久米島
〜4月22日・その2〜


 “仲泊”から県道89号線で“イーフビーチ”に向かって移動する。
 途中、道路工事で迂回させられたりする。…なんだか離島って、久米島に限らずやたらと工事がちな気がする。何せこっちは初めて通る道路なわけだから、ヘタに迂回させられると道に迷ったりするんだよなぁ。
 などと愚痴をこぼしつつ、僕の前方を走る幼稚園バスの超低速(推定時速15km、園児は乗ってない)に少々イライラしつつ、イーフビーチに到着した。
 
 さて、このイーフビーチに面した“謝名堂”の集落界隈には民宿や食事処などが集中している。かと言って“バリバリ観光地な雰囲気”かと思えば、案外そうでもなかったりする。地元色と観光地が微妙にブレンドされた感じ。でも、具志川村の仲泊に比べると、こちらのほうがかなり洗練されてはいる。「比べれば」の話だけどね。
 この日のイーフビーチ周辺は、シーズンオフだし曇天だしで、ムチャクチャ閑散としていた。静かで落ち着く、と言えなくも無いが…こういうところには、やっぱりもうちょっと賑やかなときに来たいものだと思う。
 あ!それから!これはかなりガッカリなことだったんだけど、久米島の食事処って何故か“日曜定休”の店が多いんだよ〜。それと“日曜午後定休”とか…(とくに仲泊界隈の店に)。そう、何を隠そう2001年4月22日(つまり今日ね)はまさしくその日曜日!なので飯を食うところがいつも以上に限定されちゃってもう、ってな具合だった。
 イーフビーチの近くにある無料駐車場のそばに『洋食亭』というお店がある、と以前教えてもらったことがあったので、さっそくそこへ行ってみると…定休日。
 その他にも、仲泊にある『レストラン竜』や『きはち』など久米島旅行の経験がある人から教えてもらった店は、ことごとく日曜定休だったりした。
 これが、今回の旅行で一番の心残りだった。ウマけりゃ一日五食だって厭わない!っていうぐらいの気合いだったのに…(食い過ぎだろ、それじゃ)
 
 話が反れましたが、とにかくビーチに来たからには海を見なくちゃな♪と思い、イーフビーチの砂浜へと歩き出す。
 曇り空の下の久米島の海は…悲しいぐらいに灰色。おまけに今日は風が強い。ビュービューと容赦なく吹き荒ぶ少し冷たい風に晒されながら、僕はビーチを見渡した。
 ビーチには、地元のおじさんたちのグループと、観光で来ているのであろう女の子3人組が居た。
 5〜6人のおじさんたちは、何をしているでもなく、ただビーチの隅のほうでタバコなどをくゆらせながらあれこれと話をしているようだった。話の内容はさっぱり分からなかったので、このおじさんたちがどんな人たちで、ここで何をしているのかは不明。
 一方、観光の女子3人組は、波打ち際に近い砂浜の上に座り込んで、ややうつむき加減でボソボソと喋っていた。心なしか3人の背中に哀感が漂っている…きっと、この天気にガッカリしているんだろうなぁ。もしも“ド”がつくぐらいの快晴だったなら、この3人組も溌剌とした気分で海を眺めることができただろうに…ひょっとすると泳いじゃったりしてたかもしれない。ちょっと残念かわいそうだよなぁ…
 
 冴えない色の海をしばらく所在無く眺めているうちに、だんだん寂しくなってきた。それに腹も減ってるし。
 僕は食べ物を求めて(ちょっと大袈裟)、イーフビーチから離れることにした。
  

“イーフビーチ”の駐車場にあったマップ。
取り囲む広告が絶妙なアクセントに。
腐食し始めてる支柱もグ〜!(ってオイ)


  

“イーフビーチ”。曇天…
「誰も居ないかな…」と思ったら、数人の人影。
でも、ほとんどが地元の人でしたけど。

  
 

う〜ん、やっぱりちょっと寂しいかなぁ。
これで晴れてれば言うことないんだろうけど…
ビーチは晴れてないと、スカ〜ッと!

  
   

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』という映画を思い出す。
映画を観た人だったら何となく分かってくれると思う。
観てない人には…ごめんなさい。


   

駐車場に放置?されたぶち壊れたバイク。
しかし、離島ってこういうの多いよね。車とかも。
輸送費掛かるからかもしれないけどさ。


  

何気なく吊るされてたのが味わい深くて…
これで海に入って何か獲るのかなぁ?
う〜む…ナマコ?


   

 イーフビーチから“仲里村役場”方面に少し行くと、フクギに囲まれた集落が見えてくるようになった。
 僕は車を停めて、この集落の辺りを歩いてみることにする。
 今日の久米島は(って、僕は今日以外の久米島を知らないんだけど…)、仲泊やイーフビーチ界隈もかなり静かだったけれど、集落に入るとなお一層静けさが際立ってくる。
 やっぱり、こういうのってイイなぁ、としみじみしながらフラフラと歩いていると、路上に『南謝宮・南謝門歌碑』という表示板が立っていた。
 その表示に従って行くと、住宅の中に石造りの鳥居と朱塗りの社が見えてきた。そして、その脇には石碑がある。
 石碑には『南謝門節』という歌の歌詞と解説が書かれていた。

   南謝門のくはや 枝持ちの美(ちゅ)らさ
     謝名堂美童(みやらび)の 身持ち美らさ…

 「この歌は、旧暦六月の稲大祭(いなおおまつり)に、南謝門で無事祈願を済ませたことを祝う、祭祀舞踊ウシデーク(臼太鼓)の歌として語られている…」と、石碑には解説されていた。…ふ〜ん、そうなんだ。でも、祈願後に歌うというわりに歌詞の内容は「謝名堂のキレイどころはサイコーだぜ!」てな感じの結構俗っぽい主張。沖縄民謡って、こういう“俗っぽさ”がかなり色濃く織り込まれていることが多いよねぇ。やれ漁師に一目惚れしちゃっても〜メロメロ!とか、やれ誰それさんのところに毎夜通ってくるのはどこの誰だとか、やれ今夜はせつないの…はやく来て♪だとか、そういう唄の多いこと多いこと。よく知られている『安里屋ユンタ』だって『嘉手久』だって『トゥバラーマ』だって、み〜んな恋の唄、もしくは男女のゴシップを題材にした唄だ。何だか大らかだよなぁ、と思う。…しかし…祈願の後に「謝名堂の美人ってぇのはさぁ〜」ってな唄を歌い踊るって言うのも、何だかねぇ…
 あ、でも現在はウシデークは行われていなくて、代わりに角力(すもう)大会が行われてるんだって。“踊りの代わりに相撲”っていうのも、なんかえらく脈絡がない気もするが。
 
 それにしても、ホントにちょっと不安になるぐらい静かだなぁ。
 僕は集落を離れて、車を北へと走らせる。
 

フクギに囲まれた集落。
その奥には畑と山。とても静かな景色。
のんびり歩きたい、そんな空気に満ちてる。


  

久米島には古風な民家があちこちにあります。
バックのフクギと相まって、ジ〜ンとしてきます。
できるだけ、このまま残っていてほしいなぁ…


  

この表示板が偶然目に入ったので、
ちょっと立ち寄ってみることにしました。
南謝宮ってなんじゃ?(←幼稚園児レベル)


  

ここにちなんだ“南謝門節”という歌は、
謝名堂の集落の女子の美しさを称えた歌らしい。
こういうのも沖縄っぽいよね、なんだか(^.^)


  

 車を運転しながら、周囲の様子をキョロキョロと窺う。謝名堂を過ぎると“仲里村役場”に差し掛かる。この村役場の周辺には学校があったりJAのスーパー(だったと思う)があったりと、ちょっと賑やかな感じ。
 …実は、僕は久米島に着いてからず〜っと思ってたんだけど、久米島って、どこか宮古島と印象がダブるような気がする。例えばこの仲里村役場周辺の町並み、これって宮古島の“城辺”の村役場辺りの佇まいと何だかよく似てるように思うんだけど…
 起伏のそれほどきつくない道も、その両側に広がる畑も、何となく宮古島を思い起こさせる。…これは僕の勝手な印象でしかないんだけど。
 話が反れたが、とにかくそんな村役場辺りを通り過ぎて少し行くと、向かって右手に曇った空をバックに、どこかしっとりとした緑色に染まった山がとてもキレイに映えていた。その小山のふもとには、お墓が多く見える。
 そんなふうに山に見惚れていると、『登武那覇園地』という表示板が見えた。普段の僕だったら“園地”なんて素通りしているかもしれないんだけど(僕は“山派”より完全に“海派”な人間なので)、このときばかりは「あの緑色の中に入ってみたい!」と思い、ちょっと寄ってみることにした。

 『登武那覇園地』には車でスイスイ行けるので、山登りとかが苦手な僕でも安心♪
 園地の下にある小さな駐車場には、一台の車がすでに先客として駐車していた。何気なくその車内を見ると、中では作業着姿のおじさんが口を豪快に開けて昼寝をしている。「…叩き起こしたい…」という衝動を抑えつつ、僕は園地の展望台に移動。
 この『登武那覇園地』は、“登武那覇城跡”だったりもするみたい。この城に居た按司の一族は、どうやら“神様からの祝福”を巡って仲違いし、その後骨肉の争いを展開させたらしい。詳しい説明はちょっとパスしますけど。
 しかし、さすがは城が建っていただけあって、この園地からの眺望は何とも素晴らしい。天気が良いと渡名喜島や粟国島が見えるのだそうだ。
 しばらく山からの眺めに見入っていたのだが、とにかく腹が減った…思えば、昨日の昼から飯らしい飯をほとんど食べてない。頭の中で食べ物のことを考えただけで、お腹が地響きのようにグルグルと鳴る。もう限界だよ〜。
 僕はとっとと園地から下山して、再び仲里村役場の近くに戻ってみることにした。確か、喫茶店みたいな店が一軒あったはずだ。とにかくそこに行ってみよう。
 

『登武那覇園地』。“とんなはえんち”って読みます。
ここは城跡だったりもするようです。
トンナハ山の山頂にあります。


   

園地からの眺め。なかなか気持ちいい。
こうして見ると、やっぱり緑が多いよなぁ。
島の様子が一望の元に。


  

トンナハ山のふもとにはお墓がたくさん。
島の所々にお墓の密集地が点在してます。
ずっと昔はここいらもグソーだったのかも。

 
  

標高2〜300mほどの山々。
緑色が目に沁みます。
これもまた沖縄の魅力のひとつ。


  
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