ゆるゆる


 北区・十条。ここは、とにかく庶民的な匂いが濃厚な街だ。JR埼京線の十条駅を中心にたくさんの商店街が伸び、あちこちに“大衆酒場”が存在し、住宅は程好く古めかしい。
 例えば、北区最大の規模を誇るという『十条銀座商店街』。200以上の店舗が軒を連ねるアーケードの付いた立派な商店街なのだが、そこには激安の洋品店や作りたての惣菜を売る店など、イイ感じでユルい店舗が目白押し。しかし、侮れないのはその利用客の多さ。いかにこの商店街が地元の人々の暮らしと密着しているかが手に取るように分かる。
 大衆酒場には、串かつやらポテトサラダやら200円程度のメニューがズラリと揃い、どこか懐かしい店内の雰囲気と常連客の和気藹々とした姿が相まって、えも言われぬ空気を醸し出す。
 路地裏に入れば、昭和30〜40年代を彷彿とさせる家屋があちこちに残っていて、どこか下町の風情を感じさせてくれる。

 さて、僕が横須賀から東京に出て来てすぐの頃(12年ぐらい前のことね)、真っ先に「住んでみたい!」と思ったのが、この十条界隈だった。豊島区・板橋区・北区の辺りを仕事で廻っていたときに、一番心惹かれたのがここ、十条の街。実は、かなり本気でここに住もうと思って、不動産物件を探した過去があったりする(^_^;) …まぁ、こんなことは結構多くて、その後も「谷中に住みたい!」だの「雑司が谷に住みたい!」だの「吉祥寺に住みたい!」だの「高円寺に住みたい!」だの、わりと浮気性なんだけどね。
 …話を戻します。

 この日、久しぶりに十条を訪れてふらふらと商店街や路地裏を彷徨っていると、「あ〜、やっぱり俺はこの街が好きだなぁ」とつくづく感じられた。12年前と同じような気持ちで、同じようなものに心惹かれ、同じような場所で足を停めている自分に気づく。軒先で世間話をするご夫人や、買物カートを引いて歩くお婆さん、鉢植えに水をやるお爺さん、自転車を漕いで行く子供達。ありふれているようで、実際には日々の暮らしの中から遠ざかりつつある光景の連なりに、思わずホロッとした気分になる。こんなものを一々有り難がっている僕は、間違い無くこの空間とは違う場所で生きているわけで、単なる都合の良い郷愁もどきに自家中毒を起こしているだけなんだろう、とは思う。…でもね、やっぱりイイものはイイのだ。
 とは言え、「どうせ住むんだったら、やっぱり新築のマンションでしょ♪」などと考えている自分も居たりするのだ、これが。嗚呼、アンビバレンツ…
 

商店街“十条銀座”。
十条という街は商店街がたくさん在る。
その中でもかなり規模の大きい商店街がここ。

   


心なしかレトロな趣きのガラス壁。
さて、十条の路地探検スタート!
路地から路地へ、歩き捲ります。

  


たぶん、料理屋か何かだったんだろう。
玄関のガラスがぶち割れておりますが…
隣りの店も営業はしていない様子です。

  

崩れかかった木造家屋。味わい深い。
古い家には何故か蔦が絡まってることが多いよね。
蔦ってそういう物件が好きなんだろうか?

  


右上の写真の物件をさらにズームアップ。
これまたガラスが割られてますけど…
心無いことをするヤツも居るもんだなぁ。

  

かなりラフな外壁の隙間から飛び出る洗濯板。
今や洗濯板を知らない世代も多かろうとは思う。
僕と同世代ぐらいがギリギリか?

  


とある民家の脇に置かれたナゾの機械。
これは業務用の設備ですよね、たぶん。
こんな家電製品、無いと思うんだけど…

  

う〜む、さっぱり分かりません。
クリーニングの機械?巨大オーブン?
でも、この操作盤のデザインは結構好きかも。

  

この界隈には銭湯が何軒か在ります。
廃業しちゃった銭湯も多く在るんだろうけど。
こういうのが現役で残ってるのはちょっと嬉しい。

  

住宅も在れば、小さな会社の事務所も在る。
スナックや小料理屋も在ったり。
昼間からカラオケを歌うオヤジの声が聴こえてくる…

  

こちらも商店街。結構賑わってました。
ムチャクチャ庶民的な匂いがする。
イイなぁ、こういうの。

  

こういう家屋が結構残ってるのがこの辺りの魅力。
いずれ無くなってしまうのは明白ではあるけれど。
小学校に上がる前まで、僕もこんな家に住んでました。

  

自転車屋さんの窓ガラス。
良く見ると、自転車&青年(?)のモチーフが。
70年代チックなパネルの装飾もナイスです。

  

十条駅の脇にある“プチロード十条銀座”。
このネーミングがすでに懐古的テイストたっぷり。
で、このロードに入ると…

  

プチロードに在る隠れた名店『斉藤酒場』。
ここ、個人的に猛烈にオススメの居酒屋です。
絶対一度は行ってみて♪イイ味出してるよ〜。

  

埼京線の線路沿いに伸びる狭い路地。
一方通行の標識が立ってますけど…
この路地、車が通れるんだろうか…?

  


その路地に建っている背の低い家屋。
簾(すだれ)がまたなかなか風情あり。
…俺も簾を買おうかなぁ(^_^;)

  

と、突然現れるカラフルなストライプ。
何だかひどく場違いな気がしますけど。
このストライプの正体は…

  


“劇団ゆにおん”の“十条アトリエ”だそうです。
「実験演劇」のキャッチに心惹かれます。
アングラな匂いがプンプンです。

  

この米屋さん、きっとかなり古い建物。
店内もかなり雰囲気があってスゴイです。
プラッシーとか売ってそうな。

   

銭湯。しっかり現役です。
銭湯が残っているということは、
それだけ古い家が残ってる証拠だもんね。

  

こういう街は、建物の2階部分も面白い。
ごく普通の店の2階がこんなふうになってたり。
なかなか雰囲気があるよね。

  

懐かしいよね、こういう家。
…他所様の家を勝手に撮ってごめんなさい。
まぁ、それを言ったらこのコーナーは成り立たないが。

 


かなり繁盛していた八百屋さん。
これまた何だか嬉しくなる光景だったり。
頑張ってほしいよなぁ、こういうお店には。

  

その一方で、廃業してしまった店舗も在り。
やっぱり個人商店には厳しい世の中なのか…
それにしても、グッと来る建物です。

  


“小野銀”の文字が読み取れますが。
一体何の商売をしていたのかは不明でした。
ご存知の方、いらっしゃいますかねぇ?

  

う〜む…ラブナイトですかぁ…
この“ナイト”はNightなのかKnightなのか?
ちょっと淫靡な響きも感じさせるような…

  

きっとゴダイゴの『ガンダーラ』が流行ってた頃、
78〜79年頃にオープンした店じゃないかと推測。
♪どこかにあるユートピア〜

 

またまた銭湯です。こちらも現役です。
サウナも完備しているみたいで、結構人気。
コインランドリーもある充実ぶり。

  

…凛とした主張。
侵入してくる車&人がよほど気に触るのか。
ここまでしてくれる北区が親切なのか。

  

昔ながらの豆腐屋さんも在るよ〜♪
漢字で書くと「おかめ豆腐」。
おかめ納豆じゃありません。

  

これはパーマ屋さんだと思います。
ロッテ。お口の恋人。コアラのマーチ。
あの社名ってゲーテの著作が由来って知ってた?

  

表紙へ