナイ」………?
意味が分からない!!

  

『上地第一児童公園』。
…おや?何だか物々しい雰囲気。
これは!事件の臭い!!

  

滑り台の下で何やら話しているが…
何があったのかは分かりませ〜ん。
滑り台の順番争いとか…それは無いですね。

  

屋上から垂れ下がる立派なブーゲンビリア。
赤と白のコントラストが目にも鮮やか。
…でもエアコンの室外機に悪影響は無いの…?

   

どこからとも無く聴こえて来た沖縄民謡。
その出所はここ、『崎原セツ子琉舞道場』。
“道場”ですからねぇ。

  

『吉元弁当』というお弁当屋さん。
ここで買い物するのは今日で2回目。
ちょうど昼時だったので店内はごった返しています。

  

“カツ弁当”を買ってみた。
かなりのボリュームで400円。安い。
味は…好みにも寄るな、たぶん(^_^;)

  
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