Private Ocean


 石垣島を漠然と北上していると、“伊原間”に差し掛かった。伊原間と言えば…そう!『伊原間サビチ洞』だ!この鍾乳洞を奥へと進んで行くと、海に出る。これがこの鍾乳洞の“売り”。「日本で唯一海に抜ける鍾乳洞」と銘打っているが、それがホントかどうかは知らないけど。

 僕がはじめて石垣島に来た1994年、僕は友人Kと、まだオープンして間もない『サビチ洞』を訪れた。そのときに、僕らは洞窟の先にある砂浜でデカい蛇を発見!「イラブー(海蛇)?!それともハブ?!」と大騒ぎして、このことを管理人のおじさんとおばさんに教えに行った。
 「ホント?!よし、おじさんが捕まえに行くよ!もしも上手く捕まえられたら、あなたたちにも分けてあげるよ!」
 そう言って、おじさんは意気揚揚洞窟の中に消えて行ったのだが、それから30分ぐらい待っていても、一向におじさんは戻って来なかった。
 「…蛇に噛まれてるんじゃないの?」と不安がる僕ら。おばさんは「そんなわけないよ〜。きっと探してるんじゃないの?」と笑って、「待ってても仕方が無いから、ここに住所を書いておいて。おじさんが捕まえて来たら、黒焼きにしてそこに送ってあげるから〜」と約束してくれた。
 その心遣いは有り難かったけど、「“イラブーorハブの黒焼き”を送ってもらっても…使い道が無いし…」と思ったりする。でも、一応こちらの住所を教えて洞窟を後にした。が、結局その後、『サビチ洞』から“イラブーorハブの黒焼き”が家に送られて来ることは無かった。ホッとするやらガッカリするやら…たぶん、見つからなかったんだと思う。あるいは、おじさんおばさんが蛇に目がくらんで、自分たちだけで食べてしまったのかもしれない。まぁ、どっちでもイイんだけどね。

 さて、そんなことを回想しつつ、僕は『サビチ洞』に入ってみることにした。久しぶりに訪れる『サビチ洞』には、何か変化があるのか、ぜ〜んぜん変わっていないのか。
  県道沿いの入り口から、クネクネとした道を少し走って行くと、そこに鍾乳洞の入り口が現れる。入り口付近にはレストハウス(?)があって、ここではみやげ物や小物などを販売していたり、トロピカルフルーツの生搾りジュースなどが飲めたりする。この建物の中で入洞料\700を支払って、いよいよ洞内へ。…あ、ちなみに、このとき接客してくれたおばさんが、7年前のときのおばさんと同一人物なのかどうかは、ちょっと分からなかった。もしも同一人物だったなら、「例の蛇はどうなりましたか?」とでも訊ねてみたい気もしたが、そんなこと憶えちゃいないだろうし、訊ねたところでどうなるってわけでもないんだけどね。
 
 この洞窟、もちろん“鍾乳洞”なわけだから、洞内は鍾乳石で覆われているのだけれど、ハッキリ言って鍾乳石は大して印象に残らない。それよりもやたらと強烈な印象を与えてくるのが、“骨壷”。沖縄独特の、お屋敷型のカラフルな焼物で作られたヤツやシンプルなものなど、ありとあらゆる骨壷があちらこちらに安置されている。「…まさか“中身”は入ってないよなぁ…」と思いつつ、「でも、ひょっとして入ってるかも…」とも思いつつ、それほど長くない洞窟を抜けて行く。
 

“伊原間サビチ洞”へGO!
「日本で唯一海にぬける鍾乳洞」!
…看板、色褪せちゃってますけど…

  

これが“サビチ洞”の入り口だ!
何気に置かれたパラソルがグ〜!
きっとトロピカルな洞窟なんだろうと思いきや…

   

川端康成ですか?
「LOOK AT!!」と言うほどのことでも…
大うなぎに逢うとラッキー?…どうよ、それ…

  


中は、かなりワイルドな感じの鍾乳洞。
左の池(?)に大うなぎが…
僕は逢えなかった。アンラッキー。

  

鍾乳洞の中に何故か骨壷が。
しかもドッサリと。
鍾乳石よりも目立ってます。

  

“ナイアガラ”鍾乳石。
かなり強引な気もするけどね。
でもまぁ、分からないでもない。

  

でもこの“スフィンクス”は戴けないだろう。
…あれ?ジ〜ッと見てると見えなくもないような…?
…………やっぱり無理。

  

洞窟を抜けると、そこはビーチへの道。
洞窟自体はともかく、これは要注目。
これがなかったら…ちょっとね…

  

 洞窟を抜けると、道は二手に分かれる。そのどちらに行っても海に辿り着く。僕はまず、向かって右側に進んでみる。
 トンネル状になった岩をくぐって行くと、海が眼前に広がる。この光景はなかなか感動的だったりする。
 はじめてこの海に来たときは、台風が通過した直後だったせいか、砂浜の上にデカい流木や貝殻がたくさん打ち上げられていて、ついでにさっきも書いたとおり海蛇だかハブだかも居て、案外波乱万丈な感じだったんだけど、今日の浜辺は至って静か。波も穏やかで、時間が経つのも忘れてしまうような空気に包まれていた。
 しばらく海を見ながらぼんやりとしていた。う〜む、この至福のひととき。やっぱイイやねぇ〜、海は。ただただこうしてボケ〜ッと見ているだけで、なんでこんなに豊かな気分になれるんだろう。
 …やっぱり、八重山に来てよかったかなぁ。この時期の本島のビーチじゃあ、とてもこんなふうに静かに海を眺めてなんか居られないだろうしねぇ。ここには人っ子ひとり居ないし、「海独り占め!」な優越感にも思い存分浸れるもんなぁ。

 次に、今度は反対側の道に行ってみる。僕の記憶が確かなら、7年前のオープン当時には、こっちの道はまだ工事中で進めなかったような気がするんだけど…確信が持てないので聞き流してね。
 で、こちらの道の先には“サビチ浜”という少し広めのビーチがあった。こちらにも人は誰も居なくて、ちょっとしたプライベートビーチ気分が味わえたりする。
 ここでも僕はしばらく海を眺めていた。と、背後から何やら賑やかな声が聴こえてきた。
 「ちょっと〜、この海って泳げるのぉ〜?」
 「知らねぇよ、そんなこと〜。何もこんなところで泳ぐことネェだろ?あとでちゃんとしたビーチに行くからよぉ、そこで泳げばいいじゃん」
 …心地良い沈黙を破るカップルらしき男女の声。僕はそそくさとその場を立ち去った。クッソ〜!カップルめ、邪魔しやがって〜!
 でも、ちょうどいい頃合だ。そろそろ『サビチ洞』を離れて、次の場所へ向かおう。…でも、“次の場所”ってどこ?
 

“サビチ浜”と“海”。
とりあえず、“海”のほうに進んでみます。
でも“海”って言ってるけどさ…

  

そこまで行かなくたって海は見えるんだよね。
人っ子ひとり居ない、静かな海辺。
これは結構イイ感じだね。

  

さらに少し進んで行くと、こんな感じ。
岩の割れ目から海が見えてくる。
なかなかどうして穴場感たっぷり。

  

そこからさらに奥へと進むと、
“プライベートビーチ”に出ます。
狭〜いビーチ。しかも満潮時には水没(^_^;)

   

今度は“サビチ浜”方面に。
こっちにはちゃんとした石段が。
えっちらおっちら上って行く。

  

海沿いに続く道。
さすがに海は広々としています。
これぞまさしく“海辺のプロムナード”

  

“サビチ浜”は、少し広めの砂浜。
天気が今ひとつ冴えないけど、いい気分。
やっぱ海はイイやねぇ。

  
Movie
『サビチ洞』の海。

 『サビチ洞』を出て、そのまま何となく北上。このままだと“平久保崎”に着いちゃうなぁ。もう何度も行ってるんだけどなぁ、“平久保崎”…毎年来てるだよなぁ、“平久保崎”…
 などと言いながらも、ついつい足が向いてしまうのであった。実際、僕は“平久保崎”が好きなのだ。あの、灯台越しに見る広大な海原は、石垣島でもとくにお気に入りの景色のひとつ。時間によって違う表情を見せる海の色を楽しみに、僕は何度もあの岬に向かってしまう。
 
 “平久保崎”に着く。駐車場の前には、いきなりド〜ンと大きな海が広がっている。このときの海の色は、かなり淡い色だった。実は、濃い海の色を堪能したいのならば、昼時が一番良いらしい。太陽が高ければ高いほど、海の色はハッキリとしてくるのだとか。僕がここに着いたのは、もう夕方に近い時間だった。それでも、この淡い色の海もそれはそれでとてもやさしく見えて、僕はしばし海に目を奪われた。
 背伸びしながらあくびしたり、そんな何てことないことをしただけで、体いっぱいに海の力が溢れてくるような気がする。ただ見つめているだけで、視覚が研ぎ澄まされていくような気がする。沖縄の海には、何だかそんな“力”が秘められてるように思えるのは、果たして僕だけの勘違いでしょ〜か?
 せっかく来たのに駐車場で満足してても意味が無いので、灯台の見える岬に向かう。岬には数人の見物客が居て、みんな記念撮影したりのんびりと海を見たり、思い思いに過ごしていた。
 …それにしても、つくづく島の人がうらやましい。こんなキレイな海がそばにあるんだからね。とは言え、きっと島の人にとっては「海がキレイなのは当たり前」なことなんだろうけど。
 以前、島の人に本土の海と砂浜のことを話したときに、「え?本土の砂浜って白くないの?!」と驚かれたことがある。そう言えば、沖縄の砂浜ってどこも珊瑚で白いもんなぁ、と、本土と沖縄の砂浜の違いを痛感した。僕が特別だと感じることが、島の人にとってはごく当たり前のこと…この場合、どっちのほうが幸せなんだ?ちょっと複雑な心境になったりしてね。

 いやぁ〜、海を見てるといくら時間があっても足りない!名残惜しいけど、そろそろ移動しよう。
 よし!今日はとにかく時間が許すかぎり、海を見て周ろう!先月の“多良間島”では、島の集落の風情を存分に堪能したことだし、今回は海!ってことで。
 …だんだん陽が傾いて来ちゃってますけど。まぁイイ。とにかく今俺は海が見たいのだ。背中に『海が好き!』という刺青でも入れてしまいたいほどの勢いで!(五社英雄もビックリ!)
 となれば、次はこれまた毎度毎度の“川平湾”だぁ〜〜!!…毎度過ぎちゃって、ここまで来ると様式美すら感じさせるね。単なるワンパターン?
 

キビ畑。石垣島らしい眺めのひとつ。
何だか不思議と落ち着くんだよね、この光景。
♪イラヨイマ〜ヌ キビの花〜

  

これまた沖縄のシンボル、ハイビスカス。
僕はやっぱり真っ赤なのが好きです。
意外なほど種類があるんだよね、この花。

  

“平久保崎”の駐車場から見下ろす海原。
淡い色だけど、見入っちゃうなぁ。
もっと晴れてると多良間島も見えるらしい。

  

“平久保崎灯台”。
「僕の好きな灯台Best3」には確実に入るね。
周囲のリーフの色も含めて。

  

結構見物しに来てる人も多かったです。
記念撮影をする家族。
…なんだ?あの木製の札は?

  


こんなのはじめて見たんだけど…
要らないんじゃないの?こんなの…
いや、べつにあってもいいんだけど。

  

時間と天気で表情がまるで違ってくるリーフ。
これって間違いなく沖縄の財産。
何としてでも守っていかなくちゃね。

   

気づけば1時間近く海を見てた(^_^;)
もうこれで満足です。
…って、それじゃあもったいないか。

  



Movie
平久保崎から見た海。



  

畑にポツンと置かれた、くたびれたワゴン車。
ボディーに何やらゴチャゴチャと書いてある…
落書きでもされてんの?

  

と思ったら、パイナップルの無人販売。
“小”\50、“大”が\200。これは格安(?)!
でも、どれが“大”で“小”なのか…?

  
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